LGが「Creator Original画質モード」を発表 配信作品ごとに製作者がテレビ設定を制御可能に

2026年7月24日 18:25

LGエレクトロニクスは、映画スタジオが作品ごとに暗部階調や色彩、動きなどの画質パラメータを直接ユーザーのテレビに送信できる「Creator Original Picture Mode」を発表した。Amazon Prime Videoとの提携により提供されるこの機能は、従来の「Filmmaker Mode」とは異なり、製作者が意図した画質処理を能動的に適用する仕組みである。最新プロセッサを搭載した2026年のLG OLED evo上位モデル限定の機能となっており、今後の業界標準化や他配信サービスへの拡大が注目される。

■映像制御の主導権がテレビメーカーからスタジオへ

LGエレクトロニクスは2026年7月21日、Amazon Prime Videoと共同で「Creator Original Picture Mode」を発表した。これまで動画配信の画質はテレビ側のデフォルト設定に大きく依存していたが、本機能ではスタジオのカラリストが作品ごとの暗部詳細、カラーバランス、ノイズリダクション、動き処理といったパラメータを、ストリーミング経由で消費者向けのテレビへ直接反映できるようになる。

これにより、リビングルームにおける映画の「最終的な見栄え」の決定権がメーカーから映画スタジオへと移行する。本機能はLGの最新チップ「Alpha 11 AI Processor Gen 3」を搭載した2026年モデルの「LG OLED evo W6、G6、C6」シリーズ限定であり、Prime Videoで2026年7月22日に配信開始された『Masters of the Universe』に合わせて導入される。対応ファームウェアは2026年7月末までに順次配信される予定だ。

■「Filmmaker Mode」との明確な違い

従来の「Filmmaker Mode」は、2019年にUHD Allianceが策定し、画質補正機能(倍速処理や過度な輪郭強調など)を一括でオフにして制作者の元の信号を保護する「引き算」のアプローチをとっていた。それに対し「Creator Original」は、画質処理をオフにするのではなく、作品ごとにスタジオが定義した特定の処理を実行させる「足し算」のアプローチである。

作品ごとのパラメータは、Prime Videoアプリを通じてLGのwebOSにAPI経由で引き渡され、テレビ側のプロセッサが制作者の意図した数値を適用する。LGによると、ストリーミング配信においてこのような形作品個別の補正を適用する画質モードは業界初だという。

■新チップ「Alpha 11 Gen 3」と12ビット処理の必要性

本機能が2026年の上位モデル限定となっている理由は、ハードウェアの処理能力にある。Alpha 11 AI Processor Gen 3はテレビ用として初の6nmプロセスで製造され、12ビットの画像処理パイプラインを備えている。

従来型の10ビットパイプラインが各色チャンネル1,024段階であるのに対し、12ビットは4,096段階となり、64倍の精度で色彩演算を行う。トーンマッピングやHDR処理、Creator Originalパラメータの適用はすべてこの12ビット空間で行われるため、暗部のグラデーションや微細なトーンの階調表現において、バンディング(縞状のノイズ)を大幅に抑えた描写が可能となる。

価格はG6シリーズの55インチモデルで2,499ドル(約41万円、1ドル=164円換算)から、C6シリーズの42インチモデルで1,399ドル(約23万円、1ドル=164円換算)からとなっている。

■今後の課題と業界標準化の可能性

一方で、実用上の課題や不明点も残されている。コンテンツ再生時に自動で適用されるのか手動選択が必要なのかや、設定値をユーザーが変更できるかといった透明性の問題は明確にされていない。また、現時点で対応する配信プラットフォームはPrime Videoのみであり、NetflixやDisney+、物理メディアでの対応予定は発表されていない。

Filmmaker Modeが業界標準として普及するまでに数年を要したように、テレビメーカー各社や配信サービスが独自APIやカラリストの作業フローを導入するかどうかが、「Creator Original」が今後の標準となるか一部モデル限定の機能にとどまるかの分かれ目となる。

■注目ポイントQ&A

●Creator Original Picture Modeとは何ですか?Filmmaker Modeとの違いは何ですか?

Creator Original Picture Modeは、映画スタジオが作品ごとに設定した暗部階調や色彩、動きなどの画質データを配信経由でテレビに送信し、適用する機能です。余計な画質補正を無効化する従来の「Filmmaker Mode」とは異なり、スタジオが指定した積極的な画質処理をテレビ側で正確に再現する点が異なります。

●どのLG製テレビがCreator Originalに対応していますか?

2026年発売の「LG OLED evo W6、G6、C6/C6H」シリーズが対応しています。エントリーモデルのB6や、2025年以前のモデルはハードウェア(Alpha 11 AI Processor Gen 3)の制限により対応していません。

●Will Creator Original come to Netflix, Disney+, or other streaming services?

現在のところAmazon Prime Videoのみの限定提供となっています。他の配信プラットフォームやブルーレイなどの物理メディアでの対応計画は現時点で発表されていません。

元記事: LG Creator Original Picture Mode Lets Studios Set Your TV for Each Film

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