フォルクスワーゲン安徽、EV累計生産が10万台に―小鵬汽車との共同開発車も量産
2026年8月21日 23:48
フォルクスワーゲン(VW)の中国合弁会社、フォルクスワーゲン安徽は2026年8月18日、合肥工場におけるスマート電気自動車の累計生産台数が10万台に達したと発表した。節目となった車両は、中国専用モデルの「ID. UNYX 08」で、工場で購入者に引き渡された。
同社は2024年2月に量産を開始しており、10万台到達までの期間は約2年半となる。累計台数には、輸出向けの「CUPRA Tavascan」と、中国市場向けのID. UNYXシリーズが含まれる。ID. UNYX 08は小鵬汽車(XPENG)との共同開発第1弾であり、10万台目に選ばれたことは、両社の協業が量産段階に入ったことを象徴する。
■新エネルギー車専業の合弁会社として設立
フォルクスワーゲン安徽は、VWグループと安徽江淮汽車集団(JAC)が2017年に設立した「江淮大衆汽車」を前身とする。VWにとって、中国で初めて新エネルギー車に特化した合弁会社だった。
VWは2020年に出資比率を75%へ引き上げ、社名をフォルクスワーゲン安徽へ変更した。現在は合肥を拠点に、中国向け電気自動車の研究開発、生産、販売を手がけるとともに、CUPRA Tavascanを輸出向けに生産している。
量産は2024年2月にCUPRA Tavascanから始まった。2026年8月の10万台到達は、約30か月にわたる同社の全生産を合計したものであり、特定のID. UNYXモデルや小鵬汽車との共同開発車だけの生産台数ではない。
■中国専用「ID. UNYX」の製品群を拡充
中国国内での展開を担うのが、ゴールドのVWエンブレムを特徴とする中国専用の「ID. UNYX」シリーズである。中国では「ID. 与众」の名称も使用されている。
シリーズ第1弾のID. UNYXは2024年7月に発売され、2025年には改良モデルの「ID. UNYX 06」が登場した。2026年上半期にはID. UNYX 06の更新モデルに加え、セダンの「ID. UNYX 07」と大型SUVの「ID. UNYX 08」が相次いで発売された。
今回10万台目となったID. UNYX 08は、VWと小鵬汽車が共同開発した最初の量産モデルである。両社は2023年に提携を発表し、VWは小鵬汽車への約7億ドルの出資と、中国市場向けEV2車種の共同開発を決めた。ID. UNYX 08は、この枠組みに基づく第1弾に当たる。
■800V技術と高度運転支援を採用したID. UNYX 08
ID. UNYX 08は、全長5,000mm、ホイールベース3,030mmの大型電動SUVである。800Vの高電圧システムを採用し、VWの発表では、対応する急速充電設備を利用した場合にバッテリー残量10%から80%まで約20分で充電できるとしている。
搭載するリン酸鉄リチウムイオン電池はCATL製で、容量の異なる複数の仕様が設定されている。中国のCLTC基準による航続距離は、仕様により700kmを超えるとされる。CLTCは中国の試験基準であり、実際の航続距離は走行条件や気温、空調の使用状況などによって変わる。
駆動方式は後輪駆動とデュアルモーター式の全輪駆動を用意する。後輪駆動車の最高出力は230kW、全輪駆動車は前後モーターを合わせて370kWとなる。
運転支援用の演算基盤には小鵬汽車の「Turing」AIチップを2基搭載し、合計演算性能は最大1,500 TOPSとされる。TOPSは、AI向け演算装置が1秒間に処理できる演算回数を示す指標の一つだが、数値の大小だけで運転支援システム全体の性能や安全性が決まるものではない。
ID. UNYX 08には、小鵬汽車の技術を取り入れた高度運転支援システムが採用されている。カメラなどから得た情報を車両の操作へ変換する情報処理の流れを統合し、複雑な道路状況に対応する設計を特徴とする。VWは同車の機能をレベル2の運転支援と位置づけており、運転の主体と周囲を監視する責任はドライバーにある。
■中国向け電子基盤「CEA」が量産段階へ
