ChatGPT広告、欧州31市場で8月24日開始 パーソナライズを無効にしても広告は表示

2026年8月21日 13:09

OpenAIは2026年8月24日から、欧州31市場でChatGPT内の広告配信を開始する。対象はFreeプランと低価格のChatGPT Goで、ChatGPT Plus、Pro、Business、Enterprise、Eduは引き続き広告なしで利用できる。

欧州経済領域(EEA)とスイスでは、開始時点でパーソナライズ広告は提供されない。表示される広告は、現在の会話の文脈などを基に選ばれる。広告のパーソナライズを無効にしても、現在のチャットに関連する広告は引き続き表示されるため、パーソナライズの停止と広告の非表示は別の選択肢となる。

■欧州31市場へ過去最大規模で拡大

OpenAIは8月18日、ChatGPT広告を翌週から欧州31市場へ拡大すると発表した。対象にはドイツ、フランス、スペイン、イタリア、スウェーデン、ノルウェー、デンマーク、オランダ、オーストリアなどが含まれる。

ChatGPT広告は2026年2月に米国で試験導入され、その後、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、英国、メキシコ、ブラジル、日本、韓国へ拡大した。今回の欧州展開は、対象市場数で同社最大の地域拡大となる。

広告はChatGPTの回答の下に表示され、スポンサーによる掲載であることが明示される。OpenAIは広告と回答を分離し、広告が回答内容や順位付けに影響しない方針を掲げている。

広告主によるユーザーの会話内容やチャット履歴へのアクセスも認められない。広告主に提供されるのは、表示回数やクリック数など、個人を特定しない集計情報が中心となる。

■広告が表示されるプランと表示されないプラン

広告の対象となるのは、FreeプランとChatGPT Goの利用者である。ChatGPT Plus、Pro、Business、Enterprise、Eduでは広告は表示されない。

OpenAIは、アカウントに登録された年齢情報や、利用可能な場合は年齢予測に基づき、18歳未満の利用者が所有すると判断したアカウントには広告を表示しないとしている。

欧州で報じられている月額料金は、Goが約8ユーロ、Plusが約23ユーロ、Proが約229ユーロである。地域や契約経路、税の扱いによって実際の請求額が異なる可能性があるため、契約時にはChatGPTの料金画面で確認する必要がある。

広告を表示しない選択肢として、有料の広告なしプランに加え、利用制限を伴う広告なしの無料利用形態が示される場合もある。利用できる機能や上限は、地域やアカウントに表示される案内によって確認することになる。

■開始時点では現在の会話に基づく広告

OpenAIの広告システムは、広告と現在の会話との関連性、広告のランディングページや広告文、広告主が指定したターゲティング条件など、複数の情報を考慮して表示する広告を選ぶ。

広告のパーソナライズを無効にしている場合でも、現在開いているチャットの文脈に基づく広告は表示されることがある。一方、他のチャットスレッド、広告の利用履歴、ユーザーに関連付けられたトピックは、パーソナライズされていない広告の選択には使われない。

欧州経済領域とスイスでは、パーソナライズ広告は開始時点で利用できない。このため、欧州で8月24日に始まる広告を、パーソナライズ広告との二者択一として捉えるのは正確ではない。まず現在の会話に基づく広告が導入され、パーソナライズ広告の提供時期や同意の方法は今後の案内対象となる。

パーソナライズ機能が提供される地域では、設定画面の「広告の管理」からパーソナライズを無効にしたり、広告に使用されるデータを消去したりできる。設定を無効にしても、現在のチャットに関連する広告の表示自体は止まらない。

■広告主向け機能も拡充

OpenAIは広告プラットフォームについて、CPM(1,000回表示当たりの料金)とCPC(クリック当たりの料金)による購入方式に加え、コンバージョン最適化、地域を指定するジオターゲティング、カスタムオーディエンスなどを導入している。

広告主は、会話のテーマや利用者のニーズを説明する「コンテキストヒント」を広告グループに設定できる。これは特定の単語との完全一致を条件に広告を表示する仕組みではなく、広告と会話の関連性を判断するための情報として使われる。

広告効果の測定には、OpenAIの計測ピクセルやConversions APIを利用できる。広告管理画面では、表示回数、クリック数、広告費、クリック率、平均CPC、平均CPM、コンバージョンなどを確認できる。

欧州展開の開始時点では、広告主はOpenAIのAds Solutionsチーム、広告代理店、テクノロジーパートナーを通じて広告枠を利用する。セルフサービス型のAds Managerは、2026年夏の後半に提供される予定である。

