Netflix新作『Pagans』にスティーヴン・ユァンが主演、妻を失った父と娘を描く超自然ドラマ
2026年8月24日 13:01
Netflixは2026年8月20日、新作ドラマ『Pagans(原題)』にスティーヴン・ユァンが主演すると発表した。ユァンは妻を亡くし、2人の子どもを1人で育てることになった父親ガスを演じ、エグゼクティブ・プロデューサーも務める。物語はガスと娘アリスの緊張した関係を軸に展開する超自然ドラマで、配信日はまだ発表されていない。
■妻を失った父親と「普通ではない」娘
ガスは妻の死後、2人の子どもの唯一の保護者となる。Netflixが公表した概要では、息子が「典型的」な子どもである一方、娘のアリスは「決してそうではない」と説明されている。当初はぎくしゃくした父娘関係として始まり、やがてさらに不穏な状況へ発展していくという。
Netflixは本作を、感情的なドラマ、恐怖、ユーモアを同じ程度に備えたシリーズと位置付けている。また、「家族について私たちが抱く最も暗い考えを掘り起こす作品」と紹介しており、怪異だけでなく、親子の間で表に出しにくい感情や葛藤も中心的な題材になりそうだ。
現時点で公表されているあらすじは限られている。アリスがどのような行動を取り、それが超自然的な出来事とどう結び付くのか、タイトルの「Pagans」が物語の宗教観や世界観を直接示すものなのかは明らかにされていない。
それでも、妻と母親を同時に失った家族を中心に据えた設定からは、同じ喪失を経験しても、父親と子どもでは悲嘆の表れ方や互いの受け止め方が異なるという構図が読み取れる。若年者の親との死別に関する研究でも、その反応や長期的な影響には大きな個人差があり、残された養育者との関係や周囲からの支援が重要な要素になることが報告されている。
一方、アリスを「親化した子ども」と断定できる情報は公表されていない。親化とは、子どもが家庭内で年齢や発達段階を超える世話や感情的責任を担う関係を指すが、内向的な性格や強い善悪観だけから判断できるものではない。『Pagans』では、ガスが娘の内面や行動をどう理解するかという情報処理のずれが、家族ドラマと超自然的な恐怖を結び付ける手掛かりになりそうだ。
■「Pagans」というタイトルが示す余地
「pagan」は後期ラテン語の「paganus」に由来し、古典ラテン語では村人や田舎の住人、民間人などを意味した。宗教上の意味がどのように成立したかについては議論があるものの、初期キリスト教以外の多様な信仰や慣習をまとめて指す言葉として使われるようになった。
もっとも、「ペイガン」と総称される伝統には多神教、自然崇拝、アニミズムなど多様な体系があり、死者や祖先との関係について一つの共通した見解があるわけではない。キリスト教の死生観も宗派や時代によって異なるため、死を「断絶」とするキリスト教と、死者との交流を認める異教という単純な二項対立では捉えにくい。
そのため、タイトルを物語の内容と結び付けるなら、確定した神学的設定としてではなく、家族が理解できない出来事をどの枠組みで受け止めるのかという問いを連想させる言葉として見るのが自然だ。父親の理解を超えた娘の行動が、心理的な変化として描かれるのか、超自然的な出来事として描かれるのか、あるいは両方の読み方を保つのかが注目点となる。
■『セイ・ナッシング』のジョシュア・ゼトゥマーが企画
本作を手掛けるのは、ドラマ『セイ・ナッシング』のクリエイターであるジョシュア・ゼトゥマーだ。『セイ・ナッシング』は北アイルランド紛争を背景に、政治的信念と暴力が当事者やその家族に残した影響を複数の時代にわたって描き、ピーボディ賞を受賞した。
ゼトゥマーは『Pagans』でショーランナーとエグゼクティブ・プロデューサーを務める。エグゼクティブ・プロデューサーには、『キャビン』で監督と共同脚本を担当したドリュー・ゴダード、その製作パートナーであるサラ・エスバーグのほか、ジョナサン・ヴァン・タルケン、エリカ・ケイ、クリスティーナ・オーが名を連ねている。
