米メタ、データセンター保守ロボットを試験―ケーブル交換やサーバー再起動を自動化、雇用への懸念も

2026年9月1日 11:51

Metaが米国内のデータセンターで、ネットワークケーブルの交換やサーバーの再起動、部品の再装着といった物理的な保守作業をロボットに担わせる試験を進めている。現在のロボットは人間の技術者より動作が遅く、監督や補助も必要だが、試験が進展すればデータセンターの運用方法や現場技術者の役割が変わる可能性がある。

■3社のロボットを異なる作業で評価

WiredがMetaの現職および元従業員の話として報じたところによると、同社はWatney Robotics、Kinova、ABBのロボットや関連機器を評価している。試験対象には、ネットワークケーブルの交換、サーバーの電源操作、ラック内の部品の再装着などが含まれる。

アイオワ州アルトゥーナのデータセンターでは、Watney Roboticsの双腕ロボット2台が、2025年6月からケーブル配線に関する作業で試験されている。双腕型は、一方の腕でケーブルを扱いながら、もう一方でコネクタをポートへ差し込むといった両手を使う動作に対応できる。現段階では人間の監督下で動作しており、作業速度も技術者には及ばないという。

オハイオ州ニューアルバニーにあるPrometheusデータセンターでは、4輪式の移動台と昇降機構、ロボットアームを備えたABBの機器が、ラック内の部品を正しい位置に戻す作業で試験されている。

Metaはこのほか、Kinovaのロボットアーム「Gen3」を使い、サーバーの電源を切って再び入れるパワーサイクル作業も評価している。サーバーや関連機器が応答しなくなった場合に、現場で行われている物理的な電源操作をロボットに任せられるかを検証する取り組みだ。

■ラック運搬や在庫確認では自動化が先行

Metaのデータセンターでは、より単純な作業を担うロボットがすでに複数の施設で使われている。重いサーバーラックを運ぶ自律走行型の牽引ロボットや、施設内を移動しながら機器の在庫を確認する車輪付きロボットなどである。

一部の施設では、技術者が遠隔操作し、Mac miniなどの電源ボタンを物理的に押す指のような装置も導入されている。現場へ技術者を派遣しなくても、単純な再起動操作を実行できる仕組みだ。

Metaのロボティクス担当シニアマネージャーであるEric Xuは2025年の業界イベントで、データセンターへのロボット導入を長期的な目標として挙げた。想定する用途には、障害発生時の対応迅速化、施設環境の継続的な監視、予防保守などが含まれる。

■データセンターでも残るロボット運用の課題

データセンターは、多数のラックや機器が一定の規則に沿って配置された構造化された環境である。同様の作業を繰り返す場面が多いため、ロボットを導入する候補になりやすい一方、実際の施設内には自動化を難しくする要素も残る。

ラック周辺には多数のケーブルが配置され、床や通路上の障害物がロボットの移動を妨げることがある。試験中の機器には充電が必要で、建物間を移動させる際やドアを通過する際に人間の補助を要する場合もあるという。

機器の状態を画像から判断する作業にも制約がある。Metaが使用する在庫確認用ロボットの一部は、搭載カメラの仕様により機器の赤色と緑色の表示を区別できず、異常の判定を人間に頼る場面があると報じられている。

サーバーラックや保守手順はもともと人間の作業を前提として設計されており、ロボットが狭い場所でケーブルや部品を扱うには、高い精度と周辺環境への対応力が求められる。このため現段階の試験は、技術者を全面的に置き換えるものではなく、特定の反復作業をどこまで任せられるかを探る段階にある。

■「作業量の80%」は従業員個人の試算

Metaのデータセンターで働く従業員の一人はWiredに対し、ケーブル交換ロボットが実用化された場合、一部の職種が担当する作業量の最大80%を代替する可能性があるとの見方を示した。

この数字はMetaが公表した導入計画や人員削減予測ではなく、従業員個人の試算である。また、現在試験されているロボットは技術者より遅く、人間による監督を必要としている。

それでも、日常的な作業の多くが自動化された場合、技術者に求められる能力や担当範囲が変わる可能性はある。現場では、ロボットが反復作業を担い、人間が障害診断、例外処理、複雑な修理、ロボットの監督といった判断を要する業務へ比重を移す運用が考えられる。

一部の従業員は、ロボットの導入によって日常的な保守業務が縮小し、将来的に必要とされる人員が減ることを懸念している。現時点で試験の成果や正式な配備計画、雇用への具体的な影響は明らかになっていない。

■Metaは「より多くの労働者が必要」と説明

Metaは個別のロボット試験についてコメントを控えた一方、データセンターの建設と運用を担う人材の採用や育成に投資していると説明している。

同社の広報担当者は、米国では大規模なインフラ建設が進む一方、それを担う熟練労働者が不足しているとして、「必要なのはより少ない労働者ではなく、より多くの労働者だ」とWiredに述べた。

ここで区別する必要があるのは、データセンターを建設する仕事と、完成後の施設を運用・保守する仕事である。新施設の建設には、電気、機械設備、配管などを担当する多数の技能労働者が必要になる。一方、今回のロボット試験は、稼働中の施設で技術者が担ってきた保守作業の一部を対象としている。

データセンターの増設によって人材需要が拡大する一方、施設内の個々の作業では自動化が進む可能性がある。全体の雇用者数がどう変化するかは、ロボットの性能だけでなく、新設される施設の規模や数、導入コスト、保守体制の設計によっても左右される。

■ロボット導入は保守業務の再設計につながる可能性

データセンターのロボット活用は、Metaだけの取り組みではない。Wiredによると、Microsoft、Google、Amazonも、ラックの取り扱いや部品の再利用を含むデータセンター業務へのロボット活用を検討している。

もっとも、Metaの試験は現在も人間の監督を前提としており、熟練技術者が持つ速度、状況判断、想定外の不具合への適応力を置き換える段階には達していない。

当面は、ラックの運搬や在庫確認、電源ボタンの操作といった定型的な作業から自動化が進み、技術者が複雑な診断や修理に集中する形が現実的である。試験が進めば、ロボットを保守・監督する能力も含め、データセンター技術者に求められる技能そのものが再編されていく可能性がある。

AIを稼働させるための大規模なデータセンターは、物理的な運用にも多くの人手を必要とする。Metaの試験は、その保守作業のどこまでをロボットに任せられるのか、人間と機械の役割をどのように組み直すのかを探る初期段階の取り組みと位置付けられる。

元記事: Meta Data Center Robots Expose Two-Stage Automation Squeeze on Skilled Technicians

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