中国版Apple Intelligence、10月末に試験提供へ アリババのAIモデルを採用

2026年10月16日 11:46

中国向けApple Intelligenceの初期機能が規制当局の認可を受けた。Appleのティム・クック取締役会長は10月15日、中国本土で10月末に試験版を提供する方針を明らかにした。初回の対象には文章作成支援などが含まれ、Siri AIは含まれない。

■中国向けiPhoneの許可証に3つのAIシステム

中国メディアの界面新聞によると、中国工業情報化部の電気通信設備のネットワーク接続許可情報では、中国向けiPhone Duoの許可証が2026年9月29日に更新された。登録されたAIシステムはApple Intelligence、アリババの通義千問(Qwen)、通義万相の3つで、iPhone 18 ProシリーズやiPhone 15 Pro以降の対象機種についても同様の更新が確認されたという。

界面新聞が報じたiPhone Duoの登録番号は、Apple Intelligenceが「Shanghai-AppleZhiNeng-202506160057」、通義万相が「Shanghai-TongYiWanXiang-202410090024」、通義千問が「ZheJiang-TongYiQianWen-20230901」だ。これらは端末の許可情報に記載されたモデルの登録番号であり、個々の機能がどのモデルやサーバーを使うかを示す運用仕様ではない。

中国国家インターネット情報弁公室は7月15日、Apple Intelligenceをスマートフォン向け生成AIサービスとして登録した。界面新聞によると、同じ発表にはHuawei、OPPO、vivo、Xiaomi、Samsung、ZTEのサービスも含まれていた。Appleは2024年に海外でApple Intelligenceの初期機能を提供し始めたが、中国本土での提供には現地での手続きが必要だった。

アリババの蔡崇信会長は2025年2月、中国向けiPhoneのAI機能でAppleと協力すると表明した。中国での提供準備中だった2026年3月には、Apple Intelligenceの機能が一時的に中国のiPhoneに表示されたとBloombergが報じている。今回の登録と許可証の更新を経て、初期機能の試験提供へ進む。

■10月末の試験版と、提供される機能

界面新聞が10月15日に行ったクック氏への取材によると、試験版の初期機能にはリアルタイム翻訳、文章作成支援、写真の不要物を消す機能が含まれる。クック氏はApple Intelligenceと関連するアリババの通義千問が認可されたと述べ、Siri AIは今回の試験版に含まれないと説明した。

前日の10月14日には、Bloombergが関係者の話として、Appleは12月のiOS 27.3で中国向けApple Intelligenceの提供を計画していると報じていた。クック氏が示した10月末の日程は試験版についてのものだ。試験版に続く一般向け提供の時期や、12月に追加される機能の範囲は、今後の案内を待つことになる。

Appleは2026年6月のSiri AI発表時、中国本土で同機能とそのほかの新しいApple Intelligence機能を提供するには、規制要件への対応が必要だと説明した。Siri AIは会話に加え、画面上の情報や個人の予定・メッセージなどを踏まえた操作を特徴とする。中国向けの初期提供は、こうした新機能に先立つ段階となる。

■アリババとの連携とデータ処理

アリババは、通義千問の言語・画像理解やコンテンツ生成の能力を、中国のiOS、iPadOS、macOS、visionOS向けApple Intelligenceに組み込む方針を界面新聞に説明している。通義万相は、アリババが提供する画像・動画生成技術だ。Reutersは8月、Appleがアリババの支援を受けて中国向けの独自言語モデルも開発したと報じており、中国版には複数のモデルが関わる見通しだ。

アリババが公開したQwen3.8シリーズのモデルには、総パラメーター数が2兆4000億、処理時に有効になるパラメーター数が約950億のものがある。これは必要な部分を選んで動かす混合専門家モデルの構成だ。Apple Intelligenceの中国向け機能に採用される具体的なQwenの型式は、端末の許可情報からは特定できない。

Appleがほかの地域で提供するApple Intelligenceは、端末上の処理に加え、複雑な処理にプライベートクラウドコンピューティングを利用する。Appleは2026年、Google Cloud上にもその基盤を拡張すると発表した。中国向けの各機能については、処理を担うモデルとデータの送信先が分かる運用情報が、利用者のプライバシーを判断するうえで重要になる。

中国の国家情報法第7条は、組織と国民に国家情報活動への法に従った協力と、その活動で知った秘密の保持を求める。第14条は、国家情報機関が必要な協力を関係機関や組織などに求められると定める。米国では2025年、議員らがAppleとアリババの提携に伴うデータの扱いについて懸念を表明したと報じられた。

■iPhone Duo発売を控える中国市場

Apple初の折りたたみスマートフォン「iPhone Duo」は、7.6インチの内側ディスプレイと5.4インチの外側ディスプレイを備える。日本と中国を含む70以上の国・地域で10月16日に予約を開始し、23日に発売する。日本での価格は36万4800円(税込)からで、米国では1999ドル(1ドル=158円換算で約31万6000円)からだ。

中国での折りたたみ端末の競争は激しい。IDCの2026年第1四半期データとして報じられた数字では、Huaweiが中国の折りたたみスマートフォン市場の約60%、Honorが約21%を占めた。IDCの研究員Kiranjeet Kaur氏はAFPに対し、Appleの参入が中国と世界の競争環境を変える可能性が高いとの見方を示した。

調査会社Omdiaによると、2026年第2四半期の中国本土スマートフォン市場でAppleの出荷シェアは19%となり、Huaweiの23%に次ぐ2位だった。Appleの2026年度第3四半期の中華圏売上高は188億1600万ドルで、前年同期の153億6900万ドルから約22.4%増えた。これらは折りたたみ端末の販売やAI機能の効果を測った数字ではなく、中国市場全体でのAppleの事業規模を示す。

Counterpoint Researchは2026年9月時点で、Appleの折りたたみiPhoneの同年の世界出荷台数を最大600万台、折りたたみ市場でのシェアを25%と予測した。中国向けApple Intelligenceの試験版はiPhone Duoの発売後に予定されている。文章作成支援や翻訳などの初期機能が加わることで、中国向けiPhoneで利用できる機能の幅が広がる。

元記事: China Cleared Apple Intelligence, but Cloud Queries Go to Alibaba Under China’s Spy Law

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