『キャビン』は、ホラー映画で繰り返される人物類型や物語の約束事そのものを作品の構造に組み込んだ映画だった。ゴダードの参加は、『Pagans』でも「不穏な子ども」や「家族を脅かす怪異」といったホラーの定型を意識的に扱う可能性を感じさせる。ただし、作品の具体的な演出方針や、各プロデューサーがどの範囲を担当するかは公表されていない。
脚本家ヴィクター・ラヴァルも本作の執筆陣への参加を明らかにしている。ラヴァルは、現代の家族が抱える喪失や不安と、神話や怪異を重ね合わせた小説『チェンジリング』で知られる。同作は2017年の世界幻想文学大賞長編部門を受賞し、2023年にはApple TV+でドラマ化された。心理的な現実と超自然的なイメージを並行して描いてきたラヴァルの参加は、『Pagans』の家族ドラマとホラーをつなぐ要素の一つとなる。
■ユァンは主演と製作総指揮を兼任
ユァンにとって本作は、『BEEF/ビーフ』に続くNetflixのテレビシリーズ出演となる。同作でユァンは、怒りや孤独を抱えながら日常生活を送るダニー・チョウを演じ、エミー賞のリミテッド/アンソロジーシリーズ部門主演男優賞を受賞した。
映画『ミナリ』では、米南部で農場を築こうとする韓国系移民の父親ジェイコブを演じ、2021年のアカデミー賞主演男優賞にノミネートされた。ユァンは同部門で初めて候補となったアジア系米国人俳優となった。家庭を支えようとする責任感と、周囲に表しにくい焦りや孤立を同時に表現してきた経歴は、妻を失ったガスという役にも通じる。
ガスや子どもたちの民族的背景は発表されていない。そのため、ユァンの起用だけを根拠に、特定の文化的な父娘関係や家族観を作品の設定として想定することはできない。現段階で確認できるのは、父親が家族の喪失に対処しながら、理解しにくくなっていく娘と向き合うという基本構図までである。
■Netflixが争奪戦を経てシリーズ化
『Pagans』はゼトゥマーが書いたオリジナル脚本から始まり、2025年にNetflixが複数社による獲得競争を経て、パイロット版を挟まないシリーズ制作として発注した。業界報道によると、争奪戦にはスタジオや配信事業者、制作会社など15〜18社が参加したという。
Netflixはユァンの起用を発表した時点で、本作が制作に入ると説明している。一部の業界メディアは、ニューヨークで2026年10月26日から2027年4月13日まで撮影予定だと報じているが、Netflixの公式発表には具体的な撮影日程が記載されていない。
配信開始時期も未定であり、撮影予定だけから2027年後半や2028年前半と断定することはできない。今後はアリスを含む追加キャスト、エピソード数、監督、撮影開始、配信時期などの正式発表が待たれる。
●Netflixのドラマ『Pagans』はどのようなストーリーですか?
妻を亡くし、2人の子どもの唯一の保護者となったガスを描く超自然ドラマです。息子が「典型的」な子どもと説明される一方、娘アリスとの緊張した関係は、やがてさらに不穏な状況へ発展します。詳しい物語や怪異の内容はまだ発表されていません。
●スティーヴン・ユァンはどの役を演じますか?
妻の死後、2人の子どもを1人で育てる父親ガスを演じます。ユァンは主演に加え、エグゼクティブ・プロデューサーも務めます。
●『Pagans』の配信日は決まっていますか?
Netflixは配信日を発表していません。具体的な撮影日程についてもNetflix公式からは案内されていないため、現時点で配信時期を確定することはできません。
●制作には誰が参加していますか?
ジョシュア・ゼトゥマーがクリエイター、ショーランナー、エグゼクティブ・プロデューサーを務めます。ドリュー・ゴダード、サラ・エスバーグ、ジョナサン・ヴァン・タルケン、エリカ・ケイ、スティーヴン・ユァン、クリスティーナ・オーもエグゼクティブ・プロデューサーとして発表されています。
元記事: Steven Yeun Leads Netflix Grief Horror Pagans: Three Genre Masters Built It to Resist Easy Answers