スペースX株、空売り勢の含み益が155億ドルに

2026年7月24日 11:51

スペースXの大型新規株式公開(IPO)から数週間で、同社株を空売りする投資家の含み益が推計155億ドル(約2兆5300億円)に達した。高いバリュエーションや人工知能(AI)分野への巨額支出に対する懸念から、株価は公開価格を下回っている。

ロイター通信が引用した分析会社オルテックス・テクノロジーズのデータによると、株価が大幅に下落した後も、空売り投資家は弱気の持ち高を積み増している。宇宙・AI分野で事業を展開するイーロン・マスク氏率いるスペースXの株価は、IPO後に一時225.64ドルまで上昇したが、その後は公開価格の135ドルを割り込んだ。

売りは22日に一段と強まり、スペースX株は一時115.26ドルと新たな安値を付けた。23日には下げ幅の一部を取り戻した。

空売りは、株式を借りて現在の市場価格で売却し、その後、より安い価格で買い戻す取引である。株価が下落すれば、投資家は売却価格と買い戻し価格の差額を利益として得られる。

オルテックスの共同創業者ピーター・ヒラーバーグ氏はロイター通信に対し、「スペースXの空売り投資家が利益確定に動いている兆候はない」と述べた。「むしろ、さらに強く空売りに傾いている」と付け加えた。

オルテックスは、22日までにスペースX株およそ3億6000万株が空売り目的で貸し出されていたと推計している。これは同社の浮動株の約56%に相当する。スペースXはロイター通信のコメント要請に直ちには応じなかった。

一方、マスク氏は、公の場で拡大する弱気の賭けを一蹴している。億万長者で最高経営責任者(CEO)のマスク氏は先週、Xへの投稿で、同社株の大規模な空売り持ち高を維持しないよう投資家に警告した。マスク氏は「スペースXの大規模な空売り持ち高を長期にわたって維持する企業が存続できる確率は非常に低い」と書き込んだ。

足元では株価が低迷しているものの、マスク氏が率いる企業への空売りは、歴史的にリスクの高い取引だった。特にテスラ株は、過去10年間の劇的な上昇局面で空売り投資家に数十億ドルの損失をもたらした。これによりマスク氏は、自身の企業に対して弱気の賭けをする投資家を公然とけん制する人物として知られるようになった。

それでもアナリストらは、スペースXの高いバリュエーションにより、同社の長期的な成長見通しが現在の時価総額を正当化できるのか疑問視する投資家にとって、同社株が魅力的な空売り対象になっていると指摘する。

今回の株価下落には、AIブームに伴う巨額のコストを巡る投資家の幅広い懸念も反映されている。テスラが第2四半期に、2年超ぶりとなるマイナスのフリーキャッシュフローを計上したことで、こうした懸念は強まった。

電気自動車メーカーのテスラは、フリーキャッシュフローの悪化について、AIインフラ、電池生産、ロボタクシー開発、次世代の製造技術への投資を加速したためだと説明した。マスク氏が率いる企業が野心的な事業拡大計画を進める中で、財務面の圧力が強まる可能性があるとの懸念が一段と強まった。

スペースXの長期的な見通しに楽観的な投資家もいるが、IPO以降の激しい株価変動は、強気と弱気の双方の投資家にとって難しい取引環境を生み出している。

IPO当初は個人投資家や大手機関投資家の資金が流入し、取引開始後の数日間で株価を大幅に押し上げた。しかし、その後も売り圧力が続いたことで上昇分を失い、現在の株価は公開価格を下回っている。

空売り投資家にとって、株価下落は多額の含み益につながった。こうした利益が確定的なものになるかどうかは、投資家がスペースXのバリュエーション、AI支出戦略、幅広い市場環境の評価を続ける中、今後数カ月の株価動向に左右される。

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