韓国の10月半導体輸出、全体の約49%に 年間輸出1兆ドルは11月到達見通し
2026年11月3日 11:21
韓国の2026年10月の半導体輸出は、前年同月比259.4%増の564億4000万ドル(約8兆9200億円)となった。財輸出全体の約49%を占め、AIインフラ投資に伴うメモリー需要が輸出拡大を支えている。年間累計輸出額は10月までに約9300億ドルに達し、韓国政府は11月中に初めて1兆ドル(約158兆円)を超えると見込んでいる。
■半導体が財輸出のほぼ半分に
韓国産業通商部が11月1日に公表した10月の輸出入動向によると、輸出総額は前年同月比93.7%増の1152億8000万ドル(約18兆2000億円)だった。10月として過去最高で、月間では9月に次ぐ規模となった。半導体の構成比は、公表額から計算すると49.0%になる。
同部は、世界の大手テクノロジー企業がAI分野への設備投資を続け、半導体の輸出単価と出荷数量が高い水準を維持したと説明している。半導体以外の輸出額も前年同月比で約34%増加し、主要20品目のうち18品目が前年を上回った。
輸入額は36.0%増の727億8000万ドル(約11兆5000億円)で、貿易黒字は425億ドル(約6兆7200億円)だった。稼働日数を調整した1日当たり輸出額も約76%増の52億4000万ドル(約8280億円)となり、日数の増加を上回る輸出拡大が続いた。
■月間記録を重ね、年間輸出1兆ドル(約158兆円)へ
半導体輸出は2026年を通じて拡大してきた。産業通商部の当時の発表では、6月に448億2000万ドル(約7兆800億円)となり、初めて400億ドル(約6兆3200億円)を突破した。韓国は同月、ドイツ、中国、米国に続き、月間輸出総額が1000億ドル(約15兆8000億円)を超えた4番目の国になった。
7月の半導体輸出は410億1000万ドル(約6兆4800億円)、8月は466億5000万ドル(約7兆3700億円)だった。8月は当時公表された輸出総額982億5000万ドル(約15兆5000億円)の47.5%を半導体が占めた。9月には半導体輸出が約603億ドルに達し、10月はその最高額に次ぐ実績となった。
輸出総額も高水準で推移している。韓国関税庁が11月2日に掲載した最新の月次系列では、6月が1019億5800万ドル(約16兆1000億円)、7月が992億500万ドル(約15兆7000億円)、8月が983億7400万ドル(約15兆5000億円)、9月が1210億5000万ドル(約19兆1000億円)となっている。9月の前年同月比増加率は83.7%だった。
ロイターが9月5日に報じた関税当局の集計によると、1~8月の半導体輸出は前年同期比169.6%増の2810億ドル(約44兆4000億円)で、輸出全体の41%を占めた。9月5日までの累計輸出額は7094億ドル(約112兆円)に達し、2025年通年の過去最高額7093億ドル(約112兆円)を上回った。
1~9月の輸出総額は約8147億ドルで、10月までの累計は約9300億ドルとなった。年間1兆ドル(約158兆円)まで残るのは約700億ドルだ。金正官・産業通商部長官は11月1日の発表で、年間輸出額は11月中に1兆ドル(約158兆円)に達するとの見通しを示した。
■サーバーSSDが急伸、他の品目にも違い
コンピューター輸出は前年同月比496.6%増の58億5000万ドル(約9240億円)となり、主要品目で最大の伸び率を記録した。産業通商部は、AIサービスの普及に伴うサーバーインフラ投資と、サーバー向けSSD需要の増加を背景に挙げている。
Aju Pressによると、サーバー向けSSDの輸出額は前年同月の約8億2000万ドルから約56億4000万ドルへ増え、伸び率は584.3%だった。データセンターの拡張は、演算用の半導体とともに、大量のデータを保存するストレージの需要も押し上げている。
自動車輸出は18.1%増の65億5000万ドル(約1兆300億円)で、10月として過去最高となった。秋夕の連休が前年の10月から2026年は9月へ移り、10月の稼働日数が20日から22日に増えたことも寄与した。Aju Pressによると、ハイブリッド車は53.1%増の20億6000万ドル(約3250億円)、電気自動車は41.6%増の10億4000万ドル(約1640億円)、内燃機関車は0.4%減の34億5000万ドル(約5450億円)だった。
