「ダークウィング・ダック」新作、マーク・ハミルが主人公役に Disney+が制作を正式決定

2026年9月25日 15:27

Disney+は2026年9月22日、アニメ「ダークウィング・ダック」の新シリーズの制作を正式に決定し、主人公ダークウィング・ダック役にマーク・ハミルを起用すると発表した。新作では、35年間別世界に閉じ込められていたヒーローが、彼の過去を知る少女ダッキーとともに再び戦いに挑む。主要キャスト11人と物語の概要が明らかになった一方、配信開始日は発表されていない。

■ジョーカー役のマーク・ハミルが主人公に

マーク・ハミルは、1992年に始まったアニメ「バットマン」でジョーカーの声を担当し、その後も複数のアニメ作品やゲームで同役を演じてきた。今回の新シリーズでは、自己顕示欲が強く、芝居がかった言動が特徴のヒーロー、ドレイク・マラード/ダークウィング・ダックの声を担当する。

「バットマン」と「ダークウィング・ダック」は、1990年代初頭に放送されたスーパーヒーロー作品という共通点を持つ。前者が犯罪や悪役の心理を描くダークな作風を特徴としたのに対し、後者はヒーロー作品の定番をユーモラスに取り入れたアクションコメディーだった。

「バットマン」のジョーカー役として知られるハミルが、今度はコミカルなヒーローの主人公を演じる。両作品の対照的な作風を知るファンにとっても、注目を集める配役となった。

新シリーズでは、ショーン・トレッタとボルハ・ペーニャ・ゴロステギが製作総指揮を務める。Point Grey Picturesからはセス・ローゲン、エヴァン・ゴールドバーグ、ジェームズ・ウィーバー、アレックス・マカティー、ギャビー・グランサムが制作に参加する。オリジナルシリーズの生みの親であるタッド・ストーンズも開発に協力した。

■35年間忘れ去られたヒーローと少女の物語

ディズニーが公表した新シリーズの設定では、ダークウィング・ダックは過去35年間、自分のヒーローとしての活躍を誰も知らない別世界に閉じ込められていた。彼にとって、存在そのものを忘れ去られた世界は最悪の悪夢だった。

そこに現れるのが、彼の英雄的な過去を熟知する反抗的な10代の少女ダッキーだ。ダッキーは自意識の強いヒーローを再び戦いへと連れ戻し、2人はネガダックやメガボルトといったかつての敵に立ち向かう。ランチパッド、ゴサリン、モルガナらとも再会し、宇宙全体を救うために戦うことになる。

新作では、忘れ去られたヒーローと、その過去を知る少女の関係が物語の中心となる。ハミルが演じるダークウィング・ダックと、リリマーが声を担当するダッキーの掛け合いが、新たな冒険を動かす重要な要素となりそうだ。

オリジナルシリーズの生みの親であるストーンズは、新たな制作陣がディズニー作品らしい温かさを忘れず、アクションとコメディーを強化したとコメントした。また、ロビン・フッド、ゾロ、シャーロック・ホームズのように、時代や媒体、創作者によって物語が再解釈されてきたヒーローの系譜にダークウィング・ダックを位置付けている。

■発表された11人の声優陣

ディズニーが9月22日に発表した主要キャストは11人。主人公ドレイク・マラード/ダークウィング・ダック役のマーク・ハミルに加え、相棒ランチパッド・マクワック役にセス・ローゲン、ゴサリン・マラード役にリジー・キャプラン、ダッキー役にリリマーが起用された。

ダン・スティーヴンスはグレイド・マクタワーズ、ティファニー・シェピスはローザ、キャスリン・ニュートンはファイアクラッカーを演じる。テオ・ブリオネスはティム、タイラー・ディーン・フローレスはポンジーを担当する。

さらに、ケイティ・リッチがシャンクス巡査、ナット・ファクソンがウェッブ巡査の声を担当する。新たな登場人物の詳細や、物語の中で果たす役割については、今後の発表が待たれる。

オリジナルの「ダークウィング・ダック」は1991年に放送を開始し、全91話が制作された。その後、主人公は2017年に始まった新しい「ダックテイルズ」にも登場している。今回の作品は、ダークウィング・ダック自身を主人公に据えた新たなアニメシリーズとなる。

■オリジナル版から変わる主人公の声

1991年に始まったオリジナルシリーズで、ダークウィング・ダックの声を担当したのはジム・カミングスだった。カミングスはディズニー作品をはじめ、数多くのアニメ作品に出演してきた声優である。

2017年版「ダックテイルズ」では、カミングスが劇中のテレビ番組でダークウィング・ダックを演じていたジム・スターリング役を担当した。一方、新たにヒーローとなるドレイク・マラードの声は、クリス・ディアマントポロスが演じている。

今回の新シリーズでは、主人公ドレイク・マラード役にハミルが起用された。ディズニーの9月22日の発表では、カミングスからハミルへの配役変更について、具体的な理由は説明されていない。

カミングスは2025年、企画について、長年の不在を経て復帰する年老いたバットマンを描いた「バットマン:ダークナイト・リターンズ」になぞらえて語っていた。2026年3月のインタビューでも企画が進行していることを明かし、それまでに録音した内容は限られていると説明していた。

■セント・カナードの悪役と現実の科学

ダークウィング・ダックの舞台となるセント・カナードには、電気や植物、水などの性質を利用した能力を持つ個性的な悪役たちが登場する。こうした設定には、生物が電気を発生させる仕組みや光合成、特殊な流体の性質など、現実の科学を連想させる要素もある。

