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インド人と金:それほど金が大好きな理由とは?
*09:13JST インド人と金:それほど金が大好きな理由とは?
金先物相場が急落しています。国際指標であるニューヨーク先物相場は27日、一時1トロイオンス=1196.10ドルまで下げ、節目の1200ドルを割り込む場面がありました。下落率は2011年9月の最高値から40%近くに達しました。
米連邦準備理事会(FRB)のバーナンキ議長が量的緩和第3弾(QE3)の早期縮小を示唆してから、国際商品市場からマネー流出の動きが加速。また、金消費大国である中国やインドの経済低迷が金相場を押し下げている面もあります。
さて、インドでは金輸入が貿易赤字を膨らませており、政府やインド準備銀行(中央銀行)は輸入関税の引き上げや銀行融資の制限などを相次いで打ち出しました。国際金相場の急落で輸入額が減ると見込まれていましたが、実際には「安くなったので個人による金需要が爆発的に増えた」ことが規制の背景にあります。
インド国内の金産出地は西南のカルナタカ州や北部ジャルカンド州にある三金鉱ですが、もちろん、これだけでは消費に追いつくことができず輸入に頼らざるを得ない状況が続いています。
さて、インド人は無類の金好きですが、この理由は何なのでしょうか?ひとつには財産価値のほかに、宗教的に「純粋さ」を表すと信じられているからです。上場企業であるデカン・ゴールド・マインズによると、金は精製過程で火をくぐり抜けることから「アグニの種」との異名を持っているようです。アグニとはインド神話に出てくる炎の神様で、赤色の体に炎の衣、二面二背で7枚の舌を持つ姿で描かれることが通例です。結婚と純粋さを結びつける情感に加え、特別な財産価値がインドの金過剰消費に結びついているのかもしれません。
蛇足ですが、西インドのアーメダバードには「ドル・ドヤ」と呼ばれる金の屑拾いが商売として成り立っており、月収は平均135ドルと現地にしては結構な稼ぎになっています。アーメダバードには宝石店が5000店も乱立しており、宝石職人の数は4万人を数えるとも。こうした職人が水浴びした際に出てくる金屑を、排水管を漁ることでかき集めるといった場面も日常茶飯事です。
(フィスコ・リサーチ・レポーター)《RS》
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