『ハムナプトラ』新作でフレイザーとワイズが再共演 「死者の書」など5つの題材を読み解く
2026年10月16日 22:39
ブレンダン・フレイザーとレイチェル・ワイズが、『ハムナプトラ』シリーズの新作でリックとエヴリンを再び演じる。10月14日に広まった撮影写真には、二人がそろって写っている。新作の原題は『The Mummy: Book of the Dead』で、2027年10月15日に全米公開される予定だ。
作品の筋書きはまだ公表されていない。これまでの映画に登場したミイラや呪文、スカラベなどを、古代エジプトの資料や現代の研究に照らすと、冒険を彩る表現に重ねられた歴史的なイメージが見えてくる。
■新作で再びそろうリックとエヴリン
ワイズがエヴリンを演じるのは、2001年公開の『ハムナプトラ2/黄金のピラミッド』以来となる。フレイザーは2008年の第3作『ハムナプトラ3 呪われた皇帝の秘宝』にも出演したが、同作のエヴリン役はマリア・ベロが務めた。今回の新作には、エヴリンの兄ジョナサン役のジョン・ハナーと、メジャイの戦士アーデス・ベイ役のオデッド・フェールも復帰する。
監督は「Radio Silence」として活動するマット・ベティネリ=オルピンとタイラー・ジレット、脚本はデヴィッド・コゲシャルが担当する。Varietyによると、フレイザーは製作総指揮も務める。新キャストのマイケル・ジョンストンは英誌Attitudeに、自分は新しい人物を演じ、映画は初期作品の作風に戻ると語った。
日本での正式な作品名や公開日は、現時点で確認できた情報には含まれていない。1999年公開の第1作では、リックたちが死者の都ハムナプトラで神官イムホテップの封印を解き、物語が動き出した。映画の舞台を知ることは、新作で再び顔をそろえる人物たちの役割を考える手掛かりにもなる。
■ミイラに残るもの、儀礼が託したもの
第1作では、乾き切ったイムホテップの肉体が再生していく。現実のミイラ化では、遺体の水分を取り除いて保存するため、天然の塩であるナトロンが使われた。メトロポリタン美術館によると、肝臓、肺、胃、腸を取り出して別に保存する方法があり、心臓は知性に関わる器官と考えられて体内に残された。
保存された遺体には、現在の研究で読み取れる情報もある。2017年の査読論文では、研究チームがエジプトのミイラ90人分からミトコンドリアの全ゲノムを、うち3人からは核ゲノム全体にわたる遺伝情報を得た。試料は中部エジプトの一つの遺跡から採取され、新王国時代からローマ時代まで約1300年間に及ぶ。
遺伝情報を読み取る研究と、映画で呪文を通じて肉体がよみがえる場面は、保存された身体に何を見いだすかという点で響き合う。一方、古代エジプトのミイラ化には、遺体を保つ作業とともに、死者が来世で存在し続けるための儀礼という意味があった。映画はその宗教的な願いを、目に見える肉体の変化として描いている。
■「死者の書」と言葉の働き
映画では「死者の書」を読み上げる行為が、物語を大きく動かす。実際の「死者の書」は一冊の固定した物語ではなく、死者が来世の試練を越えるための呪文の集成だった。シカゴ大学の古代文化研究所によると、呪文はパピルスのほか、包帯や護符などにも記された。
古代エジプトの宗教儀礼では、書かれた言葉や唱えられる言葉が重視された。シカゴ大学のエジプト学者フォイ・スカルフは、「死者の書」を、死後の危険を避けて永続する生へ向かうための案内として説明している。オシリスと結び付くことも、その行き先の一つだった。
言葉を発することが場面を変えるという映画の作りは、呪文が死者を助けると考えられた宗教文化を連想させる。画面上では短い朗読が劇的な変化を起こすのに対し、実際の文書には複数の呪文と図像があり、死者ごとに内容も異なった。その広がりを知ると、映画の「本」が担う役割もより鮮明になる。
■スカラベに重なる再生の象徴と昆虫の生態
第1作で群れをなして人を襲うスカラベは、古代エジプトで親しまれた象徴を恐怖の映像に転じたものだ。大英博物館によると、フンコロガシが糞玉を転がす姿は太陽の運行と結び付けられ、スカラベの姿をした神ケプリは日の出や再生と関係付けられた。
スカラベの護符も、死者のために使われた。メトロポリタン美術館によると、大きな「心臓のスカラベ」には、来世の審判で心臓が死者に不利な証言をしないよう求める呪文が刻まれ、ミイラの胸に置かれた。映画では、再生を思わせる形が、イムホテップを閉じ込める不気味な存在として現れる。
フンコロガシには、生態そのものにも興味深い研究がある。2013年に発表された査読論文では、夜行性のフンコロガシの一種Scarabaeus satyrusが、月のない夜に天の川の明るい帯を方角の手掛かりにして糞玉を運ぶことが示された。古代エジプトのスカラベの象徴と研究対象の種は区別しつつ、甲虫を見つめる二つの視点を楽しめる。
■メジャイと、砂に隠れた都市
アーデス・ベイが属するメジャイには、実在した名称が使われている。メジャイはもともとヌビアに由来する人々を指し、後にエジプトでは警備や治安維持に携わる人々の呼称にもなった。王家の谷周辺の墓地を守る役割は、映画でアーデス・ベイたちが墓所を見張る姿と通じる。
ハムナプトラは映画のために作られた死者の都だが、実際のエジプトにも広大な墓地がある。王家の谷には新王国時代の王墓が築かれ、メンフィス近郊のサッカラでは墓の発見が続く。オシリス信仰と結び付いたアビドスも、死後の世界を思い描くうえで重要な場所だった。
砂に覆われた都市の発見も、映画の景観に別の奥行きを与える。エジプト政府は2021年、ルクソール近郊で、アメンホテプ3世の時代にさかのぼる都市遺跡の発見を発表した。新作の物語がどこへ向かうかは今後の発表を待つことになるが、実在の墓地や都市遺跡を知れば、シリーズが描く探索の風景をいっそう豊かに眺められる。
元記事: Mummy 4 Reunites Fraser and Weisz: Franchise Magic Words Come From Real Egyptian Doctrine