TSMC、7-9月期は過去最高益3.7兆円―2nmのウエハー売上比率が8%に拡大

2026年10月16日 23:21

TSMC(台湾積体電路製造)は10月15日、2026年第3四半期(7-9月期)の決算を発表した。純利益は過去最高となり、2nmプロセスのウエハー売上比率は前四半期の3%から8%に拡大した。同社は第4四半期(10-12月期)も2nmの急速な増産を見込む。

■売上高と純利益が拡大

第3四半期の売上高は1兆4942億4000万台湾ドル(約7兆2800億円)、純利益は7630億6000万台湾ドル(約3兆7200億円)だった。前年同期比で売上高は50.9%、純利益は68.7%増加し、純利益は6四半期連続で過去最高を更新した。希薄化後1株利益は29.43台湾ドル、米国預託証券(ADR)1単位当たりでは4.60ドルだった。

ドル建て売上高は467億2000万ドル(約7兆3800億円)で、前年同期比41.2%増。TSMCが事前に示した第3四半期の売上高見通し446億~458億ドル(約7兆500億~7兆2400億円)の上限を9億2000万ドル(約1450億円)上回った。前四半期比では、台湾ドル建て売上高が17.6%、純利益が8.0%増加した。

粗利益率は66.4%、営業利益率は58.7%、純利益率は51.1%だった。前年同期の粗利益率は59.5%である。

■2nmの売上寄与が拡大

TSMCの資料によると、2nmがウエハー売上に占める比率は第2四半期の3%から第3四半期には8%へ、5ポイント上昇した。第3四半期は3nmが33%、5nmが28%、7nmが10%を占め、7nm以下の先端プロセスの合計は79%だった。

顧客の設計活動も進んでいる。TSMCの張暁強上級副社長は2026年7月、N2の量産開始後2年目のテープアウト数が、同じ段階の3nmの4倍に達したと説明した。テープアウトは、チップ設計を製造工程に引き渡す節目を指す。KLAの幹部Ahmad Khan氏は2025年、N2向けに約15社が設計を進め、そのうち約10社が高性能コンピューティング分野の顧客だと述べた。

消費者向け製品では、Appleが9月に発売したiPhone 18 ProとiPhone 18 Pro Maxに、2nmプロセスで製造したA20 Proを搭載している。AMDも、Instinct MI450シリーズに属するMI455Xの仕様にTSMCの2nmプロセスを記載している。これらは2nmの用途がスマートフォンと高性能計算の双方に広がっていることを示す例だ。

台湾では、新竹のFab 20と高雄のFab 22で2nmの量産が進む。専門メディアでは、TSMCが2nmの月間ウエハー投入量を2026年前半の約5万~6万枚から年末に約10万枚へ増やす計画だと報じられている。

■ナノシート構造を採用したN2

N2は、TSMCが量産プロセスで初めてゲートオールアラウンド(GAA)型のナノシートトランジスタを採用した世代だ。同社が16nm世代から使ってきたFinFETでは、ゲート電極がフィン状のチャネルを3方向から囲む。GAA型では、積層した薄いチャネルをゲートが周囲から取り囲み、電流をより細かく制御する。

TSMCによると、N2はN3Eと比べ、同じ消費電力で最大15%の速度向上、または同じ速度で最大30%の消費電力削減を見込む。チップ密度の向上幅は15%超としている。性能値はプロセス技術の比較であり、個々の完成品の性能は設計によって変わる。

2nmへの設計移行には、性能や消費電力だけでなく、製造費用や必要な生産能力も関わる。TSMCはN2の増産と顧客の設計件数の増加を示しているが、第3四半期の売上比率だけから個別製品の供給量を読み取ることはできない。

■高性能コンピューティングが売上高の68%に

TSMCの分類では、AIアクセラレーターやデータセンター向けプロセッサーなどを含む高性能コンピューティング(HPC)が、第3四半期売上高の68%を占めた。HPCの売上高は前四半期比22%増加した。一方、スマートフォン向けは売上高の21%だった。

HPCにはAI以外の半導体も含まれる。AI向け製品の需要動向を考えるうえでTSMCの業績は重要だが、HPCの売上比率をそのままAI向け売上比率と読むことはできない。調査会社Counterpoint Researchによると、TSMCは2026年第1、第2四半期とも世界の専業ファウンドリー市場で73%のシェアを占めた。

AIサーバー向けでは、NVIDIAがVera Rubinプラットフォームの量産を発表している。TSMCの先端プロセス需要を考える際には、2nmに加え、3nmなど他の世代の供給動向も重要になる。

■2nmの増産が粗利益率に影響

第3四半期の粗利益率66.4%は、前四半期から1.3ポイント低下した。TSMCの黄仁昭最高財務責任者(CFO)は、主因として2nmの量産立ち上げに伴う利益率への影響を挙げた。新しい製造工程では、設備や生産量、歩留まりなどが製造コストを左右する。

TSMCが示した第4四半期の粗利益率見通しは65~67%で、中央値は66%となる。同社は2nmの増産に加え、海外工場の立ち上げも利益率を押し下げると見込む一方、生産性改善などで一部を補うとしている。

■第4四半期の見通しと設備投資

TSMCは第4四半期の売上高を523億~543億ドル(約8兆2600億~8兆5800億円)、営業利益率を56.5~58.5%と予想する。見通しの前提為替レートは1ドル=31.8台湾ドルだ。売上高の中央値533億ドル(約8兆4200億円)は、第3四半期比約14%増、前年同期比約58%増に相当する。

黄CFOは、第4四半期の事業を先端プロセスへの強い需要と2nmの急速な増産が支えるとの見方を示した。TSMCは2026年の設備投資計画600億~640億ドル(約9兆4800億~10兆1000億円)を維持し、2026~2028年の投資額はその前の3年間を大きく上回ると見込む。

米アリゾナ州では、TSMCが投資計画を総額2650億ドル(約41兆9000億円)まで拡大している。第1工場は4nmを生産中で、第2工場は3nmの量産を2027年第3四半期に始める予定だ。建設が進む第3工場には2nmとA16を導入する計画で、台湾で始まった2nm生産の拠点を将来、米国にも広げる。

元記事: TSMC 2nm Jumps to 8% of Revenue in One Quarter: Fastest Node Ramp on Record

関連記事

最新記事