英仏の地質調査機関が3年間の研究連携、重要鉱物の地図化や機械学習が対象

2026年10月16日 09:49

英国地質調査所(BGS)とフランス地質鉱山研究所(BRGM)は2026年10月14日、地質情報の共有や共同研究を進める3年間の協力覚書を結んだ。重要鉱物の地図化に加え、地下資源、地質災害、機械学習などを協力分野に挙げている。

■重要鉱物から地下水まで、協力の対象は幅広い

署名はパリのフランス経済・財務省で開かれた英仏の政策交流の場で行われた。署名者は、BGSの国際地球科学部門を率いるマギー・ハインツ氏と、BRGM副最高経営責任者のクリストフ・ポワンソ氏である。

両機関の発表によると、覚書は重要原材料の地図化と鉱物情報、地質災害、エネルギー移行に役立つ地下情報、地質データへの機械学習の活用などを対象とする。地下情報には二酸化炭素の地中貯留、地熱、天然水素が関わり、地下水の管理や気候変動への適応も共通の課題となる。

ポワンソ氏は、両機関が地下についての知識を長期にわたり充実させ、資源の安全な利用とリスクへの対応を進めるという課題を共有していると説明した。BGS所長のカレン・ハンゴイ氏も、データと知識の共有がエネルギー移行や鉱物供給に関する研究を支えると述べている。

■EUの探査制度と英国の資源戦略

EUの重要原材料法は2024年5月23日に発効した。重要原材料34種と、そのうち戦略的な原材料17種を定め、2030年までに戦略的原材料の年間需要の10%を域内で採掘し、40%を域内で加工し、25%をリサイクルで賄うというEU全体の指標を掲げる。

同法第19条は、加盟国に重要原材料などを対象とする国家探査計画の策定を求める。計画に盛り込む措置として、鉱物の地図化、地球化学・地球物理調査、調査データに基づく予測地図の作成、既存データの再分析などを挙げている。フランスではBRGMが鉱物資源の調査を担い、2025年には国内の資源情報を更新する事業を始めた。

フィンランドでは、地質調査所GTKが作成した国家探査計画が2025年9月に欧州委員会へ提出された。GTKは計画の立案と実施を担当し、EU法に関わる職務を国内法に位置づける改正も進めている。

英国はEU加盟国ではなく、同法の対象には含まれない。英国政府は2025年11月に独自の重要鉱物戦略を公表し、2035年までに年間需要の少なくとも10%を国内生産、20%をリサイクルで賄う目標を示した。同戦略は供給元の分散も掲げ、重要鉱物事業に最大5000万ポンド(約104億円)の支援を用意する。

■機械学習は地質情報の分析にどう役立つか

地質調査機関には、地質図、ボーリング試料、岩石の化学分析、地下の物理探査など、多様な記録が蓄積されている。これらを重ね合わせ、既知の鉱床と共通する特徴を探すことは、次に詳しく調べる地域を選ぶ手掛かりになる。

機械学習は大量の地質データから特徴の組み合わせを見つけ、鉱床が存在する見込みを地図上で評価する方法の一つだ。英国のカレドニア造山帯周辺とフランス北西部のアルモリカ山塊のように、地質条件は地域によって異なるため、分析には各地域の調査記録と地質学的な解釈が欠かせない。

今回の覚書は機械学習を協力分野に明記した。両機関は、データや研究手法の共有を通じ、重要鉱物の調査を含む地質情報の活用を進める。EU法が加盟国の探査計画に挙げる予測地図や既存データの再分析とも、技術上の接点がある。

■供給網の集中とデジタル設備の需要

国際エネルギー機関(IEA)の2026年の見通しによると、中国は黒鉛を含む一部の鉱物で世界の精製供給の90%超を占める。IEAは、精製能力が少数の国に集中する状況を、供給網のリスクとして挙げている。

中国は2025年4月に一部の中・重希土類関連品の輸出管理を導入し、同年10月には電池材料や人造黒鉛負極材に関する追加措置を発表した。IEAによると、10月に発表された措置の施行は1年間停止されている。資源を見つける調査に加え、加工能力や調達先の確保も各国の課題となっている。

BGSが運営する英国重要鉱物インテリジェンスセンターは、2026年9月の報告書で、英国では2030年までに90カ所超の新しいデータセンターが計画されているとした。英国政府は同年までに最大6ギガワットのAI対応データセンター容量が必要になると見積もる。BGSは、デジタル設備の拡大に伴い、銅やアルミニウム、レアアース、蓄電池に使うリチウムやコバルトなどへの需要が増えると説明している。

英国政府によると、同国の重要鉱物部門は経済に17億9000万ポンド(約3745億円)の寄与があり、5万人超の雇用を直接支えている。BGSのホリー・エリオット氏は、鉱物の供給には地政学的条件、採掘の採算性、精製技術などが関わり、供給網が需要の増加に対応するまで数十年かかる場合もあると指摘する。

■半世紀を超える協力を次の研究へ

英仏両政府は2025年7月の産業戦略パートナーシップで、重要鉱物の供給網に関する協力を掲げた。同年10月には重要鉱物に関する意向表明書に署名し、3回目の英仏重要鉱物政策交流も開いた。今回の地質調査機関による覚書は、そうした政府間協力に続く取り組みとなる。

BGSとBRGMの協力は、1971年にフランスのオルレアンで始まった西欧の地質調査機関のネットワークにさかのぼる。現在も両機関は、37の地質調査機関が加盟するEuroGeoSurveysや、二酸化炭素の地中貯留に関わるCO2GeoNetなどを通じて関係を築いている。

BGSは1835年創設の世界最古の国立地質調査機関である。BRGMは1959年に設立され、1968年にフランスの地質図作成機関を統合した。今回の3年間の覚書を通じ、両機関は長年蓄積してきた地下の情報と専門知識を、資源、エネルギー、環境にまたがる研究に生かしていく。

元記事: EU Law Forced Britain and France to Map Europe’s Minerals: China Has 94% of Graphite

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