小鵬汽車、大型5人乗りSUV「G9L」が中国119店舗で展示開始、VLA 2.0と最長1602kmのEREVを搭載
2026年8月18日 15:28
中国の電気自動車メーカー、小鵬汽車(XPENG)は、大型5人乗りSUV「G9L」の展示を中国19地域のショールーム119店舗で開始した。中国では2026年8月11日に予約受付を始めており、予約価格は25万9,800元(約612万円、1ドル=159円で原文のドル換算額から概算)からとなる。
G9Lにはバッテリーだけで走るBEVと、発電専用エンジンを備えたレンジエクステンダーEV(EREV)が用意される。小鵬汽車は、独自のTuring AIチップによる最大2,250TOPSの演算能力、800V急速充電、後輪操舵、大型の5人乗り車内空間などを主な特徴として掲げている。
■中国119店舗で展示、予約価格は25万9,800元から
小鵬汽車が公表した展示店舗は中国19地域の119店舗で、浙江省が28店舗と最も多い。配置された車両は展示用で、店舗にある車両をそのまま購入することはできない。
予約期間中は1,000元の予約金を支払うと、購入代金から3,000元が差し引かれる。ショールームでは、17.3インチのセンターディスプレイ、21.4インチの後席用ディスプレイ、ゼログラビティシートなどを実車で確認できる。
G9Lの予約価格は25万9,800元からである。原文が比較対象とした理想汽車の「L7」は31万9,800元、ファーウェイが技術面で関与するAITOの「M7」は28万8,000元からとなっており、G9Lは中国市場における予約開始時点のエントリー価格で両車を下回る。
もっとも、装備構成やパワートレイン、販売時の特典が異なるため、開始価格だけで商品価値を単純に比較することはできない。G9Lの正式な発売価格や納車時期も、予約開始時点では確定していない。
■最大2,250TOPSで動かす第2世代VLA
G9Lは、小鵬汽車が開発する第2世代のVision-Language-Actionモデル「VLA 2.0」の大規模アップデートを初めて採用する車種と位置付けられている。
VLAは、カメラなどから得た周囲の情報を解釈し、車両の動作につなげる運転支援向けAIモデルである。従来型の運転支援システムでは、物体認識、将来位置の予測、経路計画、車両制御などを複数の処理段階に分ける構成が一般的だった。小鵬汽車はVLA 2.0について、認識、推論、動作を統合したAI基盤モデルを用いることで、さまざまな道路環境への対応力を高める設計だと説明している。
G9Lは、独自開発のTuring AIチップを最大3基搭載し、有効演算能力は最大2,250TOPSとされる。チップ数や利用できる運転支援機能はグレードによって異なる可能性があるため、購入時には各仕様の確認が必要となる。
小鵬汽車は、VLA 2.0を利用した運転支援システムを2027年から世界市場へ展開する計画を示している。一方、G9Lの中国向け量産仕様で提供される機能は、運転者が常時監視し、必要に応じて操作する運転支援である。各国で提供される機能や開始時期は、現地の法規制や認可、車両仕様によって決まる。
■BEVは800V対応、9分で最大450km分を充電
G9LのBEVは、800Vの高電圧システムと5C急速充電対応バッテリーを採用する。小鵬汽車によると、対応する充電設備と所定の条件下では、9分間でCLTC航続距離450km以上に相当する電力を充電できる。
この数値は充電時間そのものではなく、充電によって追加できるCLTC基準の航続距離を表したものだ。実際の充電量と所要時間は、充電器の対応電圧や出力、バッテリー残量、温度、車両側の制御などによって変わる。
BEVには複数の仕様が用意される。後輪駆動車は最高出力270kWのリアモーターと91.9kWhのリン酸鉄リチウムイオンバッテリーを搭載し、CLTC航続距離は最大702kmとなる。
全輪駆動車は、160kWのフロントモーターと270kWのリアモーターを組み合わせ、システム最高出力は430kWとなる。91.9kWhバッテリー仕様のCLTC航続距離は最大660km、110kWhバッテリー仕様は最大755kmである。全輪駆動BEVの0-100km/h加速は最短4.45秒とされる。
これらは中国のCLTC試験による数値であり、日本で表示されるWLTC値や欧州のWLTP値と直接比較することはできない。G9Lの日本向け仕様、国内導入、価格、航続距離は発表されていない。
■EREVは発電専用エンジンを搭載、CLTC総合航続距離1602km
EREVは、63.3kWhのリン酸鉄リチウムイオンバッテリーと60リットルの燃料タンク、1.5リッターターボエンジンを組み合わせる。エンジンは主に発電機として働き、モーターへ供給する電力を生み出す。
全輪駆動仕様は前後2基のモーターを搭載し、システム最高出力は370kW、0-100km/h加速は4.95秒とされる。小鵬汽車が公表したCLTC航続距離は、バッテリーだけで最大435km、燃料を併用した総合値で最大1,602kmである。
総合航続距離は、満充電のバッテリーと満タンの燃料を使用するCLTC試験の結果である。高速道路での連続走行を含む実際の航続距離は、速度、気温、空調、積載量、道路条件、発電機の稼働状況などによって変動する。
