空飛ぶ消火ロボット「ドラゴンファイヤーファイター」、東北大などが開発

2018年5月31日 17:29

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ドラゴンファイヤーファイター。(画像:東北大学発表資料より)

ドラゴンファイヤーファイター。(画像:東北大学発表資料より)[写真拡大]

 これは「空を飛ぶ消火ホース」である。東北大学などの共同開発グループは、空中を浮上して建物内に突入、水を噴射して消火活動を行うことができるロボット消火ホース「ドラゴンファイヤーファイター」を開発した。

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 この開発事業は、内閣府総合科学技術・イノベーション会議が主導する革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)タフ・ロボティクス・チャレンジ(プログラム・マネージャー:田所諭教授)の一環として実施されたもの。

 共同研究開発グループに名を連ねているのは、東北大学の田所諭教授、昆陽雅司准教授、多田隈建二郎准教授、安部祐一助教、社会人博士課程の安藤久人(福島県ハイテクプラザ主任研究員)氏、八戸工業高等専門学校の圓山重直校長、国際レスキューシステム研究機構ら。

 このドラゴンファイヤーファイターはどうやって空を飛ぶのか。なんらかの駆動系が備わっているのかと思えばそうではないという。消火用の水を噴射する勢い、それ自体を利用して、空を飛んでいるのである。類似の現象は家庭用のシャワーノズルでも起こり得るものであるからして、直感的にも理解しやすいかとは思う。

 さて、大規模な火災現場において、燃焼している建物の中に直接放水することは非常に困難であった。理由は説明するまでもないであろうが、人がホースを運ばなければならない以上は、非常に深刻な危険が伴うからである。従って、遠くから放水して延焼を防ぐぐらいしか手はなかったのである。

 しかしドラゴンファイヤーファイターは遠隔操縦ロボットであるので、消防員を危険に晒すリスクは限りなく低減される。

 「水を放水する勢いでホースを飛ばす」。言うのは簡単だが、大変に繊細な制御系が必要になる発明である。今回のプロトタイプの開発成功に至ったのは、浮上のための制御技術と、それを実現しうる能動ノズルが開発できたためであるという。

 なお、研究の成果は、5月31日から開催される東京国際消防防災展にて発表される。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る

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