新シリーズの公式なあらすじにも、かつての敵としてメガボルトとネガダックの名前が挙げられている。オリジナル作品に登場した悪役たちの能力を、現実の研究と共通する発想から見ていくと、作品の奇抜な設定を別の角度から楽しめる。

メガボルトことエルモ・スパッタースパークは、科学フェアでの事故によって電気を操る能力を得た悪役だ。電気を利用する生物として知られるデンキウナギは、特殊な発電細胞を多数備え、それぞれの細胞が生み出す電位差を組み合わせて強力な放電を行う。

2019年に発表された研究では、デンキウナギの一種であるElectrophorus voltaiが最大860ボルトの電圧を発生させることが報告された。体内の細胞の働きによって電気を生み出す仕組みは、メガボルトの能力に生物学的なイメージを重ねる手掛かりになる。

メガボルトには、物忘れが激しいというコミカルな特徴もある。現実の医学では、強い電気刺激を伴う事故によって神経系が損傷し、認知機能に影響が生じる場合がある。ただし、作品に登場する物忘れの原因や仕組みが、具体的な医学的現象として設定されているわけではない。

■植物や水を操る能力から広がる科学のイメージ

ブッシュルートことレジナルド・ブッシュルート博士は、植物の葉緑体を動物の細胞に組み込み、人間に光合成能力を与えようとした科学者だ。実験によって自身の姿が植物と融合したような形態へと変化し、植物を操る悪役となる。

現実の生物にも、動物の体内で葉緑体が働く興味深い例がある。ウミウシの一種Elysia chloroticaは、餌となる藻類から葉緑体を取り込み、消化管の細胞内で数カ月にわたって保持することができる。取り込んだ葉緑体は光合成を行い、この現象は盗葉緑体現象として知られている。

このウミウシが葉緑体の機能を長期間維持する仕組みは、研究の対象となってきた。葉緑体を動物の体内で利用するという点に、ブッシュルートの設定と通じる発想が見いだせる。

一方、リキデーターことバド・フラッドは、液体状の体を持ち、水を自在に操る悪役だ。流体の振る舞いを考えるうえでは、力の加え方によって粘性が変化する非ニュートン流体が興味深い比較対象になる。

非ニュートン流体には、急激な力を受けると粘性が増すせん断増粘流体や、せん断速度が大きくなると粘性が低下するせん断減粘流体などがある。特に、せん断増粘流体の性質は衝撃から身体を守る防護材料の研究にも利用されており、力の加え方によって液体の振る舞いが変わるという発想は、リキデーターの能力を連想させる。

■ネガダックの並行世界とサイボーグ技術

ダークウィング・ダックの邪悪な鏡像として知られるネガダックは、別世界であるネガバースとも結び付いたキャラクターだ。主人公の正反対の性質を持つ存在や、別の世界に異なる自分がいるという設定は、並行世界を扱う物語の特徴を備えている。

現実の物理学では、1957年にヒュー・エヴェレット3世が提唱した量子力学の多世界解釈が、異なる結果が分岐する世界というイメージを連想させる。この解釈は、量子力学における測定と波動関数の問題を説明するための理論的枠組みの一つだ。

オリジナルシリーズには、トロンスプリッターという装置によって、ダークウィング・ダックの正と負の性質が分離され、ネガダックが生まれる展開もある。主人公の性質を二つの存在に分けるという設定は、同じ人物の異なる側面を別々のキャラクターとして描く演出にもなっている。

また、悪役タウラス・ブルバは、機械の身体を持つスティーミネーターとして再登場する。生身の身体を機械へと置き換える設定は、身体の一部を人工物で補い、失われた機能を支援する神経補綴技術を連想させる。

現実の医療技術では、人工内耳が音の情報を電気信号に変換して聴覚神経を刺激するほか、脳に設置した電極から神経活動を読み取り、機器の操作につなげる研究も進められている。生体と機械をつなぎ、情報をやり取りするという点に、ブルバの機械化された身体を考えるための共通構造がある。

こうした技術は、身体の機能だけでなく、人間の身体の一部を人工物に置き換えても同じ人物であり続けるのかという問いにもつながる。ブルバの変貌は、身体と自己の同一性をめぐる「テセウスの船」の問題を思い起こさせる。

■新シリーズは引退ではなく別世界からの帰還を描く

今回公表された新シリーズの設定は、ジム・カミングスが以前語っていた、年齢を重ねたダークウィング・ダックが再び活動を始めるという構想と共通する部分がある。一方、主人公が長年姿を消していた理由や、復帰するきっかけには違いがある。

新作で描かれるのは、引退生活を送っていたヒーローではなく、35年間、自分の活躍を誰も知らない別世界に閉じ込められていたヒーローだ。彼を戦いへと連れ戻すのも、かつての仲間ではなく、その過去を熟知する10代の少女ダッキーである。

ダッキーは、新作で重要な役割を担う新キャラクターとして登場する。自己顕示欲の強い主人公が、彼をヒーローとして知る少女とどのような関係を築き、かつての敵や仲間と再会するのかが、物語の見どころとなる。

Point Grey Picturesの制作チームは、ディズニーが作品の決めぜりふ「Let's get dangerous(危険になろう)」を口にした際、快諾したとコメントしている。

新シリーズはディズニー・テレビジョン・アニメーションが制作する。2026年9月25日時点で、Disney+での配信開始日や配信時期は発表されていない。

元記事: Mark Hamill Cast as Darkwing Duck: Voice of Batman’s Joker Joins His 1992 Rival Show

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