ソフトバンクG、国内最大の個人向け社債1兆円―年4.3~4.9%、AI投資と借り換えに充当

2026年8月25日 23:46

ソフトバンクグループは2026年8月24日、主に国内の個人投資家を対象とする総額1兆円の無担保普通社債を発行すると発表した。国内企業による1回の個人向け社債発行として過去最大規模となる。調達資金は既存社債の借り換えやAI関連投資などに充てる方針だ。

愛称は「福岡ソフトバンクホークスボンド」。1口100万円で、利率の仮条件は年4.30~4.90%となっている。正式な利率は9月4日に決定される予定で、購入を検討する投資家にとっては利率だけでなく、7年間の保有期間や発行体の信用力をどう評価するかが焦点になる。

■発行額1兆円、期間7年の無担保普通社債

第70回無担保普通社債の申込期間は2026年9月7日から16日までで、払込期日は9月17日。償還期限は2033年9月16日となる。利払いは毎年3月17日と9月17日の年2回で、満期時に元本を一括償還する。

本社債には担保も保証も付いておらず、社債保有者のために個別に留保された資産もない。一方、担保提供制限条項、担付切換条項、純資産額維持条項といった財務上の特約が設けられている。

引受会社は野村證券、大和証券、SMBC日興証券、みずほ証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券、SBI証券など計11社で、社債管理者はあおぞら銀行となる。

今回の発行額は、ソフトバンクグループが2025年4月に発行した6,000億円の個人向け社債を上回る。同社は2026年4月に4,180億円、6月に2,600億円の国内ハイブリッド社債も発行しており、今回の1兆円を合計すると、2026年の3回の発行額は計1兆6,780億円となる。

■JCRは取得予定格付け「A」、S&Pは「BB+」

本社債の取得予定格付けは、日本格付研究所(JCR)の「A」である。一方、ソフトバンクグループが公表しているS&Pグローバル・レーティングによる長期債格付けは「BB+」となっている。

JCRの「A」は同社の格付け体系で投資適格に位置付けられる。S&Pの「BB+」は、同社の体系では投資適格とされる「BBB-」を1段階下回る。両者は同じ記号尺度ではなく、評価手法や重視する要素も異なるため、単純に一方が正しく他方が誤っているという関係ではない。

もっとも、投資家が参照する格付機関や運用基準によって、債券の信用リスクに対する見方が異なり得ることは重要だ。機関投資家の中には、一定の格付け以上の債券に投資対象を限定している場合がある。個人投資家には一律の格付け制限はないため、複数の評価や発行条件、財務内容を自ら確認する必要がある。

S&Pは2026年7月、ソフトバンクグループの格付け見通しを「ネガティブ」から「安定的」へ変更したが、「BB+」の格付け自体は据え置いた。「安定的」は、一定期間に格付けが変更される可能性が相対的に低いとの見方を示すもので、格上げの方向性を意味するものではない。

■資金は既存社債の借り換えとAI関連投資へ

ソフトバンクグループは、今回の調達資金の一部を2026年9月に償還期限を迎える4,000億円の個人向け社債の借り換えに充て、残る資金をAI関連投資などに使用する方針だ。

同社は生成AI、半導体、データセンター、ロボットなどを重点領域に据えている。中でもOpenAIへの投資規模は大きく、2026年2月にはOpenAI Group PBCへ300億ドルを追加出資する契約を締結した。追加出資が完了した場合、累計出資額は646億ドル、持分比率は約13%となる見込みだ。

300億ドルの追加出資は100億ドルずつ3回に分けて実行する計画で、4月と7月にそれぞれ100億ドルの出資を実行した。残る100億ドルは10月1日に実行する予定とされている。

また、ソフトバンクグループはOpenAIへの追加出資資金などを調達するため、2026年3月に借入限度額400億ドルの無担保ブリッジファシリティー契約を締結した。最終返済日は2027年3月25日で、同社は保有資産の活用や各種の資金調達によって期限までに順次返済する方針を示している。

■OpenAI株を担保に100億ドルを調達

ソフトバンクグループは2026年8月、傘下ファンドが保有するOpenAI株式を担保とした、期間2年、100億ドルのマージンローン契約も締結した。

融資にはゴールドマン・サックス・バンクUSA、JPモルガン・チェース・バンク、みずほセキュリティーズUSA、アポロ・グローバル・ファンディング、三井住友銀行が参加し、ソフトバンクグループが借り入れを保証する。OpenAIの優先株式の価値が大幅に下落するなど一定の条件に該当した場合、現金の差し入れや期限前返済が必要になる条項が含まれている。

OpenAIは非上場企業であり、その株式には取引所で形成される日々の市場価格がない。担保価値は資金調達時の条件や第三者評価などを通じて判断されるため、上場株を担保とする融資とは異なる評価上の不確実性がある。

今回の個人向け社債は、このOpenAI株を担保とする融資とは別の無担保債務である。社債保有者がOpenAI株など特定の資産に対する担保権を持つわけではなく、利息と元本の支払いはソフトバンクグループ全体の信用力に依存する。

■財務指標は改善する一方、大型投資が続く

ソフトバンクグループの2026年度第1四半期の親会社所有者帰属純利益は3,473億円で、前年同期比約18%減となった。米インテル株の価値上昇に伴う約1兆3,000億円の投資利益が業績を支えた一方、同四半期にはOpenAI株に関する投資損益を計上しなかった。

2026年6月末時点のNAVは72兆3,000億円、LTVは13.0%だった。LTVは、保有資産の価値に対する調整後純有利子負債の割合を示し、ソフトバンクグループが財務の健全性を管理するうえで重視している指標である。

LTVの低下には、主要保有資産であるArm株の価値上昇などが寄与している。一方で、OpenAIへの追加出資、AIインフラ投資、ABBのロボティクス事業買収など、今後も多額の資金を必要とする案件を抱える。

ABBのロボティクス事業については、53億7,500万ドルで取得する契約を締結している。ただし、取引の完了には各国・地域の規制当局による承認などが必要で、2026年半ばから後半の完了が予定されている。

■最大4.9%の利率と引き換えに負う信用リスク

仮条件の上限である年4.9%は、国内の預金金利や多くの投資適格社債と比較して高い水準となる。金利収入を求める個人投資家には目を引く条件だが、高い利率は発行期間や信用リスク、金融市場の金利環境などを反映して決まる。

本社債を満期まで保有する場合、投資家は2033年までソフトバンクグループの信用リスクを負う。期間中に市場金利が上昇すれば、既に発行された固定利付債の市場価格が下落する可能性もある。満期前に売却する場合は、購入価格を下回ることがあり、十分な買い手が見つからない流動性リスクも考慮する必要がある。

AI関連資産の価値や事業の進展だけでなく、2027年3月に最終返済日を迎えるブリッジファシリティーの返済・借り換え、今後の投資額、保有資産の価格変動なども、ソフトバンクグループの財務状況を左右する要素となる。

個人投資家が判断する際には、4.3~4.9%という表面利率だけでなく、無担保・無保証であること、格付機関によって評価が異なること、7年間という期間、最低購入額が100万円であることを合わせて確認する必要がある。

元記事: SoftBank Retail Bond: Banks Rejected It, Now Japanese Savers Are Being Asked to Buy It

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