東大、湿布のように貼れる生体情報センサーを開発

2014年12月26日 14:53

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東京大学の染谷隆夫教授とリー・ソンウォン博士研究員らによる研究グループが開発した新型ゲルは、人の掌の形に追従して貼ることができます。新型ゲルの上に100円玉をのせて掌を振っても、ふり落ちないくらい表面に粘着性を有している(東京大学の発表資料より)

東京大学の染谷隆夫教授とリー・ソンウォン博士研究員らによる研究グループが開発した新型ゲルは、人の掌の形に追従して貼ることができます。新型ゲルの上に100円玉をのせて掌を振っても、ふり落ちないくらい表面に粘着性を有している(東京大学の発表資料より)[写真拡大]

  • 研究グループが開発したシート型センサーは、極薄高分子フィルム上に有機トランジスター集積回路を作製した後で、電極部分だけに粘着性ゲルを形成して作製される(a)。このセンサーを風船(白い部分)に貼り付けて、100%圧縮しても、壊れなかった(b)(東京大学の発表資料より)
  • ひずみセンサーは薄くてしなやかで、指にぴったりと密着させて貼り付けることができる。指の動きにより大きなひずみが加わっても、剥がれたり、壊れたりしない(東京大学の発表資料より)

 東京大学の染谷隆夫教授とリー・ソンウォン博士研究員らによる研究グループは、湿布のように体に貼り付けるだけで生体情報を計測できるシート型センサーの作製に成功した。

 人間の生体情報を計測する技術の研究開発が活発に進められているが、従来のエレクトロニクスは、シリコンを中心とした硬い電子素材で作られてきたため、装着時の違和感などが問題となっていた。

 今回の研究では、厚さ1.4マイクロメートルの極薄のポリエチレンテレフタレート(PET)という高分子フィルムに、高性能な有機トランジスターの集積回路を作製し、生体と直接接触する電極部分だけに粘着性のあるゲルを形成した。実際にこのゲルをラットの心臓の表面に張り付けたところ、3時間以上にわたって良好なコンタクトを維持できた。

 今後は、ヘルスケア、スポーツ、医療、福祉など多方面で、24時間ストレスなく生体情報を計測する技術に応用できると期待されている。

 なお、この内容は12月19日に「Nature Communications」に掲載された。

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