D23の「X-MEN」配役発表で関連コミックに買い、eBay週間取引動向は最大400%増
2026年8月25日 23:46
2026年8月23日までの1週間、米国のコミック二次流通市場では、D23で発表されたマーベル・スタジオ作品の配役、新作格闘ゲーム、イベント限定版などに関連するコミックの取引が相次いだ。コミック価格情報サービス「CovrPrice」の週間トップ10では、eBayで確認された取引の7日間成長率が50%から400%に達した。
■D23とゲーム、限定版が同じ週の取引を刺激
CovrPriceは、出品者の希望価格ではなく、eBayなどで成立した取引データを集計し、未鑑定のニアミント状態を基準とする適正市場価格(FMV)や週間取引動向を算出している。今回のトップ10は、コミック市場情報サイトComicsHeatingUp.netが8月24日に紹介した。
背景の一つとなったのが、8月14日から16日まで米カリフォルニア州アナハイムで開催された「D23: The Ultimate Disney Fan Event」だ。マーベル・スタジオは会場で、2028年5月5日に米国公開予定の新作映画「X-MEN」の出演者を発表した。インデ・ナバレッテがローグ、アダム・ドライバーがナサニエル・ミルベリーことミスター・シニスターを演じる。
もう一つの材料が、アークシステムワークス、PlayStation Studios、Marvel Gamesによる4対4の対戦格闘ゲーム「MARVEL Tōkon: Fighting Souls」だ。日本では8月7日にPlayStation 5とPC向けに発売された。ゲームの発売やプレイヤー間でのキャラクター評価が、表紙に登場するキャラクターへの関心と重なったとみられている。
■マジックを描いた「X-Men #35」が首位
週間ランキングの首位は、「MARVEL Tōkon: Fighting Souls」のマジックを描いた表紙の「X-Men #35」だった。ゲームのプレイヤーが作成したティアリストでマジックが高く評価され、対象の表紙に関心が集まったとComicsHeatingUp.netは分析している。
7日間に56部が取引され、成長率は258%だった。最高取引額はニアミント状態で50ドル、約7,950円、未鑑定ニアミントのFMVは20ドル、約3,180円となった。
ゲームの初週販売については、Alinea Analyticsが約48万5,000本、推定売上高約3,300万ドルと試算している。約52億4,700万円に相当するが、これはソニー・インタラクティブエンタテインメントなどが発表した公式販売実績ではない。
■未発売の「Teen Titans #1」限定版は成長率400%
最も高い成長率を記録したのは、Tokitokoroが表紙を手掛けた「Teen Titans #1」のComic Grail Vault限定版だった。900部限定の商品で、集計時点では発売前の予約取引が中心だった。
確認された取引は14部で、7日間成長率は400%。最高取引額はニアミント状態で300ドル、約4万7,700円、未鑑定ニアミントのFMVは252ドル、約4万68円だった。発行数が限られた予約商品で取引件数も少ないため、成長率や価格は今後大きく動く可能性がある。
■ララ・クロフトを表紙に描いた「G.I. Joe」第2刷
3位には「G.I. Joe: A Real American Hero #330」の第2刷が入った。同号ではララ・クロフトが物語に加わり、第2刷の表紙にも登場している。ComicsHeatingUp.netは、これをララ・クロフトが描かれた最初の「G.I. Joe」コミック表紙としている。
31部が取引され、成長率は262%。最高取引額はニアミント状態で20ドル、約3,180円、FMVは11ドル、約1,749円だった。白黒版の第3刷も予定されており、複数の版に需要が分かれる可能性がある。
■D23配布版「Amazing Spider-Man #34」に需要
4位は、D23のマーベル関連パネル参加者への退出時の記念品として配布された「Amazing Spider-Man #34」のウンベルト・ラモス版だった。メリー・ジェーン・ワトソンの60周年を記念した、タイトルロゴのないバージン・バリアントである。
すべてのD23来場者に配られたものではなく、対象パネルを最後まで観覧した参加者に提供されたとされる。27部が取引され、成長率は144%。最高取引額はニアミント状態で244ドル、約3万8,796円、FMVは148ドル、約2万3,532円だった。
■「Absolute Batman」から3冊がランクイン
DCの「Absolute Universe」関連では、「Absolute Batman」から3冊がトップ10に入った。5位の「Absolute Batman #24」マーク・ブルックス・ウェブストア限定フォイル版は、16部が取引され、成長率は122%だった。最高取引額は220ドル、約3万4,980円、FMVは187ドル、約2万9,733円となった。
