舞台『千と千尋の神隠し』ワールドツアー、千尋役は7人に 井上和・豊嶋花・平澤宏々路が参加
2026年10月16日 23:21
舞台『千と千尋の神隠し』の2026~2028年ワールドツアーで、主人公・千尋を演じる7人が発表された。新たに加わるのは乃木坂46の井上和、豊嶋花、平澤宏々路の3人だ。ツアーは2026年12月17日に台北で開幕し、2027年には東京など国内5都市、トロント、ロサンゼルスを巡る。
■初演から続く複数キャストの千尋
橋本環奈と上白石萌音は、2022年の帝国劇場での世界初演から千尋役を務めてきた。福地桃子は2024年の再演から参加。ロンドン、上海、ソウル公演で千尋の代役などを務めた森莉那は、今回、本役として出演する。
東宝の公式サイトは、この4人と新キャスト3人を千尋役として掲載している。各会場に誰が出演するかは、決まり次第案内するとしている。7人という発表はツアー全体の配役を示すもので、各公演の出演者を知るには今後の案内を確認する必要がある。
物語では、湯婆婆との契約によって千尋の名が「千」に変わる。千尋とハクが自分の名前を思い出す場面は、異世界で過ごす二人の歩みを印象づける。俳優ごとの声や動きの違いを通じて、同じ役が公演ごとにどう表現されるかも、複数キャストで上演される舞台の見どころとなる。
■回転する油屋と、操演者が見える人形
舞台版を翻案・演出したのはジョン・ケアード、美術を手掛けたのはジョン・ボウサーだ。ボウサーは能舞台の建築から着想を得て、油屋を表す木造の構造物を回転舞台に載せた。舞台が回るにつれて別の場所が現れ、映画の中を歩き回るような場面転換を生み出している。
能舞台には、主な演技の場である本舞台と、登場人物がそこへ進む橋掛かりがある。客席から見える通路を使った出入りは、千尋が見知らぬ世界へ踏み込む物語と重ねて楽しめる。油屋の部屋を次々に見せる回転舞台も、広い建物の内部を一つの舞台に収める工夫だ。
トビー・オリエがデザインと演出を担当した人形も、この舞台を特徴づける。文楽の人形遣いを思わせる、複数人で一体を動かす手法が使われ、操演者の姿も観客から見える。カオナシは、周囲の人々を取り込むにつれて、動きを担う人数が増える形で表現される。
こうした場面では、観客は登場人物の動きと、それを作り出す俳優や操演者の動きを同時に見る。映像の姿をそのまま舞台に置き換えるのではなく、人の身体、装置、人形を組み合わせて油屋とその客たちを描くところに、舞台版ならではの面白さがある。久石譲による映画の音楽も、オーケストラの生演奏で物語を支える。
■千尋の成長を描く物語
引っ越し先へ向かう千尋は、両親とともにトンネルを抜け、八百万の神々が訪れる世界へ迷い込む。両親が豚に変えられた後、千尋は人間の世界に戻るため、湯婆婆が営む油屋で働き始める。慣れない仕事や出会いを重ねながら、少しずつ自分で行動する力を身につけていく。
人類学者ヴィクター・ターナーが論じた「境界状態」は、日常の立場を離れ、次の立場へ移る途中の状態を指す。千尋が家族と離れ、油屋で新しい規則を学び、再び両親と歩き出す展開を読む手掛かりになる。名前をめぐる場面も、その変化を際立たせている。
油屋に現れるオクサレ様の場面には、もう一つの見どころがある。千尋たちが身体に刺さった自転車などのごみを引き抜くと、汚れに覆われていた客は河の神として姿を現す。大勢で力を合わせる舞台上の動きに、川からごみを取り除くという映画の場面が重なる。
■台北から国内、北米、ロンドンへ
東宝によると、舞台版は2022年に帝国劇場で初演された。2024年にはロンドン・コロシアムで上演され、現地公演の公式サイトは観客数を30万人超としている。2025年にはオリヴィエ賞の4部門にノミネートされ、第25回WhatsOnStage Awardsで最優秀新作演劇賞を受賞した。
その後、上海とソウルでも公演が行われた。東宝発表では、両都市の公演は全日程が完売し、2026年3月のソウル公演終了までの累計上演回数は491回、観客動員数は90万人を超えた。今回のツアーも日本のカンパニーが各地へ赴き、日本語で上演する予定だ。
ツアーは台北の国家戯劇院で2026年12月17日から2027年1月31日まで上演される。国内では東京・明治座が2027年3~5月、愛知・御園座が6月、大阪・梅田芸術劇場メインホールが6~7月、福岡・博多座が7~8月、札幌文化芸術劇場 hitaruが8月に予定されている。
海外では、トロントのプリンセス・オブ・ウェールズ・シアターが2027年5月6日~8月15日、ロサンゼルスのアーマンソン・シアターが同年9月2日~10月24日に公演を予定する。2028年3~7月にはロンドン・コロシアムへ戻る。各公演の出演者やチケット情報は、公式サイトなどで順次案内される。
米国では2026年10月1日と8日、GKIDSとFathom Entertainmentが、橋本環奈版と上白石萌音版の帝国劇場公演をそれぞれ映画館で上映した。アニメーション映画版も、公開25周年を記念して同年10月17~21日に米国で上映される予定だ。
元記事: Spirited Away Stage Tour Casts Seven as Chihiro: Identity Is Name, Not Body