一方、船舶輸出は43.6%減の26億4000万ドル(約4170億円)となった。産業通商部は、前年同月に24億7000万ドル(約3900億円)の海洋プラント輸出があった反動と説明している。Aju Pressによると、生活用品の輸出も13.4%減少した。
石油製品は80.0%増の69億2000万ドル(約1兆900億円)、石油化学製品は27.5%増の約40億ドルだった。産業通商部によると、高水準の国際原油価格が輸出単価を押し上げた一方、数量はそれぞれ7.5%、6.8%減った。輸出額が伸びる品目でも、価格と数量の動きには違いがある。
■HBMがAIのデータ供給を支える仕組み
AI向けメモリーの中心となるHBMは、複数のDRAMチップを積層し、幅広い接続を通じて大量のデータをやり取りする高帯域幅メモリーだ。HBM3EにはDRAMを8層や12層に重ねた製品がある。各層を接続するTSVは「シリコン貫通電極」と呼ばれ、シリコンチップの表裏を電気的につなぐ。
HBMはGPUなどの演算チップの近くに配置される。例えばTSMCのCoWoS-Sは、シリコンインターポーザーと呼ぶ配線用基板上に、演算チップとHBMを載せる2.5D実装技術だ。IntelのEMIBも高密度なチップ間接続に使われるが、基板に埋め込んだ小型のシリコンブリッジで接続する構造を採る。
メモリーの接続幅はHBM3が1024ビット、HBM4が2048ビットである。一般的なDDR5メモリーモジュールはデータ幅が合計64ビットで、転送速度やシステムのチャネル数に応じて帯域幅が変わる。HBMは広い接続幅と近接配置によって、演算チップへ高速にデータを供給する。
大規模言語モデルの推論では、モデルの重みや処理途中のデータを効率よく読み出すことが性能を左右する。NVIDIAの技術資料によると、700億パラメーターのモデルの重みを16ビット浮動小数点形式で保持するには約140GBが必要になる。必要な容量や転送量は、数値の精度、モデル構造、同時に処理する要求数などによって変わる。
SK hynixが公表したHBM3E製品の帯域幅は1スタック当たり毎秒1.18TBだ。GPU全体では複数のスタックを組み合わせ、NVIDIAのH200は141GBのHBM3eと毎秒4.8TBの帯域幅を備える。世代交代も進み、SK hynixは2026年第3四半期にHBM4の販売を拡大し、第4四半期には出荷数量と売上高の両方でHBM3Eを上回ると見込んでいる。
■韓国2社がHBM市場を主導
調査会社Counterpoint Researchによると、2026年第2四半期のHBM市場の売上高シェアは、SK hynixが50%、サムスン電子が33%、米Micronが18%だった。韓国2社の合計は約83%になる。同じ調査のDRAM市場全体では、サムスンが38%、SK hynixが25%で、合計は約63%だった。
SK hynixはHBMの初期から事業を展開してきた。2015年には、同社製HBMがAMDのFiji GPUに採用された。HBM3、HBM3Eへと製品を進化させ、NVIDIA向けHBMの主要供給元となっている。
サムスンも供給を拡大している。KB証券は2025年9月、同社の12層HBM3EがNVIDIAの品質試験に合格し、発注を受けたと報じられたことを伝えた。さらにInvesting.comが紹介したBernsteinの推計では、2026年第3四半期のサムスンのHBM売上高はSK hynixを上回った。
両社の製品構成はAIサーバー向けへ移っている。サムスンは10月29日の決算発表で、HBM4の販売を大きく増やし、サーバー向けSSD需要にも対応したと説明した。SK hynixもHBM4やサーバー向け高付加価値製品の販売拡大を発表し、DRAMとNANDそれぞれの生産工程を高度化している。
■価格上昇と生産能力の配分
HBMの需要増加は、従来型DRAMの供給にも影響する。Micronは投資家向け資料で、同じ製造世代で同じビット数を生産する場合、HBM3EはDDR5の約3倍のウエハーを必要とすると説明している。HBMの増産には、多くの前工程の生産能力と積層・実装工程が必要になる。
