アルコニックスは18年3月期1Q大幅増収増益で配当予想を増額修正、通期業績予想は増額の可能性

2017年8月28日 09:16

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

 アルコニックス<3036>(東1)は商社機能と製造業を融合した「非鉄金属の総合企業」を目指している。18年3月期第1四半期は需要や非鉄市況の回復で大幅増収増益となり、配当予想を増額修正した。通期も増収・2桁増益予想である。そして通期業績予想は増額の可能性が高いだろう。積極的な事業展開で中期的にも収益拡大基調が期待される。なお9月1日付で1株を2株に分割する。株価は急伸して上場来高値圏だ。目先的な過熱感を冷ましながら上値を試す展開が期待される。

■商社機能と製造業を融合した「非鉄金属の総合企業」目指す

 軽金属・銅製品(伸銅品、銅管など)、電子・機能材(レアメタル・レアアース、チタン・ニッケル製品など)、非鉄原料(アルミ・亜鉛地金など)、建設・産業資材(配管機材など)を取り扱う非鉄金属商社グループである。

 レアメタル分野に強みを持つことも特徴だが、中期成長に向けて商社機能と製造業を融合した「非鉄金属の総合企業」を目指し、M&Aも積極活用して、非鉄金属の周辺分野も含めた川上(製造)~川中(流通)~川下(問屋)を網羅するビジネス展開を推進している。

 13年1月金属・化成品メーカーの米ユニバーティカル社を子会社化、13年3月アルミ合金スクラップ販売の大阪アルミセンターを子会社化、13年4月産業機械用精密加工部品メーカーの大羽精研を子会社化、14年4月住宅建設関連資材メーカーのケイ・マックを持分法適用関連会社化、14年11月アルミ銅センター(大阪アルミセンターが14年9月1日付で商号変更)が稲田商会の銅リサイクル事業(稲田銅センター)を譲り受けた。

 15年7月溶接材料製造・溶射加工事業の東海溶業を子会社化、15年10月非鉄金属専門商社の平和金属を子会社化、16年2月金属製品非破壊検査および金属マーキングのマークテックを子会社化、17年4月自動車向け精密プレス金型およびプレス部品製造の富士プレスを子会社化した。

■製造業が利益の過半

 17年3月期のセグメント別売上高構成比は、商社流通87%(電子機能材事業が28%、アルミ銅事業が59%)、製造13%(装置材料事業が8%、金属加工事業が5%)だが、経常利益構成比は商社流通47%(電子機能材事業が27%、アルミ銅事業が20%)、製造53%(装置材料事業が5%、金属加工事業が48%)で、製造業が利益の過半を占めるようになった。

 レアメタル・レアアースなど非鉄金属の市況、持分法投資損益、M&Aに伴うのれん償却や負ののれん益なども収益変動要因となるが、積極的なM&Aで製造の利益が連結業績の過半を占めるようになり、収益拡大基調である。利益配分については、将来の事業展開と経営体質の強化のために必要な内部留保を確保しつつ、安定した配当を継続的に実施していくことを基本方針としている。

■18年3月期1Qは需要・非鉄市況回復で大幅増収増益

 今期(18年3月期)第1四半期(4月~6月)連結業績は、売上高が前年同期比22.6%増の586億01百万円、営業利益が90.0%増の16億97百万円、経常利益が79.8%増の19億48百万円、純利益が72.8%増の14億36百万円だった。

 需要や非鉄市況など事業環境の回復、M&A効果(17年4月子会社化した富士プレスの新規連結)などで大幅増収増益だった。売上総利益は28.3%増加し、売上総利益率は7.7%で0.3ポイント上昇した。製造子会社の好調で売上総利益率が上昇基調である。販管費は7.4%増加したが、販管費比率は4.8%で0.7ポイント低下した。M&Aによる新規連結で販管費は増加しているが、増収効果で販管費比率は低下した。営業外では受取配当金、持分法投資利益が増加した。

