利益2954億円でも営業赤字 サッポロが優待と配当を増やす理由
2026年8月15日 16:40
サッポロビールが7日、株主優待の拡充と累進配当の導入を発表した。同じ日の中間決算は、最終利益2,954億円に対して営業損益が59億円の赤字である。最終利益を押し上げたのは、不動産子会社の連結除外だった。膨らんだ自己資本をどう戻すかが、還元強化の背景にある。
■優待は増えたが100株ではビールを選べない
新設の電子クーポンは1ポイント1円で、グループの通販サイトやサッポロライオンの店舗で使える。100株から299株を1年以上持つ株主には1,000ポイントが入る。3年以上持っても、ポイントは増えない。
缶ビールを選べるのは、300株を3年以上持つ株主からだ。本数は300株なら12本になる。14日終値の2,050円だと、投資額は約61万5,000円になる。
新制度の初年度に限り、2026年12月末に100株以上あれば1年持ったとみなされる。
■優待以上に大きい「減配しない」方針
累進配当とは、1株当たりの配当を維持するか増やす方針である。サッポロは2027年から2030年の中期経営計画で導入する。DOE目標も4%以上から5%以上へ引き上げた。DOEとは、株主資本に対して、年間配当額がどの程度の割合かを示す株主資本配当率だ。
2026年12月期の配当予想は年40円で、100株なら4,000円になる。利回りは1.95%。優待を額面で足すと2.4%になる。
■利益2954億円の裏で営業赤字
中間期の最終利益は2,954億円で、前年同期は18億円だった。一方で営業損益は59億円の赤字となり、前年の黒字から転落した。
ただし国内のビールは売れている。売上数量は前年同期比105%で、総需要の100%を上回った。恒常的な事業を示す事業利益も、68億円と37.2%増えている。営業赤字は、構造改革費用や減損損失といった一時的な費用を計上したためだ。
サッポロは6月、サッポロ不動産開発の議決権51%を投資ファンドに移し、同社を連結対象から外した。子会社でなくなったことに伴う利益は3,150億円、非継続事業全体の中間利益は3,004億円だった。
■増えすぎた自己資本を株主に還元
不動産子会社を外したことで、自己資本は2.3倍に膨らんだ。資本が増えれば、同じ利益でも効率は下がる。配当と自社株買いを同時に打ち出したのは、増えた資本を株主に戻すためだ。会社は目的を資本効率の向上と説明している。
配当は2027年からの4年で800億円程度、自己株式取得は2030年までに1,700億円程度を予定する。
新NISAで長く持つなら、確かめたいのは三つだ。ポイントを実際に使うか、ビールを受け取るまで300株を3年持てるか。そして一時的な費用が収まり、営業利益が戻るかである。(記事:中村葵・記事一覧を見る)