中国アリババの純利益75%減、AI投資で費用膨張―株価は下落後に切り返す
2026年8月21日 10:20
中国の電子商取引大手アリババ集団(Alibaba)が20日発表した2026年4〜6月期決算は、純利益が前年同期比75%減の約105億元(約2480億円)となった。AIインフラやコンピューティング能力への投資拡大が利益を圧迫した一方、クラウド事業は大幅な増収となった。
米国上場株は20日の取引開始直後に一時4.6%下落したが、その後切り返した。終値は前日比1.63ドル(1.27%)高の130.53ドルだった。
売上高は前年同期比9%増の2689億5000万元(約6兆3600億円)となり、LSEGがまとめた市場予想の2688億8000万元を小幅に上回った。
投資家の関心を集めたのは、AI分野で競争するためのインフラ投資の規模である。設備投資額は前年同期比75%増の676億8000万元(約1兆6000億円)に達した。アリババは、購入時期の偏り、CPUによるコンピューティング能力の拡充、幅広い半導体部品の価格上昇が主因だと説明した。
高度なAIシステムの開発・運用には、大量の計算能力やデータセンター容量、先端半導体が必要となる。このため、AI製品への需要が伸びるなかでも、投資負担がキャッシュフローを圧迫している。
アリババはコストの一部を顧客に転嫁する動きも進めている。CNBCによると、同社は需要拡大を受け、2026年3月に一部のAIコンピューティング・ストレージ製品を最大34%値上げした。
一方、AI投資が主要事業の成長につながっている兆候も示された。AIクラウド・コンピューティングサービスの売上高は前年同期比45%増の484億4000万元(約1兆1400億円)となった。
クラウド事業はアリババがAIを収益化するうえで中核的な位置を占める。マイクロソフトやグーグルと同様に、企業向けにコンピューティング能力やAIサービスを提供する基盤となるためだ。
アリババ集団のエディー・ウー最高経営責任者(CEO)は、AI関連製品の売上高が「12四半期連続で3桁の伸びを記録した」と説明した。さらに「フルスタックのAI戦略によって、人工知能とAIコンピューティングに対する大幅な需要拡大を取り込むうえで、アリババは優位な位置に立っている」と述べた。
ただ、投資規模の大きさから、どの程度の期間で収益に結び付くかを巡る懸念も強まっている。シティのアナリストは、アリババがAI Labs and Applications部門の業績を開示したことで、AI投資の規模や製品開発の進捗を投資家が把握しやすくなったと指摘した。
その一方で、設備投資の75%増加と447億元(約1兆500億円)のフリーキャッシュフロー流出は、将来の資金需要や投資収益を巡る懸念を強める可能性があると警告した。
AI開発においては中国と米国の企業による競争が激しさを増している。アリババは2026年8月、同社がこれまでで最も高性能と位置付けるAIモデル「Qwen3.8-Max」を発表した。
同社が公表したベンチマークでは、Qwen3.8-Maxは米アンソロピックの「Fable 5」と同等、または一部の試験で上回る結果を示した。ただし、これはアリババ自身が公表した評価結果であり、すべての性能試験でFable 5を上回ったものではない。
アリババは消費者向け端末で直接動作するモデルの開発にも乗り出した。270億パラメーター規模の「Qwen3.8-27B」はノートパソコンなどでの実行を想定しており、同社はコーディング、専門業務、調査、長時間にわたるエージェント型の作業で高い能力を備えるとしている。