価格面でもHBMは高付加価値製品となる。William Blairの2026年の調査資料は、HBMの平均販売価格を従来型DDR DRAMのおよそ3~4倍としている。生産能力の配分と製品構成の変化は、メモリーメーカーの売上高や収益を左右する要素となっている。
汎用DRAMの価格も上昇している。Chosun Bizが韓国貿易統計振興院のデータとして報じたところでは、2026年8月1~20日のDRAM輸出単価は、モジュールを除く集計で1kg当たり9万2183ドル(約1460万円)となり、前年同期比401.0%上昇した。これは重量当たりの輸出単価で、製品の容量や仕様によっても変動する指標だ。
Benzingaによると、Goldman Sachsは2026年6月時点で、DRAMの供給不足率を2026年は5.0%、2027年は5.9%と予測していた。Chosun Bizは、SK hynixの郭魯正社長が2027年について、供給面でメモリー業界史上最も厳しい年になる可能性に言及したと報じている。
■米中の投資と輸出規制が左右する需要
需要は米国と中国の双方に広がっている。Aju Pressによると、2026年10月1~20日の輸出額は、中国、米国、ベトナムの3カ国向けが全体の52.7%を占めた。5月の中国向け半導体輸出も前年同月比243%増加しており、INGは米中のAI投資を韓国製品の需要を支える要因として挙げている。
10月通月でも両国向け輸出は増えた。聯合ニュースによると、中国向けは133.6%増の269億8000万ドル(約4兆2600億円)、米国向けは185.8%増の249億ドル(約3兆9300億円)だった。中国向けは半導体や無線通信機器、米国向けはAIインフラに使う半導体、コンピューター、電気機器などが伸びた。
半導体の供給先は輸出規制にも左右される。米商務省産業安全保障局は2024年12月、中国などを仕向け地とする一定のHBMに新たな輸出管理を導入した。対象となる外国製品も規制に含まれ、製品仕様や取引先などに応じた対応が必要になる。
供給側では新規参入も進む。Micronは2024年からNVIDIAのH200向けHBM3Eを量産している。ロイターは2026年10月28日、関係者の話として、中国のCXMTが国内AI半導体設計企業にHBM3Eの試作品を送り、今後2カ月以内の限定的な生産開始を計画していると報じた。
■投資拡大の見通しと韓国経済への波及
ロイターが10月27日に報じた韓国銀行の資料によると、Amazon、Google、Microsoft、Meta、Oracleの5社の設備投資は、2025年の約400億ドル(約6兆3200億円)から2026年には推定800億ドル(約12兆6000億円)、2027年には約1100億ドルへ増える見通しだ。Dell'Oro Groupも2026年2月の予測で、世界のデータセンター設備投資額が2030年に年間1兆7000億ドル(約269兆円)に達すると見込んだ。
メモリーメーカーも需要の持続を予測している。サムスンは2026年第3四半期決算で、2027年のAIインフラ投資が過去最高水準となり、AI向け需要が供給を大きく上回るとした。SK hynixも、先端工程の技術的な難しさと新工場建設に要する時間を理由に、需要超過が2030年まで続くとの見方を示した。
半導体への集中は、投資や価格の変動が韓国経済に波及する経路にもなる。ロイターによると、韓国銀行は米大手企業のAI投資が減速し、韓国製半導体の単価が10%下がる悲観シナリオを試算した。その場合、2027年の半導体輸出は従来予測を500億~1000億ドル(約7兆9000億~15兆8000億円)下回り、同年のGDP成長率を約0.4ポイント押し下げる可能性がある。
韓国銀行が8月27日に公表した基本見通しは、2026年の成長率が3.3%、2027年が2.9%だった。同行は半導体好況の波及効果が広がっているとする一方、半導体景気や中東情勢を見通しの不確実要因に挙げた。今後の輸出を見極めるには、AI設備投資の規模に加え、メモリー価格、生産能力の拡大、品目ごとの出荷数量を併せて追う必要がある。
元記事: South Korea Chip Exports Approach Half of Economy; First Trillion-Dollar Year Due in November