■パーソナライズとデータ保護をめぐる論点

EU一般データ保護規則(GDPR)の下では、広告に個人データを使用する場合、その処理内容に応じた適法な根拠が必要となる。特に、複数のサービス利用場面にまたがって個人の関心を推測する行動ターゲティング広告は、欧州の規制当局による厳しい審査の対象となってきた。

欧州データ保護会議(EDPB)は2024年、大規模オンラインプラットフォームが行動ターゲティング広告への同意と有料プランだけを提示する、いわゆる「同意か有料か」モデルについて意見書を公表した。同意が自由な意思によるものと認められるかは、料金の有無だけでなく、同等の代替手段や利用者が被る不利益などを含めて個別に評価する必要があるとしている。

ChatGPTの欧州向け構成では、パーソナライズ広告を選ばなくても、より少ないデータで選ばれる広告を伴う利用形態が用意される。この点は、行動ターゲティングへの同意か有料サービスかという二者択一とは構造が異なる。

広告表示に現在の会話が用いられること自体も個人データ保護上の検討対象となり得る。どの処理にどの法的根拠を適用するか、利用者への説明が十分かといった点は、OpenAIのプライバシー文書と実際の運用を踏まえて評価されることになる。

■欧州で続くAIサービスへの監督

イタリアのデータ保護当局は2024年12月、ChatGPTをめぐる過去の個人データ処理について、OpenAIに1,500万ユーロの制裁金を科した。これに対するOpenAIの異議申立てを受け、ローマの裁判所は2026年3月、管轄権を理由に処分を取り消した。裁判所は、指摘されていたデータ処理上の問題の実体について判断していない。

EU AI法では、AIシステムと対話していることを利用者へ知らせる義務などを定めた第50条の主要な透明性規定が、2026年8月2日から適用されている。ChatGPTの広告については、広告であることを明確に表示し、AIによる回答と視覚的に分離する設計が採用されている。

GDPRとEU AI法は対象とする処理や義務が異なる。広告に使う個人データの適法性は主にGDPR上の論点であり、AIとの対話や生成物に関する透明性はEU AI法上の論点となる。

■広告とChatGPTの回答は分離

OpenAIは、広告がChatGPTの回答に影響することはなく、広告主が回答を変更したり、特定の商品を優先的に表示させたりすることはできないとしている。

広告は回答の末尾より下に、回答とは分離した形で表示される。広告が表示されたとしても、OpenAIがその広告主や商品、サービスを推奨していることを意味しない。

会話の内容は広告主と共有されず、広告主がチャット、チャット履歴、メモリ、個人情報を閲覧することもできない。利用者が広告を通じて広告主へ自らメッセージを送った場合は、その送信内容に限って広告主へ伝わる。

広告による収益が拡大するなか、回答の独立性と会話のプライバシーをどのように維持するかは、ChatGPT広告の信頼性を左右する要素となる。OpenAIは、広告と回答の分離、会話内容を広告主へ販売しないこと、利用者が広告データを管理できることを基本原則として掲げている。

■注目ポイントQ&A

●欧州のChatGPT広告は過去の会話履歴をターゲティングに使用しますか?

欧州経済領域とスイスでは、開始時点でパーソナライズ広告は提供されません。広告は主に現在の会話の文脈などを基に選ばれます。パーソナライズを無効にしている場合、他のチャットスレッド、広告履歴、関連付けられたトピックは広告選択に使用されません。

●パーソナライズを無効にすれば、すべての広告が消えますか?

いいえ。パーソナライズを無効にしても、現在のチャットの文脈に関連する広告は表示される場合があります。広告なしで利用するには、Plus、Pro、Business、Enterprise、Eduなどの広告なしプランを選ぶ方法があります。

●広告主はChatGPTとの会話を閲覧できますか?

閲覧できません。OpenAIによると、広告主はチャット、チャット履歴、メモリ、個人情報へアクセスできず、提供されるのは広告の表示回数やクリック数などの集計情報です。

●広告によってChatGPTの回答内容が変わりますか?

変わりません。OpenAIは広告をチャットモデルとは別のシステムで運用し、広告主が回答を形成、順位付け、変更することはできないと説明しています。

●AnthropicのClaudeにも広告が導入される予定はありますか?

Anthropicは2026年2月、Claudeを広告なしで提供し続ける方針を表明しました。会話の近くにスポンサーリンクを表示せず、広告主が回答へ影響する仕組みも導入しないとしています。

元記事: ChatGPT Ads Reach Europe Monday: Opting Out Changes Which Ads You See, Not Whether You See Them

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