米マーベル、光部品大手ルメンタムを18.2兆円で買収 AIデータセンター高速接続を強化
2026年11月3日 10:15
米半導体大手マーベル・テクノロジーは11月2日、光部品メーカーのルメンタムを全株式交換方式で買収することで合意したと発表した。買収に伴うルメンタムの企業価値は1150億ドル(約18兆2000億円)。人工知能(AI)ブームを背景に、半導体同士やデータセンター間を結ぶ高速接続の需要が今後も続くとみて、大型投資に踏み切る。
■取引の概要
ルメンタムの株主は、保有1株につきマーベル株4.5株を受け取る。交換比率は固定のため、株主が受け取る対価の時価は一定の金額で保証されるものではなく、マーベルの株価に応じて変動する。1150億ドルという金額は負債を含む。
発表によると、この金額はルメンタム株1株当たり約1132ドルに相当し、買収観測が浮上する前の最終取引日である10月28日の両社の終値を基準に、約23.9%のプレミアムとなる。買収完了後の株式保有比率は、完全希薄化ベースでマーベルの既存株主が約67%、ルメンタムの株主が約33%となる見通しだ。
両社は、株主と規制当局の承認などを条件に、2028年上半期の買収完了を見込んでいる。
マーベルのマット・マーフィー会長兼最高経営責任者(CEO)は発表文で、「AIインフラは光接続に向けて根本的なアーキテクチャーの転換期にあり、一世代に一度の機会が生まれている」と述べた。さらに「この移行をいち早く進め、その形を決めていく企業が、今後数十年にわたって標準を確立する」と強調した。
■光接続の重要性が拡大
今回の買収は、導入が進む計算能力を支えるために、情報を十分な速さで伝送するという、重要性を増す課題に対応するものだ。
大規模言語モデルを開発・運用する企業にとっては、半導体同士を効率よく連携させる接続技術が欠かせない。システムが拡大するにつれ、プロセッサー、サーバー、施設の間を結ぶ接続部分が性能を左右する重要な要素となっている。
マーベルは、今回の統合により電気と光の技術を組み合わせ、さまざまなシステムや距離にわたって変化する要件に対応すると説明した。同社の戦略は、AIインフラの大規模化と複雑化に伴い、業界で光接続への依存が高まっていることを反映している。
マーベルは今年2月、光インターコネクト技術を手掛ける新興企業セレスティアルAIの数十億ドル規模の買収を完了している。ルメンタムの買収は、光技術分野への取り組みを大きく拡大することになる。
■AI投資の持続性に懸念も
今回の買収は、AIインフラ投資のペースが今後も続くのか、また投資がどの程度の速さで十分なリターンを生むのかについて、投資家の間で疑問が出ている中で発表された。マーベルは、こうした議論がハイテク株の重しとなる中で、事業拡大に踏み込む。
両社はいずれもAIへの期待の恩恵を受けてきた。マーベルの時価総額は過去3年間で3倍超に拡大し、ルメンタムの株価は2026年に入って2倍超に上昇している。
ただ、発表に対する市場の初期反応は否定的だった。取引開始前の時間外取引で、マーベル株は約3%、ルメンタム株は約4%下落し、取引開始後に下げ幅を広げた。2日の終値は、前営業日比でマーベルが12.72%安、ルメンタムが18.59%安だった。