SpaceX株、再びIPO価格割れ―3億1900万株の売却制限解除で4%安

2026年8月21日 09:50

 米宇宙開発企業スペースXの株価は20日、前日比5.65ドル(4.05%)安の134.00ドルで取引を終え、6月の新規株式公開(IPO)価格である135ドルを再び下回った。初期投資家や従業員などが保有する約3億1900万株の売却制限が同日解除され、潜在的な売り圧力への警戒が高まった。

 スペースXは6月11日、クラスA普通株5億5555万5555株のIPO価格を1株135ドルに決定し、翌12日にナスダック市場で取引を開始した。引受会社による追加取得分を含めると、IPOで売り出された株式は約6億3889万株となった。

 20日に売却可能となった約3億1900万株は、段階的なロックアップ解除日程に基づく上場後70日目の対象分である。Yahoo Financeによると、同社の約130億株のうち約88%が、2027年までに段階的に売却可能となる見通しである。

 スペースX株は8月6日にも、四半期決算の発表に伴って最大約9億1150万株の売却制限が解除された。この日は、株式供給の増加を懸念した一部投資家の予想に反し、株価は6.14%上昇した。売却可能株式が大幅に増えたものの、市場の需要が追加供給を吸収した形となった。

 一方、20日は今回の解除を受け、流通可能株式の増加に対する投資家の警戒が改めて表面化した。約3億1900万株は、180日間の売却制限の対象となった株式の約7%に相当する。

 同日の米株式市場も全面安となった。ダウ工業株30種平均は前日比703.84ドル(1.32%)安の5万2759.21ドル、S&P500種株価指数は66.82ポイント(0.87%)安の7641.16、ナスダック総合指数は263.92ポイント(1.00%)安の2万6067.17で引けた。米国債利回りの上昇や原油高、インフレへの懸念などが株式相場の重荷となった。

 今後もロックアップ解除による株式供給の増加が見込まれる。11月上旬に予定される第3四半期決算の発表前後には、約13億株が追加で売却可能となる見通しである。12月にも大規模なロックアップ解除が予定されている。一方、イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が保有する約64億2000万株には別の売却制限が設けられており、2027年6月まで売却できない。

 スペースX株は6月の上場後、値動きの大きい展開が続いている。株価は6月16日の取引時間中に過去最高値の225.64ドルまで上昇した後、8月3日には104.83ドルまで下落した。その後は持ち直したものの、同社の高い時価総額や成長見通しと、流通可能株式の継続的な増加を巡り、株価は振れやすい状況にある。

 スペースXは、ロケット打ち上げや衛星通信サービス「スターリンク」にとどまらず、人工知能(AI)や企業向けソフトウエア分野への進出も加速している。同社はAIコーディングツール「Cursor」を開発するAnysphereを600億ドルで買収する取引を完了した。Cursorは8月14日、買収手続きが正式に完了し、スペースXの一部になったと発表した。

 ドイツ銀行のアナリスト、エディソン・ユー氏は、買収による利点として、Cursorが大企業の顧客基盤を持つこと、100万人を超える利用者によるコーディングデータを利用できることなどを挙げた。また、CursorのソフトウエアをスペースX傘下のAIモデル「Grok」や大規模な計算インフラと統合することで、相乗効果が見込めるとの見方を示した。

 ドイツ銀行は買収完了を受けても、投資判断と235ドルの目標株価を据え置いた。一方、通期の1株利益予想を11%、売上高予想を1%それぞれ引き上げた。

 今週には、スペースXがAIコーディングエージェント「Devin」を開発するCognitionの買収を検討したとの報道も出た。しかし、Cognitionのスコット・ウーCEOは「Cognitionは売却対象ではなく、両社は買収交渉を行っていない」と否定した。

 マスクCEOもウー氏の説明を支持し、Cognitionとの協議は「同社のニーズに合わせてGrokが適切に機能するようにすること」に限られていたと述べた。買収を検討したとする報道と両社側の説明は一致しておらず、買収協議が実際に行われたかどうかは確認できていない。

 今回のロックアップ解除により、スペースXの初期投資家の一部は、保有株を市場で売却できる機会を得る。ロイター通信によると、アルファベットが2015年に投じた9億ドルの投資は、2026年6月末時点で約942億ドルの価値に拡大した。

 アルファベットは6月末時点でスペースX株を5億5120万株保有しており、同月30日の終値170.86ドルで評価すると約942億ドルとなる。ただし、四半期ごとの保有報告は6月末時点の状況を示すものであり、その後の売買や各投資家のロックアップの適用状況、売却意向までは明らかにしていない。

 ロイター通信によると、フィデリティ・インベストメンツは3億260万株、サウジアラビアの政府系ファンドであるパブリック・インベストメント・ファンド(PIF)は1億5410万株、ベイリー・ギフォードは5140万株、ブラックロックは5100万株をそれぞれ6月末時点で保有していた。

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