サウジ、弾道ミサイル工場を拡張か 射程延長・搭載量増大の可能性

2026年10月24日 15:20

 サウジアラビアが弾道ミサイル工場を拡張している可能性があることが、米研究者による衛星画像分析で分かった。ロイター通信が10月23日に報じた。射程が長く、より重い弾頭などを搭載できるミサイルの生産につながる可能性がある。

 対象は、首都リヤドの西約200キロにあるアルドワダミの施設。ミサイルの能力向上は、イランに対する抑止力を強めるとともに、イランが支援するイエメンの武装組織フーシ派に対する軍事作戦を支える可能性がある。

 米フィラデルフィアに拠点を置くシンクタンク、外交政策研究所(FPRI)の研究者は、米衛星画像企業プラネット・ラボが2025年4月から2026年9月に撮影した商用衛星画像を分析した。

 研究者は、固体燃料式ミサイルのモーター製造に使う鋳込み用ピットを備えるとみられる新たな建物を特定した。ピットは、モーターのケースに推進剤の混合物を流し込み、固めるための設備。この建物は、既存の鋳込み設備があるとみられる建物の少なくとも2倍の大きさだという。

 別の新設建物は、推進剤の原料や完成したミサイル部品の保管に使われる可能性がある。モーター製造用とみられる建物の周囲には、事故による爆発から近隣施設を守る防護壁もあり、研究者は用途を推定する追加の根拠としている。

 ただ、拡張施設で製造するミサイルの種類は特定されていない。FPRIは、大型ミサイルの生産に対応する可能性に加え、既存規模のミサイルの生産量を増やすための設備である可能性も指摘した。

 固体燃料式ミサイルは長期間保管でき、液体燃料式より短時間で発射できるという軍事上の利点がある。

 今回の分析は、サウジと中国の長年にわたるミサイル分野の関係にも焦点を当てている。ロイターが取材した研究者や専門家は、サウジの保有ミサイルの構成や工場の特徴から、同施設が中国の技術に依存している可能性があると指摘した。

 ロイターが引用した機密解除済みの米中央情報局(CIA)の推計によると、サウジは1987年、中国から液体燃料式弾道ミサイル「DF-3」約40基を秘密裏に取得した。2014年4月の軍事パレードでは、そのうち2基を公開した。

 防衛情報会社ジェーンズも分析を検討し、新たな建物は生産能力の拡大、または射程の長いミサイルの開発を支援する動きを示している可能性があるとした。

 施設の拡張は、米国がサウジの発電用ウラン濃縮を支援する内容を含む民生用原子力協定案に対し、米議会の超党派の反対を強める可能性もある。

 研究者によると、拡張工事は2025年4月の整地から始まった。同年12月の画像では、屋根のない建設中の建物内に、ピットとみられる穴が2カ所確認できた。2026年9月の画像では防護壁が設置されていた一方、屋根は一部が未完成だった。

 FPRIは、設備の設置に数カ月かかる可能性があるものの、拡張施設は早ければ2026年末にも生産を始められる状態になると推定した。

 サウジの大使館と情報省、中国の大使館と国防省は、ロイターのコメント要請に回答しなかった。CIAはコメントを控え、ホワイトハウスも回答しなかった。

関連記事

最新記事