【視点】SBエナジー、米国でIPO申請―OpenAI依存と未稼働のデータセンターが課題

2026年9月3日 09:41

 ソフトバンクグループ、OpenAI、エヌビディアが出資する米インフラ開発会社SB Energyは米国時間1日、新規株式公開(IPO)に向けた手続きを開始した。同社は、データセンター事業の収益や資金調達、開発計画が主要テナントであるOpenAIに大きく依存していることを投資上のリスクとして挙げた。

 SB Energyは米証券取引委員会(SEC)に提出したForm S-1の登録届出書で、テナントであると同時に株主でもあるOpenAIに「大幅に依存している」と説明した。OpenAIのサム・アルトマン最高経営責任者(CEO)も、初期段階に個人として出資している。

 同社は「この集中により、当社の短期的な収益、プロジェクト単位の資金調達契約、開発計画は、賃貸借契約および関連契約に基づくOpenAIの継続的な履行と大きく結び付いている」とした。

 ソフトバンクグループはSB Energyの支配株主である。エヌビディアも同社に出資するとともに、OpenAI向けデータセンターに関する信用補完を提供し、巨額の計算能力を支えるインフラ整備に関与する。

 SB Energyのデータセンターは登録届出書の提出時点で稼働しておらず、同事業からの売上高もまだ計上されていない。同社は数十億ドル規模の資金を必要とするデータセンター・キャンパスの建設を進めるため、提携先などによる外部資金に大きく依存している。

 2026年上半期の純損失は約32億ドル(約5078億円)だった。売上高は約1億3900万ドル(約220億円)で、大半は従来のエネルギー事業から得た。同社はデータセンター戦略に多額の投資を進めている。

 AIインフラ計画の中核となるのが、オハイオ州パイク郡の「PORTS-Pike Technology Campus」である。SB Energyが施設を建設、所有、運営し、OpenAIが20年間にわたって借り受ける。

 エヌビディアは8月、この施設の土地、電力、建屋の整備を支える信用補完を提供すると発表した。初期のIT負荷4.25ギガワット分を対象とし、残る3.75ギガワット分を追加するオプションを含め、保証に基づく支払義務の上限は最大1050億ドル(約16兆6600億円)となる。

 同社は別途、SB Energyに15億ドル(約2380億円)を出資する。PORTS-PikeではエヌビディアがAI計算基盤を独占的に提供し、OpenAIが合計8ギガワット分の顧客となる計画である。施設は2028年から段階的に稼働する予定だ。

 SB Energy共同CEOのリッチ・ホスフェルド氏はエヌビディアの関与について、CNBCの番組で「投資適格級の資金調達などを可能にする助けとなり、プロジェクトの成功確率を高める」と述べた。

 SB Energyは、ナスダック・グローバル・セレクト・マーケットとナスダック・テキサスに、ティッカーシンボル「SBE」で上場を申請した。募集株式数と想定価格帯は公表しておらず、上場の実施時期も確定していない。

 米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは、早ければ9月中に取引が始まる可能性があり、IPOによる調達額は50億〜70億ドル(約7900億円~約1兆1100億円)になる可能性があると報じた。実現すれば、AIインフラ投資の拡大を背景とするIPOとして、市場の注目を集めそうだ。

 登録届出書では、OpenAIの重要性が繰り返し示されている。CNBCの集計によると、OpenAIへの言及は306回で、ソフトバンクの325回に迫った。エヌビディアへの言及は135回だった。

 SB Energyは、OpenAIへの依存以外にも複数のリスクを挙げた。米国各地では、大規模なAI施設による電力消費や水利用、電気料金、環境負荷を巡って住民の懸念が高まっており、政治や地域社会からの反発が同社の事業拡大を妨げる可能性がある。

 同社は「地域社会からの反対、自治体による建設停止措置、局地的な反対運動に直面する可能性がある。AIおよびAI関連インフラに対する市民の抵抗の広がりも含まれ、データセンター事業、発電事業、事業運営に悪影響を及ぼす恐れがある」と説明した。

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