7位の「Absolute Batman #10」は11部が取引され、成長率は121%。最高取引額は第三者鑑定会社CGCによる9.8評価の個体で510ドル、約8万1,090円だった。一方、未鑑定ニアミントのFMVは119ドル、約1万8,921円である。鑑定品と未鑑定品では条件が異なるため、両者を単純な値上がり幅として比較することはできない。
8位の「Absolute Batman #4」は12部が取引され、成長率は95%。最高取引額はニアミントプラス状態で90ドル、約1万4,310円、未鑑定ニアミントのFMVは77ドル、約1万2,243円だった。関連ゲームへのスキン登場やアニメ企画の進行が、シリーズ初期号への関心を支える材料として挙げられている。
■ミスター・シニスター関連号は週間最多の118部
6位の「X-Men Vol. 1 #221」ダイレクト版は、D23でのアダム・ドライバーの配役発表後、週間トップ10で最多となる118部が取引された。成長率は117%、最高取引額はニアミントプラス状態で160ドル、約2万5,440円、未鑑定ニアミントのFMVは70ドル、約1万1,130円だった。
同号は1987年に発行され、ミスター・シニスターとマデリーン・プライアーをめぐる物語の重要号として扱われている。配役発表と取引増加が同じ時期に起きたことは確認できるが、価格や取引件数には保存状態、版の違い、既存の収集需要など複数の要素が影響する。
■ローグ初登場号にも買い
10位は、ローグのコミック初登場号として知られる「Avengers Annual Vol. 1 #10」のニューススタンド版だった。D23でインデ・ナバレッテのローグ役が発表された週に32部が取引され、成長率は50%を記録した。
最高取引額はファイン状態で70ドル、約1万1,130円。未鑑定ニアミントのFMVは78ドル、約1万2,402円だった。最高取引額とFMVの保存状態が異なるため、FMVの方が高いことは矛盾しない。
ニューススタンド版は一般小売店を通じて販売された一方、ダイレクト版はコミック専門店向けに流通した。市場では版の違いに加え、個体の状態、流通量、バーコードなどの識別要素を踏まえて価格が形成される。ニューススタンド版が常に高価になるわけではないが、特定の重要号では状態の良い個体にプレミアムが付く場合がある。
■ショーン・マーフィーの新作プレビュー版も登場
9位には、ショーン・マーフィーの新シリーズ「The Last Driver」の小冊子形式のプレビュー版、いわゆるアッシュカンが入った。横長の誌面を短辺側でめくる構成が特徴で、マーフィーにとって2015年の「Tokyo Ghost」以来となるImage Comicsでの新作とされる。
このプレビュー版は通常の予約商品とは異なり、小売店向けに限定的に配布された。8部が取引され、成長率は74%。最高取引額はニアミント状態で21ドル、約3,339円、FMVは17ドル、約2,703円だった。配布総数が公表されていないため、市場全体の供給量は確認できない。
■取引増加は注目の所在を映す短期指標
今回のトップ10では、D23での発表または配布品に直接関連するコミックが複数を占め、「Absolute Batman」からも3冊が入った。映画の配役、ゲームでのキャラクター評価、限定表紙といった異なる話題が、同じキャラクターやシリーズへの関心として二次流通市場に表れた形だ。
一方、7日間の成長率は短期間の変化を示す指標であり、とりわけ取引母数の少ない限定版では大きな数値になりやすい。今回のデータから読み取れるのは、各コミックの長期的な価値ではなく、D23やゲーム発売後に市場の注目がどこへ集まったかである。
■注目ポイントQ&A
●CovrPriceのFMVはどのように算出されますか?
CovrPriceは、eBayなどで成立した最近の取引情報を収集し、号、表紙、版、保存状態などを区別して市場価格の目安を算出しています。出品中の希望価格ではなく、完了した取引を基にする点が特徴です。
●400%増とは、価格が5倍になったという意味ですか?
必ずしもそうではありません。今回示された数値はCovrPriceの7日間成長動向であり、記事中の最高取引額やFMVとは別の指標です。取引件数が少ない銘柄では割合が大きく変動することもあります。
●ニューススタンド版はダイレクト版より高価なのですか?
号、年代、保存状態、実際の流通量によって異なります。一般小売店向けだったニューススタンド版の状態の良い個体が、特定の重要号で高く評価されることはありますが、すべてのコミックに一律のプレミアムが付くわけではありません。
●D23の配役発表はコミック市場に影響しますか?
発表されたキャラクターの初登場号や重要号に短期的な関心が集まることがあります。今回もミスター・シニスターやローグの関連号で取引増加が確認されましたが、配役発表だけを価格変動の唯一の原因と断定することはできません。
●ゲームの発売でコミックの取引が増えることはありますか?
ゲームで注目されたキャラクターがコミックの表紙や重要号にも登場している場合、関心が重なることはあります。今回の「X-Men #35」はその一例とみられますが、1週間のデータだけで継続的な市場傾向と判断することはできません。
元記事: D23 Casting, Fighting Game Launch Push 10 Comics Up to 400% on eBay in One Week