スバル国交省への報告書(1) 法的立場の言い訳 根底は「品質低下は気にしない」?

2018年5月8日 21:43

小

中

大

印刷

(c) 123rf

(c) 123rf[写真拡大]

写真の拡大

■「法的立場の弁護」に終始、品質管理には素人

 スバルがまとめた国土交通省向けと思われる、「完成検査時の燃費・排出ガス測定に関する調査報告書」を読んだ。これはスバルが、「新車検査無資格者実施」「燃費データ改ざん」「排気ガスデータ改ざん」と企業ぐるみの体質が問われる事態となり、またこれらを行っていたことが表面化したため、国土交通省の指導を受けるに至っていたからだ。

 スバル・コンプライアンス委員長である加藤洋一常務執行役員を責任者とする、法務、品質管理技術責任者などを加えたチームの、スバルからの国土交通省向けの報告書であるが、たぶんこれは弁護士の記述であろう。そのため報告書は、スバルが「刑事告訴、損害請求訴訟を起こされるかもしれない法的立場」は十分に配慮されているが、この内容をもとにしてでは「再発防止」は困難だ。品質保証の実現においては「素人」と指摘せねばならない。

参考記事:【スバル悲しき体質】改ざんの影響は?「素人相手の商売」であってはならない!

 弁護士の仕事としては、この範囲、このレベルで十分なのであろうが、問題はこれを受けてスバル経営陣・管理職が、対策を取ることが出来るのかだ。残念ながら、「再発防止策」としている内容は、「品質保証の観点」からその本質から外れ、きわめて「素人」としか言いようがない。「組織の在り方」についての概念はなく、その運用方法についての概念も存在していない。スバル自身がこの報告書で高らかに謳い上げた「社会的責任の理念」は、現在の経営者たちには「空論」となっていることがよく分かった。

 しかし、スバルが高らかに謳い上げている「理念」を、現実のものとできてこなかった責任はどのようなものなのか?この報告書では「概念の外」と言っているようだ。素晴らしい商品価値を作り上げてきたのだが、「利益優先」「投資家理論」の中に埋没して消えているようだ。

 1980年代後半、当時の富士重工(現スバル)は経営危機に陥っていた。そこから急速に業績回復を成し遂げ、利益率の高い企業へと成長させた。北米中心の営業活動などからしても、アメリカ経営の影響を強く受けていたものと見える。最近では「リコール(回収・無償修理)の件数が増えている」と自ら語っていた経営陣だが、その原因が「投資効率優先」の経営にあるとは思わなかったのであろう。今回の新車検査履行軽視の姿勢は、日産自動車カルロス・ゴーン氏の経営と一致するところがあり、「品質重視」の概念で根本からの見直しが必要であると言わざるを得ない。

■専門性と大局の混同

 “投資効率優先の経営”の中で、“ビジネスモデルの基本である品質保証”を確保することは、“組織編成と組織運用”がかなめであり、結局のところ「投資効率」を高める結果となることを、なぜ理解できないのか?“関係性が遠い”と感じて、その間を“つなげて理解できない”、現実の方策で“維持できない”ことが起きる。“専門性と大局”を混乱している姿は、“財務省官僚の誤り”と同じ質であると感じる。(kenzoogata)

続きは: スバル国交省への報告書(2) スバルの言い分(1) 品質管理技術については「稚拙」

関連キーワードアメリカ日産自動車スバルカルロス・ゴーン国土交通省リコール(回収・無償修理)弁護士

「自動車・二輪車・部品」の写真ニュース

企業・産業の最新ニュース

RSS

もっと見る

主要ニュース

RSS

もっと見る

広告

広告

SNSツール

RSS

facebook

zaikeishimbun

いいね!

twitter

@zaikei_company

フォロー

google+

Hatena

広告

ピックアップ 注目ニュース