VWと小鵬汽車の協業は、個別の車両開発にとどまらない。両社はVW中国技術会社、CARIAD Chinaとともに、中国向けの電子・電気アーキテクチャ「China Electronic Architecture(CEA)」を開発している。
CEAは、高性能な中央コンピューターと車両各部のゾーン制御装置を組み合わせる構成を採用する。従来よりも電子制御ユニットの構成を簡素化し、車載機能の連携やOTAによるソフトウェア更新を行いやすくすることが狙いだ。
CEAを搭載した最初の量産車はID. UNYX 07で、2026年1月に生産が始まった。VWによると、CEAは構想から量産まで18か月で開発され、複数の車両プラットフォームと駆動方式に対応できる設計となっている。
当初は中国向けEVへの採用が中心だったが、対象はプラグインハイブリッド車や内燃機関車にも広げられた。中国で販売する全モデルへ一律に搭載されるという意味ではなく、今後の複数の車種やプラットフォームで活用できる共通基盤として位置づけられている。
■共同開発第2弾「ID. UNYX 09」も準備
VWと小鵬汽車の共同開発第2弾となるのが、電動クーペセダンの「ID. UNYX 09」である。中国工業情報化部が2026年7月に公表した車両情報に掲載されており、フォルクスワーゲン安徽は同年後半の発売を予定している。
届出情報によると、車体は全長5,081mm、全幅1,980mm、ホイールベース3,030mmの5人乗りとなる。230kWの後輪駆動車と、前後モーターを合わせて370kWを発生する全輪駆動車が用意され、いずれもCATL製のリン酸鉄リチウムイオン電池を搭載する。
価格や航続距離などの詳細は、正式発売に向けて発表される見込みだ。中国当局の届出は販売に必要な重要な手続きだが、届出だけで発売日や最終仕様が確定するわけではない。
■生産10万台と販売拡大は分けて評価
フォルクスワーゲン安徽の10万台は、合肥工場で生産した複数モデルの累計である。この数字だけから、ID. UNYX 08の販売実績や小鵬汽車との共同開発モデルの市場評価を判断することはできない。
一方で、共同開発車の量産開始、CEA搭載車の投入、次期モデルの準備が同時に進んでいることは、VWが中国企業の技術や現地の開発体制を中国向け製品へ組み込む戦略を具体化していることを示す。
販売面では、フォルクスワーゲン安徽の車両を一部の一汽大衆系販売店で取り扱う「ショップ・イン・ショップ」方式も導入された。既存の合弁会社が持つ販売網を活用し、新モデルへの接点を増やす狙いがある。
中国のEV市場では現地メーカーを含む多数の企業が価格、ソフトウェア、充電性能、運転支援機能を競っている。フォルクスワーゲン安徽にとっては、累計生産台数に加え、ID. UNYX 08と今後投入するID. UNYX 09が継続的な販売につながるかが次の焦点となる。
■注目ポイントQ&A
●フォルクスワーゲン安徽の10万台には何が含まれますか?
2024年2月以降に合肥工場で生産したスマート電気自動車の累計です。輸出向けのCUPRA Tavascanと、中国向けのID. UNYXシリーズが含まれます。小鵬汽車との共同開発車だけの台数ではありません。
●ID. UNYX 08は自動運転車ですか?
VWはレベル2の運転支援機能を備える車両と説明しています。システムが加減速や操舵を支援する場面でも、ドライバーが周囲を監視し、必要に応じて操作する必要があります。
●1,500 TOPSとは何を示す数値ですか?
AI向けチップの演算性能を表す指標の一つです。ID. UNYX 08は小鵬汽車のTuringチップを2基搭載し、合計で最大1,500 TOPSとされています。ただし、この数値だけで運転支援の精度や安全性を比較することはできません。
●CEAは小鵬汽車が単独で開発した技術ですか?
単独開発ではありません。小鵬汽車、VW中国技術会社、CARIAD Chinaの各チームが共同開発した、中国向けの電子・電気アーキテクチャです。中央コンピューターとゾーン制御を組み合わせ、OTA更新や車載機能の統合をしやすくすることを目的としています。
元記事: Volkswagen Anhui Builds 100,000 EVs in 26 Months as Xpeng Pipeline Widens