MINISFORUM「895D7」、Steam Machineを4Kゲームで最大127%上回る ただし価格とサイズに差
2026年9月2日 00:10
MINISFORUMの小型デスクトップPC「895D7」にSteamOSを導入し、Valveの「Steam Machine」と4Kゲーム性能を比較するテストが公開された。Radeon RX 9060 XT 16GBを搭載した895D7は、検証された3タイトルすべてでSteam Machineを上回り、最大の差は127%と報告されている。
もっとも、両製品は価格、サイズ、利用開始までの手間が異なる。895D7はGPUやOSを選べる小型デスクトップPCであるのに対し、Steam MachineはSteamOSを標準搭載し、リビングで手軽に使うことを重視した製品だ。ベンチマークの数値だけでなく、国内価格や設置性を含めて比較する必要がある。
■3タイトルの4Kテストで895D7が優位
ハードウェア系YouTubeチャンネルのETA Primeは、Ryzen 9 8945HXとロープロファイル版Radeon RX 9060 XT 16GBを搭載した895D7にSteamOSをインストールし、Steam Machineとの比較を実施した。
『サイバーパンク2077』では、4K解像度のウルトラ設定で895D7が平均26fps、Steam Machineが平均19fpsだった。動画では895D7が最大44%高速と説明されているが、画面上に示された平均値は整数に丸められているため、表示値だけから同じ比率を再現することはできない。
『シャドウ オブ ザ トゥームレイダー』の4K・最高設定では、895D7が77%高い性能を記録した。『Horizon Zero Dawn Remastered』の4Kテストでは差が127%に広がり、895D7のフレームレートはSteam Machineの2倍を超えたと報告されている。
今回示されたのは、特定の構成、設定、ドライバー、SteamOS環境で実施された3タイトルの結果である。4KにおけるRX 9060 XT搭載構成の余力を示す一方、すべてのゲームや設定で同じ差が生じるとは限らない。
また、『サイバーパンク2077』のネイティブ4K・ウルトラ設定では、895D7も平均26fpsにとどまった。より滑らかな表示を狙う場合は、画質設定の調整、アップスケーリング、対応タイトルでのフレーム生成などを組み合わせることになる。
■895D7はRX 9060 XTを搭載できる8.47リットルPC
895D7は、モバイル向けの高性能プロセッサをデスクトップ用基板に実装するMoDTと呼ばれる設計を採用した小型PCだ。CPUにはRyzen 9 8945HXを搭載する。16コア32スレッドで、ベースクロックは2.5GHz、最大ブーストクロックは5.4GHzとなる。
本体サイズは312×93×292mmで、容積は8.47リットル。PCI Express 5.0 x16スロットを備え、ロープロファイルのグラフィックスカードを搭載できる。今回の比較で使用されたのは、16GBのGDDR6メモリを備えるロープロファイル版Radeon RX 9060 XTだ。
メモリはDDR5 SO-DIMMスロットを2基備え、最大96GBに対応する。ストレージ用にはPCI Express 4.0対応のM.2 2280スロットを2基搭載する。このほか、400W電源、2.5ギガビットLAN、Wi-Fi 7、Bluetooth 5.4を備える。
日本のMINISFORUM公式ストアでは、895D7のベアボーンキットが税込8万7999円から販売されており、2026年9月10日の出荷予定と案内されている。32GBメモリと1TB SSDを組み合わせた構成や、Radeon RX 9060 XT搭載構成も選択肢として掲載されている。
ベアボーンキットにはメモリ、SSD、OS、ディスクリートGPUなどを別途用意する構成があるため、開始価格だけで今回のベンチマーク機と比較することはできない。最終的な費用は、GPUを含む構成と販売時点の価格を確認する必要がある。
■Steam Machineは約3リットルのSteamOS専用機
Steam Machineは、テレビや大型ディスプレイに接続し、Steamのゲームを家庭用ゲーム機に近い感覚で利用することを狙ったValveの小型PCだ。日本では正規販売店のKOMODO STATIONを通じ、2026年6月23日に販売が始まった。
国内価格は512GBモデルが税込18万9980円、2TBモデルが税込24万9980円だ。Steam Controllerとのセットは、512GBモデルが20万4980円、2TBモデルが26万4980円となる。
約160mm四方のキューブ型筐体に、6コア12スレッドのセミカスタムZen 4 CPUと、28基のコンピュートユニットを備えるセミカスタムRDNA 3 GPUを搭載する。システムメモリは16GB DDR5、GPU専用メモリは8GB GDDR6だ。
Valveは、Steam Machineについて、FSR 4.1を利用した最大4Kのゲーム体験を掲げている。ただし、実際に得られる解像度、画質、フレームレートはタイトルと設定によって変わる。独立したゲームテストでは、Steam MachineのGPU性能はおおむねRadeon RX 6600やGeForce RTX 3060に近い水準と評価されている。
