東芝の隠し玉「重粒線がん治療装置」にかかる期待

2018年4月5日 17:54

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韓国・延世大学校との契約締結式の様子。(写真: 東芝の発表資料より)

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 東芝は3月29日「韓国で重粒子線がん治療装置を(韓国大手医療会社と共同で)受注した」と発表した。第一報に接した折りには「?」を抱いた。

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 というのは2016年12月にキヤノンが、東芝の子会社で医療機器部門を手掛けていた東芝メディカルシステムズを買収した。キヤノンの会長兼CEOの御手洗冨士夫氏は数年来「カメラと複合機でやっていける時代は終わりを向えつつある。新たな経営の柱を早急に整備しなくてはならない」と公言していた。そして着目したのが、身を切り売りして債務の減少と取り組んでいた東芝で「身売り」対象候補として浮上していた東芝メディカルシステムズだった。「医療機器」を大黒柱に据えるという御手洗氏の決意は、その買収金額にも見て取ることができた。6655億円。キヤノンにとり過去最高の買収額だった。

 だが実は、原子力事業と技術を共有する「重粒子線がん治療装置」は東芝本体に残し技術開発を続けていたというのである。それが今回の「受注」に繋がったわけだが、今後の展開については「期待」と同時に「予断を許さない」状況にある。

 そもそも粒子線治療装置は大型の加速器で、放射線の一種である陽子線や重粒子線を腫瘍に照射しがんを治療する装置。とりわけ重粒子線は陽子線より治療効果が高く、副作用も少ない。同装置は現在、世界の70施設で使用されている。そして今後も先進国や中国等新興国の需要拡大で、年間10施設規模の新設が予想されている。1基100億円前後という高額装置だけに、その意味で今回の一件が弾みとなれば「期待」は大きい。ただ、国内需要は「高額」がネックとなり一巡状況にある。あくまで勝負の市場は海外。アナリストの間からは「東芝の国内での実績は、3施設への導入にとどまっている。要するに実績不足。実績を積み重ねている欧米企業と真っ向から渡り合えるかというと、疑問を禁じえない」とする指摘が強い。

 勝負相手は海外勢だけではない。日立製作所も昨年末に三菱電機の粒子線治療装置事業の買収を決めている。先のアナリストは「東芝が勝利を手にするためには低コスト化(小型化)で先手が打てるかどうかに尽きる」と「厳しさ」も強調した。(千葉明)

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