日立、停電時も緩やかに停止するエスカレーター 回生電力で安心安全を追及

2018年5月8日 19:57

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納入先とエスカレーター外観(図:日立の発表資料より)

納入先とエスカレーター外観(図:日立の発表資料より)[写真拡大]

 日立と日立ビルシステムは7日、停電発生時にエスカレーターが急停止せずに緩やかに減速することで、利用者の転倒やつまずきを抑制する停電時ソフトストップ機能を搭載したエスカレーターを、業界に先駆けて開発したと発表した。本機能を搭載したエスカレーターを日本生命病院に納入した。

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 小さな子どもから高齢者までが利用するエスカレーターによる事故は、意外にも多い。東京消防庁によると、2013年中は1,380人を搬送。その内65歳以上は848名だ。

 日立の開発したエスカレーター「VXSシリーズ」は、さまざまな角度から安全を追及する。微妙な加減速が可能なインバーター制御の採用によって実現したソフトストップ機能を搭載。この機能は、エスカレーターの安全装置作動時や非常停止ボタンが押されて緊急停止する場合に、緩やかに減速することで利用者の転倒やつまずきを抑制するものだ。今回発表された機能は、停電によって駆動電力が断たれた場合にもソフトストップ機能の動作を可能にした。

 日本生命病院の建設にあたり、高齢者をはじめとするすべての利用者が、より安心して利用できるエスカレーターを設置したいとの要望に応えた。停電時のエスカレーターの急停止を回避。エスカレーターの減速時に発生する回生電力を駆動モーターの電力源として利用することで、エスカレーターを緩やかに停止させる。

●S800VXS-UNの特長

 今回新機能が搭載されたのは機種は、「S800VXS-UN」(なお、新機能は全機種は搭載されていない)。VXSシリーズは、万一の事故を想定した運転制御や注意喚起を行うエスカレーターであり、緊急停止や停電時でも、急停止を抑制して緩やかに減速する。停電時は、回生電力を使用。

 エスカレーターの幅も一人が乗れる80センチメートルだ。

 今回開発した停電時での対応は、病院での設置を意識したものであろう。高齢者や手足が不自由な患者を意識して、エスカレーターの定格速度は、通常の毎分30メートルよりも遅い毎分20メートルだ。

●エスカレーター(日立、停電時ソフトストップ機能)のテクノロジー

 安全・安心機能を追及する停電時の急停止抑制。これを実現するのは、インバーター制御や各種センサによる効率的な運転とエネルギー消費の減少であろう。この省エネ技術と回生電力の取り出しで、停電時の急停止を抑制した。

 なお、この技術は特許出願中であり、詳細な記述はない。(記事:小池豊・記事一覧を見る

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