SpaceXのCrew-13がISSに到着、米宇宙船の最短記録となる7時間55分でドッキング
2026年10月2日 23:40
SpaceXのクルードラゴン宇宙船運用13号機(Crew-13)が、日本時間2026年10月2日、国際宇宙ステーション(ISS)に到着した。打ち上げからドッキングまで7時間55分。NASAによると、ISSへ向かう米国の宇宙船として最短の飛行時間となった。
■4人を乗せ、7時間55分でISSへ
ファルコン9ロケットは日本時間10月2日午前0時10分、フロリダ州ケープカナベラル宇宙軍基地の40番射点から打ち上げられた。宇宙船「グレース」は同日午前8時05分、ISSの「ハーモニー」モジュール前方ポートにドッキングした。時刻と施設の日本語表記はJAXAの発表による。
搭乗したのはNASAのジェシカ・ワトキンス船長とルーク・デラニー操縦士、カナダ宇宙庁のジョシュア・クトリク、ロシア国営宇宙企業ロスコスモスのセルゲイ・テテリャトニコフの4人だ。NASAによると、ハッチは米東部夏時間10月1日午後9時19分に開き、4人はISSの第75次長期滞在クルーに加わった。
ISSは地上約400kmを高速で周回している。宇宙船は打ち上げ後、噴射によって軌道とISSとの相対位置を調整し、接近してから自動でドッキングする。今回の短い飛行時間も、打ち上げ時の軌道配置とランデブー計画によって実現した。
■酸化剤漏れによる延期と機体の再使用
Crew-13は当初、9月12日に打ち上げる予定だった。NASAは8月、打ち上げ前の作業でグレースの推進系に酸化剤漏れが見つかり、日程を変更すると発表した。NASAとSpaceXは酸化剤バルブを交換し、追加の試験と飛行準備審査を進めた。
クルードラゴンは、軌道変更や姿勢制御、ISSへの接近にDracoスラスターを使う。推進剤は燃料のモノメチルヒドラジンと酸化剤の四酸化二窒素で、バルブはそれらの供給を制御する。推進系の漏れへの対応は、ISSへ安全に接近するための打ち上げ前確認の一部だった。
乗組員は9月17日にヒューストンのジョンソン宇宙センターで隔離期間に入り、26日にフロリダ州のケネディ宇宙センターへ移った。地元メディアによると、デラニーの母校デルタナ高校は打ち上げ日に合わせて「ルーク・デラニーの日」を設け、校内で打ち上げを見守った。
今回のグレースは、2025年の民間有人飛行「Axiom Mission 4」で使われた機体だ。ファルコン9の第1段ブースター「B1101」も3回目の飛行で、先行するStarlink 6-88とCrew-12に使用された。打ち上げ後、第1段はケープカナベラルの着陸区域40に帰還した。
■地質学者、試験操縦士、初飛行の2人
ワトキンスはカリフォルニア大学ロサンゼルス校で地質学の博士号を取得し、火星表面や地すべりを研究した。2022年にはCrew-4の一員としてISSに約170日間滞在している。NASAによると、クルードラゴンで2度飛行した初のNASA宇宙飛行士となった。
デラニーは元米海兵隊員の試験操縦士で、NASAラングレー研究センターでは研究用航空機の操縦を担当した。今回が初の宇宙飛行だ。フロリダ州デバリー周辺で育ち、母校のデルタナ高校でも打ち上げを祝う催しが開かれた。
クトリクも初飛行で、NASAの商業有人飛行プログラムに参加して宇宙へ向かった初のカナダ宇宙庁宇宙飛行士となった。2017年に同庁の宇宙飛行士に選ばれ、当初はボーイングの宇宙船「スターライナー」の飛行に割り当てられていた。計画の変更を経て、Crew-13に参加した。
テテリャトニコフはロシア海軍で潜水艦などの技術職を務め、2021年に宇宙飛行士候補者となった。今回が初の宇宙飛行だ。NASAとロスコスモスは、クルードラゴンとソユーズの双方に相手側の宇宙飛行士を搭乗させ、ISSでの活動を継続する取り決めを運用している。
■ISSでの研究とStarlinerの計画
Crew-13の4人は約6カ月間ISSに滞在する予定だ。短い引き継ぎの後、ジェシカ・メイアらCrew-12の4人が地球へ帰還する。NASAが公表した研究計画には、幹細胞由来の組織を使う研究、宇宙での血流や健康状態の調査、植物栽培技術の試験が含まれる。
ISSで得られる人体や栽培に関するデータは、長期滞在の運用に役立つ。カナダ宇宙庁によると、クトリクもカナダが主導する健康研究に参加する。こうした実験は、将来の月・火星探査に向けて宇宙での生活を調べる取り組みの一部でもある。
一方、NASAの有人輸送を担うもう一つの米国製宇宙船、ボーイングのスターライナーは、2024年の有人試験飛行で推進系に問題が起きた。NASAは2026年2月、この飛行を重大な事故区分「タイプA」に分類した。宇宙船は2024年に無人で帰還し、搭乗していた2人の宇宙飛行士は翌年3月、クルードラゴンで地球に戻った。
NASAは次のStarliner-1を無人の貨物・技術検証飛行とし、2026年12月または2027年1月に実施する可能性を示している。その後の試験と認証を経て、Starliner-2で2028年までに有人飛行を再開する計画だ。NASAは将来のISS向け飛行についてもボーイングとの契約上の選択肢を維持している。
NASAは9月、SpaceXにCrew-15からCrew-17までの3ミッションを総額9億4600万ドル(約1495億円、1ドル=158円換算)で追加発注した。2019年のNASA監察総監室の推計では、当時の契約に基づく1座席当たりの平均費用はSpaceXが約5500万ドル(約87億円)、ボーイングが約9000万ドル(約142億円)だった。現在はクルードラゴンがNASAの米国製宇宙船によるISS有人輸送を担い、NASAとボーイングはスターライナーの認証に向けた作業を続けている。
元記事: SpaceX Crew-13 Launches; Boeing Starliner’s Grounding Leaves Dragon as Only U.S. Path to ISS