アジア最大級イベント「ビリビリワールド」が席巻する中国発ゲーム(2)【中国問題グローバル研究所】
2026年7月15日 10:29
*10:29JST アジア最大級イベント「ビリビリワールド」が席巻する中国発ゲーム(2)【中国問題グローバル研究所】
◇以下、中国問題グローバル研究所のホームページ(※1)でも配信している「日本に憧れた中国動漫新人類は今どこに?アジア最大級イベント「ビリビリワールド」が席巻する中国発ゲーム(1)【中国問題グローバル研究所】」の続きとなる。
◆中国製ゲームの「逆襲?」に遭う日本
日本でもゲームが占める割合が大きくなった理由は、課金とか、スマホでできるといったファクターが考えられる。日本では、中国製ゲームが本格的に進出する前から、スマホの普及と基本無料・課金モデルにより、スマホゲーム市場が大きく成長していた。現在、日本におけるゲーム市場はアニメや漫画よりも規模が大きく、その主因は中国ではなく、スマホの手軽さと継続的な課金モデルにあった。
ところが2017年から中国製ゲームが収益性の高い日本市場に本格的に進出し始め、2020年頃あたりから定着するようになり、現在では主要な一角を占めるようになっている。
日本のスマホゲームの課金収益の25%~26%は中国製である(※2)。
スマホゲームは日本ゲーム市場の約60%~70%であることを考えると、日本のゲーム市場全体で見た場合、約16%~18%%が中国製ゲームだということになる。
これをまだ少ないと見るのか多いと見るのかは微妙だが、少なくとも圧倒的な魅力と力で中国に上陸した日本動漫最盛期の状況から考えると、ある意味、日本動漫を堪能し吸収した元「中国動漫新人類」たちの日本への「逆襲」であるという見方もできる。
彼らの反日感情との折り合いはどのようにつけているのだろうか?
◆反日感情との折り合いは?
拙著『中国動漫新人類』にも書いたが、あの当時の「80后」たちも、「日本動漫大好き」という気持ちと「中国を侵略した日本は許せない」という気持ちの間を行ったり来たりしていた。1994年から江沢民による「愛国主義教育」が始まっていたので、ダブルスタンダードの中で生きていたと言っていい。拙著『中国動漫新人類』の中でも、かなりのページ数を割いて「中国動漫新人類のダブルスタンダード」に関して考察している。
事実、『中国動漫新人類』が出版された2008年当時、筆者は北京で開催された「遠藤を囲む会」に出席したのだが、会場にいた女子学生が声を震わせて「遠藤先生は日本が中国を侵略したことをどう思っているのですか?」と質問してきた。質問というより「詰問」である。その声の激しさは彼女が「申し訳ありませんが、ここからは中国語で話させてください」という言葉にも表れていた。集まったのは日本動漫愛好者ばかりだったので、みなそれなりに堪能な日本語をこなしていた。しかしそれでももどかしく、中国語で思い切り「憤りをぶつけたい」という闘志が醸し出されていた。中国語で「あなたは侵略戦争をした日本という国の国民ではないか!」と言われた時には、小さい頃に天津の中国人ばかりの小学校で日本人として陰湿を極めた激しい虐めを受けた日々を思い起こさせ、「ああ、こんな集まりに出るのではなかった」と深く反省したものだ。
あの頃でさえ、日本動漫ファンの集まりで「遠藤を囲む会」に出席しながら、あのような状況だったのだから、「高市発言」があったあとの現在の中国では、なお一層、このダブルスタンダードは激しくなっているだろう。
上海にいる教え子に、その辺りの状況を聞いてみたところ、「日本動漫を愛していても、高市首相の台湾有事発言、靖国神社参拝、歴史認識、軍備拡張に反発することは矛盾しません」という回答が戻ってきた。ただし、「日本語や日本社会に詳しい層ほど、日本政府、日本の右翼、一般の日本人、日本文化を区別して見る場合もあります」とのこと。
やれやれ…。
何とも複雑な気持ちだが、最後に「日本動漫ファンには、日本側の発言への反感だけでなく、『なぜ日本の政治家の発言の代償を中国の日本動漫ファンが負うのか』という不満も生まれています」という言葉がせめてもの救いとも言えなくはない。要するに「日本動漫への愛着は、無条件の親日感情ではありません。日本文化を愛しながら、日本の軍事化や歴史認識には反発し、同時に中国側による文化イベントの一律中止にも不満を持つという二重の態度があります」とのこと。
やはり『中国動漫新人類』で書いた「ダブルスタンダード」は消えていない。
いや、日本愛と日本に対する尊敬の念が薄れ、中国への自負心と愛国心が強まったというバランスでのダブルスタンダードであって、消えてはいないが色合いが違ってきているのを否定することはできないだろう。
こんなわけだから、アジア最大級の「ビリビリワールド」が開幕したなどというニュースがネットに流れると、なんとも心穏やかではない複雑な思いが湧いてくるのを抑えがたいのである。
この論考はYahoo!ニュース エキスパート(※3)より転載しました。
中国の動画配信サイトbilibili(ビリビリ)(写真:VCG/アフロ)
(※1)https://grici.or.jp/
(※2)https://investgame.net/news/pdf/japan-game-market-insights-2025-report/
(※3)https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/a6f04e2a13f6adafc1d61867fff2cfa17e6496df《CS》