EREVも800Vの高電圧システムと急速充電に対応するが、小鵬汽車の中国向け公式情報では、9分間で追加できる航続距離は300km以上とされている。BEVの450km以上という数値と区別する必要がある。
■全長5.12mの大型5人乗りSUV
G9Lのボディーサイズは、全長5,120mm、全幅1,999mm、全高1,782mm、ホイールベース3,100mmである。中国向けモデルは2列シートの5人乗りで、3列目を設けず、前後席と荷室の空間を広く取った構成となっている。
荷室容量は通常時1,152リットルで、床下に230リットルの収納スペースを備える。車内の使用可能空間は、小鵬汽車の説明で5.1平方メートルとされる。
前席には最大24方向の電動調整、ヒーター、ベンチレーション、16点マッサージ機能が用意される。シートには91個の圧力センサーと27個のエアバッグ式調整機構を組み込み、着座状態に合わせて支持の仕方を変える機能を備える。
この91個という数字は車両全体の情報収集センサー数ではなく、シートの姿勢調整に使う圧力センサーの数を指す。
ディスプレイ類は、17.3インチのセンターディスプレイ、8.88インチのメーター、88インチ相当の表示領域を持つARヘッドアップディスプレイ、21.4インチの後席用ディスプレイ、9インチのストリーミングミラーで構成される。
そのほか、33スピーカーのオーディオ、12.5リットルの2温度帯対応冷蔵庫、電動サイドステップ、電動ドアなどを用意する。ファーウェイと共同開発したメガピクセル級のデジタル投影ヘッドライトは、走行時に路面へ案内表示などを投影できるとしている。33スピーカーのオーディオがファーウェイとの共同開発であるとの公式な説明は確認できない。
後輪操舵は全車に標準装備され、後輪を左右最大15度動かす。小鵬汽車によると、最小回転半径は5.4mとなる。デュアルチャンバー式エアサスペンションと可変減衰ダンパーも全車標準装備とされている。
■世界市場を想定、欧州仕様はパリで公開へ
小鵬汽車によると、G9Lは開発開始から約3年をかけ、26カ国・地域で累計674万kmに及ぶ検証走行を実施した。同社は、複数地域の安全評価基準を考慮して開発したグローバルモデルと位置付けている。
欧州では、2026年10月12日から18日まで開かれるパリモーターショーで初公開される予定だ。欧州向けには中国仕様と異なる6人乗りモデルが披露される見通しで、パワートレイン、運転支援機能、価格、発売地域、納車時期などの詳細は今後発表される。
中国向けに公表されたCLTC航続距離や充電性能、装備が、そのまま欧州仕様に採用されるとは限らない。欧州向けのWLTP航続距離も、現時点では公表されていない。
小鵬汽車の2026年7月の世界販売台数は3万8,027台で、前年同月比4%増だった。一方、1月から7月までの累計は20万4,004台で、前年同期比では約12.8%減となった。G9Lは、同社が大型・高価格帯のSUV市場で商品構成を広げるうえで重要なモデルとなる。
■価格と主要性能は正式発売後の確認が必要
G9Lは、5人乗りに特化した大型車内、BEVとEREVの選択肢、最大2,250TOPSの演算能力、800V急速充電、後輪操舵などを組み合わせたSUVである。
一方、25万9,800元という価格は中国での予約価格であり、正式発売価格ではない。最大航続距離や急速充電性能も小鵬汽車が示したCLTC基準または所定条件下の数値で、第三者による同一条件での競合比較は確認されていない。
日本での発売計画も公表されていないため、日本の読者にとっては、まず中国市場向けモデルの技術的な位置付けと、今後発表される欧州仕様を見極める段階にある。
■注目ポイントQ&A
●G9LのBEVとEREVは何が違いますか?
BEVはバッテリーに蓄えた電力だけで走り、91.9kWhまたは110kWhのバッテリーを搭載します。EREVは63.3kWhのバッテリーに加え、走行用電力を発電する1.5リッターターボエンジンと60リットルの燃料タンクを備えます。公表されている航続距離はいずれも中国のCLTC基準です。
●2,250TOPSなら自動運転ができますか?
演算能力の大きさだけで自動運転の水準が決まるわけではありません。G9Lの運転支援機能を使用する場合も、運転者が周囲を監視し、必要に応じて操作する責任があります。各国で利用できる機能は法規制や車両仕様によって異なります。
●9分で450kmを実際に走れる分だけ充電できますか?
小鵬汽車が示しているのは、対応設備と所定条件下で、9分間にCLTC航続距離450km以上に相当する電力をBEVへ追加できるという数値です。実際の充電量や走行距離は、充電器、バッテリー温度、速度、空調、道路条件などによって変わります。EREVについて同社は9分で300km以上と案内しています。
●G9Lは日本で発売されますか?
2026年8月18日時点で、日本での発売、価格、仕様は発表されていません。欧州仕様は2026年10月のパリモーターショーで公開される予定です。
元記事: Xpeng G9L Lands in 119 Chinese Showrooms With VLA AI Upgrade Rivals Cannot Match Yet