Lucebox「Zero 495」予約開始、Ryzen AI MAX+ PRO 495とR9700を組み合わせたローカルAI端末
2026年10月7日 13:35
イタリア・ミラノを拠点とするLuceboxは、ローカルAIワークステーション「Zero 495」の予約を受け付けている。AMD Ryzen AI MAX+ PRO 495に、外部GPUのRadeon AI PRO R9700を組み合わせた製品で、初回出荷は2027年1月を見込む。開発者向けの米ドル建て価格は、最初の200台に限り5999ドル(約94万8000円、1ドル=158円換算)からとなる。
■大容量の統合メモリと外部GPUを組み合わせる
Ryzen AI MAX+ PRO 495は、最大192GBの統合メモリと、40基のコンピュートユニットを持つRadeon 8065Sを備える。Zero 495はこれに、32GBのGDDR6メモリを搭載するRadeon AI PRO R9700を加えた。Luceboxが示すメモリ帯域幅は、統合メモリが毎秒273GB、R9700側が毎秒640GBである。
AMD製APUを採用する競合機には、内蔵GPUを中心に構成した製品もある。例えばACEMAGICの「F9A PRO 495」は、192GBの統合メモリとRadeon 8065Sを搭載し、米国向け公式販売ページでは2026年10月時点で6499ドルと表示されている。Zero 495は、別のメモリを持つGPUを標準で組み合わせる点が特徴だ。
Luceboxは2025年創業で、共同創業者兼CEOはAlessandro Puppo氏。同氏は以前、Notionに在籍し、コンピュータ操作エージェント向けのプロジェクト「Cua」にも携わった。同社はAMDとの提携を掲げ、推論ソフト「Lucebox Engine」をオープンソースで公開している。
■モデルの処理を二つのGPUに振り分ける
Zero 495が狙う用途の一つは、混合エキスパート(MoE)方式の大規模言語モデルの推論だ。MoEでは、入力されたトークンに応じて一部のエキスパートが選ばれる。Lucebox Engineは、頻繁に使われるエキスパートと各トークンが通る共通部分をR9700側に置き、残りのエキスパートをAPUの統合メモリ側に配置する。
Luceboxの技術資料によると、選ばれたエキスパートは、それを保持する側のGPUで計算され、結果をR9700側で統合する。投機的デコーディングに使う11.3GBの補助モデルもR9700に置く構成だ。補助モデルが次のトークンを提案し、大きなモデルがそれを確認する。
両者を結ぶZero 495の接続はPCIe 4.0 x4で、理論上の転送速度は片方向約7.9GB/秒となる。Luceboxはモデルの重みを読み込み時に振り分け、推論中は主に計算結果をGPU間で渡す設計を説明している。こうした役割分担が、容量と帯域幅の異なる二つのメモリを使う仕組みの中核となる。
■公表済みの性能値は測定構成を確認したい
LuceboxがDeepSeek V4 Flashで示す毎秒86トークンは、R9700と前世代のRyzen AI MAX+ 395を組み合わせた構成で測定した値だ。同じモデルについて同社が2026年7月に公開した別の試験では、単一リクエストの生成速度が毎秒51.1トークン、同社が測ったDGX Sparkが毎秒14.09トークンだった。比較した両機では、モデルの圧縮形式とソフトウェア設定が異なる。
その試験で入力長を2000、4000、8000、1万6000トークンに変えた際、Lucebox側の平均は毎秒47.75トークン、DGX Spark側は毎秒14.09トークンだった。約3.39倍という比率は、この4条件の平均値から計算される。いずれもLuceboxによる測定で、購入者が確認できるZero 495の量産機による独立した試験結果は、2026年10月時点では公表されていない。
毎秒トークン数は、入力を処理した後に応答の文章を生成する速さを示す。単純計算では、毎秒86トークンなら100トークンの生成に約1.2秒、毎秒14トークンなら約7秒かかる。実際の応答時間には入力の処理時間も加わり、同時に処理するリクエスト数やモデルの設定によって速度は変わる。
■MoE以外のモデルも評価対象に
エキスパートの使用頻度に応じた配置は、DeepSeek V4 FlashのようなMoEモデルに合わせた設計だ。一方、Luceboxは、密な構造を持つ「Qwen3.8-27B」をR9700単体で動かした結果も公開している。WCCF Techが紹介した毎秒61.3トークンは、このモデルの長い入力を使った単一利用者の測定値である。
そのため購入時には、使うモデルごとに公開値の測定条件を見る必要がある。MoEモデルを二つのGPUに分けて動かす場合と、R9700単体で動かす場合では、使うハードウェアも処理方法も異なる。Luceboxは複数利用者向けの測定値も公開しているが、個々の用途で重視する速度は同時利用数や入力長によって変わる。
■仕様、価格と出荷予定
Zero 495の統合メモリは128GBまたは192GB、NVMe SSDは2TBまたは4TBを選べる。APUは16コア・32スレッドで最大5.2GHz、NPUは最大55TOPS。筐体は340×110×320mm、容積11.97L、重量6kgで、電源は80 PLUS Platinum認証の1000W SFXだ。Luceboxは高負荷時の消費電力を約500Wとしている。
端子はUSB4を2基、USB-Aを2基、HDMI 2.1を1基、DisplayPort 2.1を2基備え、GPU側にも映像出力が4基ある。通信機能は5GbE、有線接続に加え、Wi-Fi 7とBluetoothに対応する。Ubuntu Server、Lucebox Engine、選定済みのモデルを事前導入し、OpenAIおよびAnthropic互換のAPIを利用できる。SSHによるrootアクセスも提供する。
開発者向けDeveloper版の通常基本価格は6999ドル(約110万6000円)で、2026年10月時点では最初の200台に1000ドルの割引が適用される。192GBメモリは2000ドル増し、4TB SSDは250ドル増しとなり、両方を追加した場合は割引適用中なら8249ドル(約130万3000円)、通常価格なら9249ドル(約146万1000円)だ。チーム向けBusiness版は7999ドル(約126万4000円)からで、Lucebox Engine Proの1年分と導入・技術支援が付く。
欧州向けの基本価格はDeveloper版が6499ユーロ、Business版が8699ユーロ、英国向けはそれぞれ5999ポンドと7999ポンドとなる。別売りの100GbEクラスタキットは米ドル建てで1台当たり799ドル(約12万6000円)で、Zero 495を2台接続する場合は両方に必要だ。Luceboxは初回分を2027年1月に出荷する予定としている。
元記事: Lucebox Zero 495 Local AI Workstation Claims 3x DGX Spark Speed on MoE Models