 セグメント別(連結調整前)の動向を見ると、商社流通の電子機能材料は売上高が35.4%増の168億14百万円で経常利益が4.3%減の2億83百万円だった。スマホ・タブレット端末向け部材、チタン、ニッケル製品などが堅調だったが、二次電池、太陽光発電関連部材、環境関連部材の需要が減速し、レアメタル・レアアースの市況が低水準で推移した。

 商社流通のアルミ銅事業は売上高が10.9%増の330億05百万円で経常利益が2.3倍の4億06百万円だった。自動車向け伸銅品やアルミ圧延品が増加し、非鉄市況の回復も寄与した。

 製造の装置材料事業は売上高が17.5%増の46億41百万円で経常利益が1億55百万円の黒字(前年同期は36百万円の赤字)だった。めっき材料が好調に推移し、非破壊検査装置・マーキング装置の黒字化(のれん償却後)も寄与した。

 製造の金属加工事業は売上高が2.1倍の50億39百万円で経常利益が68.2%増の10億99百万円だった。チップマウンター向け研削加工部品、自動車向け試作品、半導体・有機EL製造装置向け精密切削加工部品などが好調に推移し、新規連結の富士プレスの自動車向け精密プレス部品も好調だった。

■18年3月期増収・2桁増益予想

 今期(18年3月期)の連結業績予想(5月15日公表)は、売上高が前期(17年3月期)比8.9%増の2200億円、営業利益が同10.4%増の46億円、経常利益が同12.6%増の49億円、純利益が同11.9%増の34億50百万円としている。

 円安、銅を中心とした非鉄市況の回復、レアメタル・レアアースの市況底打ち、富士プレスの新規連結などで増収・2桁増益予想である。売上総利益率は0.1ポイント上昇の7.3%、販管費比率は0.1ポイント上昇の5.2%を想定している。

 商社流通の電子機能材は売上高が11.5%増の630億円で経常利益が0.8%増の11億70百万円、商社流通のアルミ銅は売上高が1.9%増の1220億円で経常利益が9.9%減の8億円、製造の装置材料は売上高が14.1%増の190億円で経常利益が2.3倍の5億円、製造の金属加工は売上高が76.2%増の160億円で経常利益が15.9%増の24億30百万円の計画としている。

 通期予想に対する第1四半期の進捗率は売上高26.6%、営業利益36.9%、経常利益39.8%、純利益41.6%と高水準である。通期予想は増額の可能性が高いだろう。

 なお8月8日に株式2分割、および配当予想の増額修正を発表した。株式分割は8月31日を基準日(効力発生日9月1日)として1株を2株に分割する。配当予想は年間26円(第2四半期末13円、期末13円)とした。9月1日付の株式2分割を考慮して前回予想の年間44円を22円に換算すると4円増額となる。また前期実績の年間44円を22円に換算すると4円増配となる。予想配当性向は19.5%となる。

■中期経営計画で20年3月期ROE13~15%程度目標

 中期経営計画(18年3月期~20年3月期、1年ごとに見直すローリング方式)では、経営目標値を20年3月期の経常利益65億円超、純利益47億円超、ROE13~15%程度、NET/DER1.0~1.3倍程度としている。3年間の投融資総額はM&A・事業投資を中心に250億円の計画としている。

 商社機能と製造業を融合した「非鉄金属の総合企業」を目指して積極投資を推進する方針だ。グループのシナジー効果を高めて中期的に収益拡大基調が期待される。

■株価は目先的な過熱感を冷ましながら上値試す

 株価は第1四半期業績、さらに株式2分割と配当増額も好感して急伸し、8月23日には上場来高値3250円まで上伸した。

 8月25日の終値3060円を指標面(EPS、1株配当、BPSは9月1日付株式2分割前)で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS267円57銭で算出)は11~12倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間52円で算出)は1.7%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS2511円23銭で算出)は1.2倍近辺である。時価総額は約395億円である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインとなりそうだ。目先的な過熱感を冷ましながら上値を試す展開が期待される。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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