Steam Machineの強みは、SteamOSが標準で導入され、サインイン後すぐSteamライブラリを利用できる点にある。高速なサスペンドと復帰、クラウドセーブ、コントローラー中心の画面構成など、ValveがSteam Deckで磨いてきた操作体験をリビング向けの据え置き機に展開している。
■4Kの差を生むGPU性能とビデオメモリ
両製品の4K性能差を考えるうえで大きいのが、搭載GPUの規模とビデオメモリ容量だ。895D7の比較機が搭載するRX 9060 XTはRDNA 4世代の単体GPUで、16GBのGDDR6メモリを備える。Steam MachineのセミカスタムRDNA 3 GPUは8GB GDDR6である。
高解像度のテクスチャや複雑な描画を使用するゲームでは、必要なビデオメモリ容量が設定や場面によって増える。使用量がGPU上のメモリ容量を超えると、データの入れ替えが増え、フレームレートやフレーム時間の安定性に影響することがある。16GBのRX 9060 XTは、こうした場面で8GBのSteam Machineより余裕を持ちやすい。
ただし、今回のベンチマークだけから性能差の全体をビデオメモリ容量に帰属させることはできない。RX 9060 XT自体の演算性能、動作電力、メモリ構成、ゲームごとの負荷特性、ドライバーや設定なども結果に関係する。
CPUにも大きな違いがある。895D7のRyzen 9 8945HXは16コア32スレッドで、Steam Machineは6コア12スレッドのセミカスタムCPUを採用する。もっとも、高解像度かつ高画質設定のゲームではGPUが性能上限になりやすく、今回の4KテストをCPUコア数だけで説明することはできない。
■FSR 4.1はRDNA 3でも利用可能
FSRは、ゲームを内部的に低い解像度で描画し、高解像度の映像へ再構成することで負荷を抑える技術だ。AMDは機械学習を用いるFSR 4.1のアップスケーリングを、RDNA 4世代だけでなくRDNA 3世代のRadeon RX 7000シリーズにも拡大している。
RDNA 4ではFP8演算を利用する経路、RDNA 3ではINT8向けに最適化された経路が使われる。このため、RDNA 3であることを理由にSteam MachineがFSR 3.1のアップスケーリングだけに固定されるという説明は適切ではない。ValveもSteam Machineの公式仕様でFSR 4.1への対応を掲げている。
一方、AMDの新しい機械学習ベースのフレーム生成機能は、対応GPUやゲーム、ソフトウェア環境に条件がある。RX 9060 XTはRDNA 4向け機能を利用できるが、フレーム生成後の表示フレームレートは、ネイティブ描画時の性能と同じ意味ではない。操作遅延や元になるフレームレートも含めて評価する必要がある。
アップスケーリングやフレーム生成は、4K表示を狙ううえで有効な選択肢となる。ただし、ETA Primeが示した3タイトルの性能差を、そのままFSRの世代差によるものと断定することはできない。今回の比較から確認できる中心的な事実は、RX 9060 XT 16GBを搭載した895D7が、同じSteamOS上の4KテストでSteam Machineを上回ったことだ。
■選択肢が広い895D7、導入しやすいSteam Machine
895D7は、Windows 11を利用する一般的な小型デスクトップとして構成できるほか、今回の検証のようにSteamOSを導入する選択肢もある。Windowsを使えば、SteamOSでは動作しない一部のアンチチート採用ゲームや、Windows向けアプリケーションも利用しやすい。
GPUを交換できることも895D7の利点だ。ただし、幅93mmの筐体に収めるため、対応するカードはロープロファイルかつ規定の厚さと長さに収まる製品に限られる。一般的なミドルタワーPCほどGPUの選択肢が広いわけではなく、交換時には寸法、消費電力、補助電源端子、冷却方法を確認する必要がある。
Steam MachineはGPU交換を前提としていない一方、895D7より大幅に小さい約3リットルの筐体と、SteamOSを標準搭載する手軽さが特徴だ。パーツの選定やOSのインストールを行わず、テレビの近くに設置してSteamライブラリを利用したいユーザーに適している。
4K性能を優先するなら、今回の比較ではRX 9060 XT搭載の895D7が明確に優位だった。特に『Horizon Zero Dawn Remastered』では、Steam Machineの2倍を超えるフレームレートが報告されている。
一方で、3タイトルのテスト結果だけを製品全体の優劣に置き換えることはできない。895D7は構成によって価格が変わり、SteamOSも購入者が導入する必要がある。Steam Machineは国内で18万9980円から購入でき、より小さな筐体と統合された操作環境を備える。
高解像度でのゲーム性能、Windowsを含む用途の広さ、GPUの交換可能性を重視するなら895D7が候補になる。小型さ、静音性、セットアップの容易さを優先し、主に1080pから1440pでSteamのゲームを楽しむなら、Steam Machineの設計思想が合いやすい。両製品は同じ小型ゲーミングPCでも、性能と手軽さのどちらに重点を置くかが異なる。
元記事: Minisforum 895D7 Beats Steam Machine at 4K by 127 Percent: RDNA 4 Gap Permanent