ワイヤレスゲートは基調転換して戻り歩調、18年12月期2桁増益予想

2018年4月10日 07:24

印刷

記事提供元:日本インタビュ新聞社

 ワイヤレスゲート<9419>(東1)はワイヤレス・ブロードバンドサービスを主力として、中期成長に向けてWi-Fiインフラ構築やIoTプラットフォームなどBtoB事業を強化している。18年12月期2桁増益予想である。株価は基調転換して戻り歩調だ。なお5月9日に第1四半期決算発表を予定している。

■ワイヤレス・ブロードバンド事業が主力

 通信事業者からインフラを借り受けてワイヤレス・ブロードバンドサービス(Wi-Fi、WiMAX)を提供するMVNO(仮想移動体通信事業者)である。

 17年12月期事業別売上構成比は、ワイヤレス・ブロードバンド事業(BtoC事業)が97%(モバイルインターネットサービス91%、公衆無線LANサービス5%、オプションサービス1%)で、ワイヤレス・ビジネスドメイン事業(BtoB事業)が3%(認証プラットフォームサービス1%、その他法人向けサービス1%)だった。販売チャネルはヨドバシカメラと携帯電話販売最大手ティーガイアを主力としている。

 個人向けワイヤレス・ブロードバンド事業は有料会員に対する月額課金収入、法人向けWi-Fiインフラ事業はアクセスポイント管理(クラウド管理)に対する月額課金収入が主力である。有料会員数およびアクセスポイント数の積み上げに伴って収益が拡大するストック型ビジネスモデルである。株主還元についてはDOE(株主資本配当率)を重視し、機動的かつ柔軟な自社株買いも実施する方針としている。

■中期成長に向けてBtoB事業を拡大

 中期経営計画「ワイヤレスゲート2020年ビジョン中期経営計画」では、経営目標値に20年12月期売上高150億円~200億円規模、営業利益20億円~30億円規模、営業利益率13%~15%程度を掲げている。

 事業戦略としては、安定収益源であるBtoC事業を堅持(Wi-Fiインフラの強化、通信サービスの再編成、通信サービスと親和性の高い周辺機器ベンダーとの協業、通信サービスの卸販売などによる販売経路の多様化)しつつ、成長事業であるBtoB事業に経営資源を集中投資(持続可能なフリーWi-Fi環境の構築、セキュアで高速・大容量な通信インフラの構築、投資を含めたビジネスアライアンス推進)する。また安定的な配当を行いつつ、中期的な企業価値の増大を目指す。

 BtoB事業分野では、14年11月スペインのFon社および日本法人フォン・ジャパンと業務協力し、15年11月フォン・ジャパンを持分法適用関連会社化している。Fon社のルータを活用して国内Wi-Fiエリア構築を推進する。

 16年9月モバイル・インターネットキャピタルと合弁でLTE-Xを設立し、産業用IoTプラットフォーム事業に本格参入した。17年9月にはLTE-XがVAIO社とLTE over Wi-Fi技術を活用したセキュリティソリューションの共同開発で業務提携した。

 17年12月には、BeaconおよびIoTマネージメントプラットフォームを提供するTangerine社に追加出資した。Wi-Fi事業における業務提携を推進する。

 3月23日には、スマホアプリにWi-Fi自動接続機能を簡単に組み込むことができる新サービス「WIRELESS GATE SDK」の開発を発表した。第1弾として、経路検索サービス大手のジョルダン<3710>が運営する「乗換案内」と4月3日から連携した。

■18年12月期増収・2桁増益予想

 18年12月期連結業績予想は、売上高が17年12月期比1.7%増の120億34百万円、営業利益が11.1%増の10億24百万円、経常利益が13.0%増の8億83百万円、純利益が24.1%増の5億72百万円としている。配当予想は1円増配の年間29円(期末一括)で、予想配当性向は53.0%となる。

 BtoC事業のワイヤレスゲートWi-Fi+WiMAXサービスでは費用対効果を見極めた会員獲得・退会防止策や販路拡大、ワイヤレスゲートSIMサービスではプリペイドSIMの販売、公衆無線LANサービスでは法人向けバルク販売、オプションサービスでは新しいサービスの投入を推進する。

 BtoB事業の認証プラットフォームは継続案件が前期と同程度で、新規受注は小型案件が中心としている。またその他法人向けサービスではLTE-X事業が順調に拡大する見込みだ。

 コスト面では、BtoC事業の新サービス開始に伴う一時的費用の増加、BtoB事業で子会社LTE-Xの本格業務展開に伴うコスト増加を見込んでいるが、一方では施策見直しで顧客獲得・退会防止関連コストを抑制する見込みだ。営業外費用ではフォン・ジャパンののれん償却(10年で約16億円を償却予定)を前期と同程度計上する。

■株価は基調転換して戻り歩調

 株価は2月安値1103円から切り返して、4月9日には1635円まで上伸する場面があった。基調転換して戻り歩調だ。

 4月9日の終値1555円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想連結EPS54円71銭で算出)は約28倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間29円で算出)は約1.9%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS307円96銭で算出)は約5.0倍である。時価総額は約164億円である。

 週足チャートで見ると、13週移動平均線と26週移動平均線がいずれも上向きに転じて先高観を強めている。戻りを試す展開が期待される。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

【関連記事・情報】
【注目銘柄】ポールトゥウィン・ビットクルーホールディングスは高値圏、19年1月期も収益拡大期待(2018/02/18)
【株式評論家の視点】アイ・ケイ・ケイは逆張り指標で買いシグナル点灯、株主優待を狙う(2018/02/16)
【編集長の視点】加賀電子は業績の再上方修正、年間配当の再増配を見直し売られ過ぎ訂正買いが再燃し急反発(2018/02/16)
サインポストは主力のコンサルティング事業が好調、レンジ下限まで押す場面を待つ(2018/02/05)

※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。

関連記事