ウクライナ、スターリンク規約違反を否定 マスク氏の攻撃利用批判に反論

2026年10月27日 12:36

 ウクライナの大統領顧問が、衛星通信サービス「スターリンク」を攻撃作戦に使用し、利用規約に違反したとする米実業家イーロン・マスク氏の主張を否定した。ロシアとの戦争が続く中、衛星通信の利用を巡るウクライナ側とマスク氏の対立が続いている。

 ウォロディミル・ゼレンスキー大統領の防衛技術顧問を務めるセルヒー・ベスクレストノフ氏は、通信アプリ「テレグラム」への投稿で、民間向けスターリンクに設けられた制限により、マスク氏が指摘するような利用はできないと説明した。

 ベスクレストノフ氏は「イーロン・マスク氏が、ウクライナでのスターリンク運用上の制限を知らないのは非常に奇妙だ」と指摘。同氏によると、民間向けサービスはウクライナ国内で端末の移動速度が時速70〜90キロに制限され、ロシア領内では利用できない。

 このため、「民間向けスターリンクを使って敵地深部への攻撃や中距離攻撃を行うことは、物理的に不可能だ」と反論した。

 これに対し、スターリンクを運営する米スペースXのマスク氏は週末、民間の商用サービスであるスターリンクを「人を殺傷する攻撃用ドローンの作戦に使うことは、これまでも認められておらず、認めるべきでもない」とXに投稿した。

 ウクライナ軍が規約に違反していたと主張し、「その抜け道は先週、塞がれた」とも述べた。一方、軍事向けの関連サービス「スターシールド」は別のシステムで、米政府が管理していると説明した。

 マスク氏はまた、スターリンクについて「少なくとも現時点では、妨害も破壊もされない唯一のシステム」であり、ウクライナの防衛に不可欠だと主張。「スターリンクが停止されれば、ウクライナの前線は直ちに崩壊する。これは脅しではなく、単に事実を述べている」と記した。

 さらに、戦争初期には他の通信手段がロシアによって破壊、妨害されたため、スターリンクがロシアによるウクライナ制圧を防ぐ上で重要な役割を果たしたと強調した。

 「スペースXは、地球上のどの民間企業よりも、はるかに多くウクライナの防衛に貢献してきた」とする一方、紛争の現実的な解決策を示さず、際限のない殺し合いを推し進める人々を「善人を装う邪悪な戦争屋」と非難。「軽蔑しかない」「地獄で焼かれろ」と激しい言葉で批判した。

 衛星通信の利用制限を巡っては、ウクライナ側が10月24日、スターリンクとスターシールドが制限前に必要としていた運用速度で再び使えるようになったと発表した。それまで1週間以上、高速移動時の接続が制限され、ロシアの攻撃用ドローンを迎撃する作戦などに支障が出ていた。

 米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは22日、ドナルド・トランプ米大統領がマスク氏に電話し、ウクライナ向けの制限解除を求めたと報じた。ウクライナ側は当初、十分な復旧を否定していたが、その後、ゼレンスキー大統領も必要な運用速度への回復を認めた。

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