KOMPEITO:設置型健康社食「OFFICE DE YASAI」を展開、黒字転換からの積み上げに注目
2026年11月5日 10:55
*10:55JST KOMPEITO:設置型健康社食「OFFICE DE YASAI」を展開、黒字転換からの積み上げに注目
KOMPEITO<a href="https://web.fisco.jp/platform/companies/0618A00?fm=mj" target="_blank" rel="noopener noreferrer"><618A></a>は、オフィスに専用冷蔵庫・冷凍庫を設置し、サラダ・フルーツ・惣菜・弁当などの健康的な食事を提供する設置型健康社食サービス「OFFICE DE YASAI(オフィスでやさい)」を主力とする、食の福利厚生プラットフォーム企業である。2026年9月に東証グロース市場へ上場した。商品は100円・200円といった固定価格で手に取りやすく、毎月入れ替わる160品以上のラインナップで「飽きさせない」運営を徹底する。オフィスでやさい事業は売上高の95.4%を占める。2026年8月末の本契約社数は7,056社に達し、グループリカーリング収益は毎四半期着実に積み上がっており、解約されない限り積み上がるARR(年間経常収益)を基盤とするSaaS型のストック収益構造を持つ。グループには給食事業を展開する優食、牛乳販売店等の配送網を取り込んだODYデリバリーズを抱え、米国では日系企業を中心に「Lumeal」を展開する。競合は置き型社食「オフィスおかん」を運営するOKAN(非上場)が存在するが、サービス立ち上げから10年強で独自の地位を築いている。
同社の強みは、第一に、地道に築いたネットワークの掛け合わせによる参入障壁である。消費期限の短い生鮮食品を全国に届けるサプライチェーンを、倉庫・仕入先を委託するアセットライトなモデルとラストワンマイルの自社配送網の組み合わせで実現しており、サービスの立ち上げ自体は容易でも、事故なく安定的に生鮮を届け続けるオペレーションの構築は難しい。実際、過去に参入した企業も体制構築・維持が難しく、参入と撤退が繰り返されてきた市場であり、「参入障壁が低そうに見えて高い」ビジネスモデルとなっている。第二に、地方銀行・信用金庫をはじめとするパートナーセールス網である。新規顧客獲得の64%をパートナー経由が占め、広告宣伝に頼らない低コストの顧客獲得を可能にしている。本契約企業の半数以上は地方企業だが、都市・地方や業種を問わず幅広い需要を取り込んでいる。「福利厚生×食」では選択肢が絞られるうえ、単なる配送ではなく健康的な商品を選びたいという企業ニーズが同社に有利に働く。第三に、解約率の低さを支える商品力と顧客対応である。月次解約率は直近12カ月平均で1.1%と低位にあり、オフィスワーカー向けに食べやすさを工夫したPB商品の開発や原材料高騰時の内容物コントロール、カスタマーサクセスによる定期フォローで利用の定着を図っている。解約の主因は「想定ほど利用が広がらなかった」「福利厚生制度の見直し」といったものであり、商品ラインナップの拡充と定着支援により解約率は低下傾向にあるという。朝一番に入荷した生鮮品を夕方の配送時間までにピッキングして届けるという、規模が大きくなるほど難度が増す倉庫オペレーションを回し切っている点も、外からは見えにくい競争力となる。
直近の業績を確認すると、2026年8月期は売上高98.65億円、営業利益8.95億円(営業利益率9.1%)と明確な黒字転換を果たした。ストック収益の積み上げ・限界利益率の改善などにより、損益分岐点を越え営業レバレッジの効くフェーズとなるなか、売上拡大に伴う広告宣伝費比率の構造的な低下が寄与した。顧客単価(ARPU)も2026年5月末の134万円から期末には137万円へ上昇、価格改定に加え、契約プランの拡張・併用が単価を押し上げている。インフレで仕入値が上昇するなかでも、商品の付加価値向上を伴う価格改定と、PB商品による内容量・メニューの機動的なコントロールを組み合わせて収益性を確保した。従業員が1品100円から購入できる手頃さは保たれており、価格改定を続けながら解約率が低下している点は、同社のプライシングパワーを示すものだ。ARRは96.8億円(前期比55%増)へ積み上がった。
2027年8月期の業績は、売上高136.83億円(前期比38.7%増)、営業利益17.05億円(同90.5%増)を見込んでいる。引き続きオフィスでやさい事業における堅調な成長を計画するが、リカーリング収益の積み上がりにより期の後半にかけて売上高が増えていく構造や、広告宣伝・営業獲得投資とPS人員の増員の上期先行により、営業利益は下期偏重を計画となっているようだ。期末時点の本契約社数は7,056社(前期比32%増)と新規獲得を伸ばし、ARPUは150万円(同9%増)と社数当たり単価を増加させていく方針である。
市場環境について、⼤掛かりな投資をして社員⾷堂を設置するor社⾷なし、の2択になっていた社⾷市場の空⽩を埋める新規市場となる。健康経営や⼈⼿不⾜に伴う福利厚⽣強化のトレンド、⾷事補助上限の引き上げ、従業員側の節約志向の⾼まりなど追い⾵の状況となるなか、ターゲット×ARPUにより規定されるSAMは約9,000 億円(SMB企業数70.5万社×顧客当たり年間売上134万円)となる。足元のARR96.8億円からは、SAMに対する浸透率は約1%と計算されており、依然として顧客獲得余地は大きいと言えよう。
将来戦略では、本契約社数とARPUの上昇がドライバーとして意識している。顧客獲得については月200社超のペースで契約を積み上げており、パートナーセールス人員の採用・増強と提携金融機関網の深耕で成長を持続させていく。提携金融機関は既に85行まで開拓しており、今後は既存提携先からの紹介件数の最大化とパートナーセールス体制の拡充が成長の鍵を握る。ARPU向上では、商品ラインナップの拡充や決済アプリを通じた顧客接点の強化をポイントとして、解約率の低減も図っていく。そのほか、配送網に対しては、マテハン機器を含めた物流投資や⾃社配送網強化のためのM&Aを継続し、配送費率の圧縮と自社配送エリアの拡大を進め、中長期的には7,000社超の顧客基盤と全国配送網に食以外の商品・サービスを載せるプラットフォーム構想も描く。海外では、米国のLumealが、外食比率が高く身近で健康的な食事を買う選択肢が日本より少ない市場特性を踏まえ、日本で確立した運営ノウハウと受発注・購買データ管理の仕組みを武器に日系企業中心に展開を進めている。国内の成長余地が依然として残っている中、すでに海外市場もターゲットにして長期的な成長を図っている点はポジティブに捉えられそうだ。
株主還元については、現在は配当を実施しておらず、黒字化初年度として成長投資を優先する段階にある。
総じて、KOMPEITOは「はたらく人の食と健康のインフラをつくる」ことを目指し、生鮮コールドチェーン×パートナーセールス×低解約率という再現の難しい組み合わせで、黒字転換とともに収益化フェーズへ移行した。先行投資期の赤字イメージから脱却し、今期も大幅増収増益見通しを見据える中、ARRの積み上がりに注目していきたい。機関投資家に誤解されがちな参入障壁の高さが市場全体に理解されるにつれ、設置型健康社食のリーディングカンパニーとしての評価が進むことを期待したい。《FA》