インドでNVIDIA「Rubin」世代の大規模AI基盤―AMIが9,000基を確定発注、液冷施設を整備
2026年8月27日 19:08
インドのAIインフラ企業AM Intelligence(AMI)は、NVIDIAの次世代GPU「Rubin」約9,000基を確定発注した。Vera Rubin NVL72システムとしてハイデラバードの30メガワット(MW)規模のAIファクトリーに導入し、2027年第1四半期の納入を予定する。再生可能エネルギーと大規模計算基盤を組み合わせ、クラウド事業者やAI研究機関、インド独自のAIモデルを開発する組織への計算能力提供を目指す。
■Rubin GPU 9,000基をハイデラバードに導入
AMIは2026年8月25日、NVIDIA Rubin GPU約9,000基について、確定的かつ拘束力のある発注を行ったと発表した。GPUは、1システムに72基のRubin GPUを搭載するVera Rubin NVL72として導入される。9,000基は計算上、125システム分に相当する。
導入先は、インド南部ハイデラバードに整備する30MW規模のAIファクトリーである。AMIは2027年第1四半期にハードウェアの納入を受ける計画で、施設について「アジアで初期に整備される大規模なVera Rubin計算基盤の一つになる」と説明している。
今回の30MW分は、AMIがインド、米国、フィンランド、マレーシアで計画する1ギガワット(GW)のCompute-as-a-Service事業の第1段階となる。同社は当面、200MWの計算能力を市場へ投入し、80億ドル(約1兆2,720億円、1ドル=159円換算)を超える設備投資を行う方針だ。
■72基のGPUを一つの計算基盤として接続
Vera Rubin NVL72は、72基のRubin GPUと36基のVera CPUを第6世代NVLinkで接続するラックスケールのAI計算システムである。NVIDIAの公表仕様では、NVL72は最大3,600ペタFLOPSのNVFP4推論性能と、最大2,520ペタFLOPSのNVFP4学習性能を備える。
NVFP4は、AIの学習や推論を効率化するための低精度数値形式である。AMIはハイデラバード施設について、合計約450エクサFLOPSのNVFP4推論性能を提供できるよう設計すると説明している。これはNVIDIAとAMIが示した理論性能に基づく値で、実際の処理能力はモデル、ソフトウェア、通信、ストレージなどの構成によって変わる。
施設では、RoCE(RDMA over Converged Ethernet)を用いた高速ネットワークと大規模ストレージを組み合わせる。1兆パラメータ級のモデルや、推論、計画、複数段階の処理を組み合わせるエージェンティックAIなど、データ量と通信量の大きいワークロードを想定している。
Vera Rubin NVL72は液冷式のラックスケールシステムであり、AMIの施設も高密度AI計算に対応する液冷設備を採用する。GPUの理論性能だけでなく、電源、冷却、ネットワーク、ストレージを一体として構築できるかが、施設全体の性能と稼働率を左右する。
■再生可能エネルギーを計算コストの競争力に
AMIは、再生可能エネルギー企業Greenkoの創業者らが設立したAM GroupのAIインフラ部門である。Greenkoの公式情報によると、同社は約11GWの稼働済み発電容量を持ち、2030年までに再生可能エネルギーのポートフォリオを50GW、蓄電能力を1日当たり100GWhへ拡大する計画を掲げている。
AMIは、グループが保有・運営するカーボンフリー電力をAI計算基盤に供給する垂直統合型の事業モデルを打ち出している。同社側は、利用する電力の価格を一般的なデータセンター向け電力より50〜70%低くできるとしている。
AIデータセンターでは、GPUなどの設備費に加えて、稼働を続けるための電力と冷却が主要なコストになる。発電・蓄電設備と計算基盤を一体的に運用し、電力をAIの処理能力へ変換するという考え方を、AMIは「エレクトロン・トゥ・トークン」と表現している。
OXMIQ Labs創業者兼CEOのラジャ・コドゥリ氏は2026年3月、AMIとの戦略的技術提携を発表した。OXMIQはデータセンターのシステム構成、ハードウェアロードマップ、供給網などの設計を支援する。AMIは今後、再エネによる電力コストの低減を、Compute-as-a-Serviceの価格競争力につなげる考えだ。
■総額80億ドル超で1GWの計算サービスを計画
AMIは、ハイデラバードを起点として、インド、米国、フィンランド、マレーシアで合計1GWのCompute-as-a-Service能力を整備する計画を示している。これとは別に、インド、米国、欧州で電力容量5GW分のAIデータセンターを開発する構想も掲げる。
計算能力の提供先として、世界的なクラウドサービス事業者、先端AI研究機関、ソブリンAI関連事業、AIを中核に据える企業などを想定している。AMIによると、ハイデラバード施設の初期計算能力については、すでに米国の顧客が購入しているが、顧客名は秘密保持契約を理由に明らかにしていない。
インド企業が国内に最新世代の大規模計算基盤を置くことで、データやモデルを国内で扱いたい組織にも新たな選択肢が生まれる。一方、計画の実現には、Rubinシステムの納入に加え、液冷設備、電源、ネットワークを予定どおり完成させる必要がある。2027年第1四半期という日程はハードウェアの納入予定であり、施設全体の本格稼働時期については今後の整備状況を見極める必要がある。
■日本では2万7,500基規模の計画
日本では、NoetraがNVIDIAおよび国内企業と協力し、Rubin GPU約2万7,500基とVera CPU約1万3,750基を使う140MW規模のAIファクトリーを構築する計画を発表している。経済産業省の「FRONTia」プロジェクトを支える計算基盤として、ロボットや製造、物流、医療などに向けたマルチモーダル基盤モデルの開発に利用する。
AMIの9,000基は日本の計画を下回るものの、民間企業がインド国内で整備するRubin世代の計算基盤として大規模な案件となる。再エネ発電からAI計算サービスまでを一体化する事業モデルが、コストと運用の両面でどの程度の競争力を生むかが焦点になる。
■注目ポイントQ&A
●NVIDIA Vera Rubin NVL72とはどのようなシステムですか?
72基のRubin GPUと36基のVera CPUを第6世代NVLinkで接続する、液冷式のラックスケールAI計算システムです。NVIDIAの公表仕様では、最大3,600ペタFLOPSのNVFP4推論性能を備えます。
●AMIが発注したのは9,000台のラックですか?
いいえ。発注したのは約9,000基のRubin GPUです。1台のNVL72に72基のGPUを搭載するため、計算上は125システム分に相当します。
●AMIの再生可能エネルギーによるコスト削減率は確定していますか?
50〜70%低いという数値はAMI側の説明です。実際の優位性は、発電・蓄電コスト、設備利用率、送配電条件、冷却効率などによって変わります。
●ハイデラバードの施設はいつ稼働しますか?
Rubinシステムの納入は2027年第1四半期を予定しています。施設全体の本格稼働日については、今回確認できた発表では具体的に示されていません。
●誰が計算能力を利用する予定ですか?
AMIは、クラウドサービス事業者、AI研究機関、ソブリンAI関連事業、AI企業などへの提供を想定しています。初期能力は米国の顧客が購入したと報じられていますが、顧客名は公表されていません。
元記事: India Lands Its First Vera Rubin Cluster: 9,000 GPUs, Green Power, US Export Risk