アシックス、セルロースナノファイバー活用のシューズを商品化

2018年6月3日 08:19

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GEL-KAYANO25。(画像:アシックス発表資料より)

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 次世代の高機能素材として注目されているセルロースナノファイバー(CNF)。これを活用したシューズが、アシックスによって商品化された。同社の高機能ランニングシューズ「GEL-KAYANO25(ゲルカヤノ25)」のブランドで、6月1日からグローバル展開していく。

 CNFは鋼鉄の5倍の強度を持ちながら重量は5分の1でいいと言われる、ナノサイズに分解・再構成された木材繊維(セルロース)由来の極細繊維である。自動車、家電、塗料など様々な分野で活用の道が模索されているが、その中にはシューズなどの繊維製品も含まれているというわけだ。

 今回開発されたシューズは、靴底のミッドソール(中間クッション材)に、新たに開発されたアシックス独自のスポンジ材「FlyteFoam Lyte(フライトフォームライト)」が搭載されており、このスポンジ材の気泡を補強する材料として、CNFが採用されている。

 そのことによって、軽量性と耐久性という本来なら相反する機能が高次元で両立、従来のフライトフォームに比べて軽量性は維持したまま強度を20%、耐久性を7%高めることに成功したという。

 フライトフォームライトの開発にあたっては、CNF研究の第一人者のひとりと言われる京都大学の矢野浩之教授、京都市産業技術研究所などが開発した、「京都プロセス」と呼ばれる革新的なCNF製造技術が応用されている。

 また、これにアシックスの強みである独自の材料設計、発泡成形技術を駆使することで、このプロセスを活用した世界初の実用化製品が産み出されたのである。

 CNFは、単に高機能であるだけではなく、持続型の脱炭素社会を支える産業資材であり、また、木材に需要を再創出する林業再生のための一つの方途としても期待されている。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る

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