NTTコム、世界トップレベルの高速ソフトウェアPCルーターを開発

2018年6月12日 18:55

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Interop Tokyo 2018に出展予定の「Kamuee」(写真:NTTコミュニケーションズ発表資料より)

Interop Tokyo 2018に出展予定の「Kamuee」(写真:NTTコミュニケーションズ発表資料より)[写真拡大]

●世界トップレベルの処理速度を持ったソフトウェアPCルーター

 NTTコミュニケーションズはルーターの経路検索アルゴリズムである「Poptrie」(ポップトライ)を活用し、高速ソフトウェアPCルーターの開発に成功した。最大で100Gb、大容量通信が可能な規格に対応しており、処理速度も世界トップレベルのルーターである。このルーターは「Kamuee」(カムイー)の名称で商標登録出願中、一般的なCPUでも性能を発揮するため導入コストの削減に期待が高まる。

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●「Kamuee」の特徴

 「Kamuee」が高速ルーターとして機能できる理由は2つある。1つは「Poptrie」の活用による経路検索の高速化、もう1つはDPDKによるパケット処理の高速化である。

 東大と共同開発された「Poptrie」では、ルーターによる経路情報の検索にかかる処理を軽減。従来の方式よりCPUがメモリーを参照する回数が減らせることで高速化を実現している。

 DPDKとはインテルが開発したソフトウェアであり、パケット処理を高速化することができる。これを採用し、NTTコミュニケーションズ独自のモデルを用いることで高速のパケット転送を可能としている。

●小規模ネットワークへの活用も

 これまで大容量通信を行うルーターは、処理能力の高いCPUを搭載した専用の機器が必要であった。しかし環境を整えるには多額の費用と時間が必要で、「Kamuee」はこの問題解決の手段として開発が進められていた。一般的なCPUでも利用できるようになることで、大規模ネットワークを構成するルーターに限らず、小規模ネットワークでの利用も可能となる。

●今後の展望

 今後「Kamuee」は、宅内のような小規模ネットワークを構築するCPEルーター、複数の仮想サーバーを稼働する仮想ルーターとしての利用が考えられる。NTTコミュニケーションズは、通信事業者などと連携したサービス開発や顧客へのソリューション提供などを検討し、「Kamuee」を活用していく。

 こうして通信技術の発達が進めば、ますます情報処理は高速化、身近な環境にも適用されていくだろう。通信容量の増加、処理速度の向上はまだまだ加速する。

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