AMD、OpenAI・メタへの新株予約権で11億ドルの評価損―7〜9月期決算に初めて計上

2026年11月5日 21:25

 米半導体大手アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)は、2026年7〜9月期(第3四半期)決算で、オープンAIおよびメタ・プラットフォームズとの半導体供給契約に関連する11億ドル(約1740億円)の非現金費用を計上した。両社との契約がAMDの決算数値に影響を及ぼしたのは今回が初めて。契約では、両社が一連の条件を達成すれば、AMD株を1株1セントで合計最大3億2000万株取得できる権利が付与されている。

■売上高は134億ドル、調整後EPSは2.09ドル

 この費用は、AMDの決算の調整表上で希薄化後1株当たり66セントに相当する。同社が新型AI半導体「Instinct MI450」シリーズの出荷を開始したことに伴って計上された。

 7〜9月期の売上高は134億ドル(約2兆1200億円)、希薄化後1株当たり利益(EPS)は1.46ドルだった。新株予約権(ワラント)の再評価やその他の項目を除いた調整後EPSは2.09ドルだった。前四半期には、ワラント関連の同様の費用は計上されていなかった。

■各社に最大1億6000万株分のワラント

 AMDは2025年10月にオープンAIと、2026年2月にメタとそれぞれ契約を結んだ。いずれも最大6ギガワット分のAMD製GPU(画像処理半導体)の導入を対象としており、計画されているAIインフラの規模を示している。AMDは契約の一環として、両社にそれぞれ最大1億6000万株を1株1セントの固定価格で取得できるワラントを付与した。

 すべてのワラントを行使した場合、オープンAIとメタが支払う金額は合計320万ドル(約5億600万円)にとどまる。一方、AMDの3日の終値(約484ドル)で計算すると、対象株式の時価は約1550億ドル(約24兆5000億円)に上る。全て行使されれば、両社は発行済み株式数が増えた後のAMD株の約16%を保有することになり、既存株主の持ち分比率は低下する。

 株式の権利は、顧客が購入数量の節目に到達し、AMDが株価目標を達成するのに応じて段階的に確定する。さらに各トランシェ(区分)には、顧客が行使する前に満たすべき技術面・商業面の条件が設けられている。AMDは四半期報告書(10-Q)で、四半期末の9月26日時点でワラント対象株式の権利確定や行使可能となったものはないと説明した。

■株価上昇で費用拡大の可能性

 ジーン・フー最高財務責任者(CFO)は3日、アナリスト向け説明会で、MI450の初回出荷を受けてワラントの会計処理を開始したと述べた。再評価による費用は主に、株価の上昇と、顧客が条件を満たす可能性に関するAMDの見積もりの変更を反映したものだという。フーCFOは、契約の進展に伴い費用が拡大する可能性があり、金額はAMDの株価に左右されると説明した。再評価自体はフリーキャッシュフローに直接影響しない。

 10-Qでは、契約が売上高に与える影響も示された。AMDは、ワラントの付与日公正価値のうち未認識の45億ドル(約7110億円)について、両社への対象売上高の計上に比例して売上高の減額として認識する見通しを開示した。この会計処理は、11億ドルの費用をもたらした四半期ごとの再評価とは別のものである。

■データセンター部門は過去最高、27年は80%超の増収見込み

 データセンター向け半導体の需要が追い風となり、同部門の売上高は前年同期比97%増の85億ドル(約1兆3400億円)と過去最高を更新した。AMDは10〜12月期(第4四半期)の売上高を約170億ドル(約2兆6900億円)と見込んでおり、中央値で前年同期比約66%増となる。リサ・スー最高経営責任者(CEO)はアナリストに対し、2027年の売上高は80%を超える伸びになるとの見通しを示した。

 AMDはすでに需要への対応に向けた支出を進めている。在庫は前四半期から約30億ドル(約4740億円)増えて約115億ドル(約1兆8200億円)となった一方、フリーキャッシュフローは前四半期の15億6000万ドル(約2460億円)から5億5400万ドル(約875億円)に減少した。8月に47億5000万ドル(約7510億円)の社債を発行し、満期を迎えた8億7500万ドル(約1380億円)の債券を償還した結果、負債元本の総額は71億ドル(約1兆1200億円)に達した。

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