Googleに二重の打撃、スウェーデンで15億ドルの賠償命令と韓国での「Project Hug」独占疑惑が同日浮上
2026年7月3日 23:10
Googleは2026年7月1日、欧州とアジアの2つの大陸で同時に重大な独占禁止法関連の局面に直面した。スウェーデンの裁判所が同社に対し、価格比較サービスへの約15億ドル(約2415億円)の損害賠償支払いを命じたほか、韓国の規制当局はデベロッパー向け優遇プログラム「Project Hug」を通じた市場独占の疑いで同社を正式に告発した。これらの動きは、同社がこれまでのように制裁金を「事業コスト」として処理するだけでは済まない、構造的な変化の始まりを示唆している。
■スウェーデン史上最大の賠償命令:EU司法裁判所の判決が呼び水に
2026年7月1日、ストックホルムの特許・市場裁判所は、Googleに対し、Klarna傘下の価格比較サービス「PriceRunner」へ143億スウェーデン・クローナ(約15億ドル、約2415億円。利息を含めると約19.7億ドル、約3172億円、1ドル=161円換算)の損害賠償を支払うよう命じた。これはスウェーデンの競争法関連の損害賠償額として史上最大となる。判決は、Googleが長年にわたり自社の価格比較サービスを不当に優遇したことで、PriceRunnerに損害を与えたと認定した。
2017年に欧州委員会がGoogleに対し、検索結果で自社サービスを優遇し競合を排除したとして24.2億ユーロの制裁金を科した決定がある。Googleは長年にわたりこの決定を争ったが、2024年9月に欧州連合司法裁判所(CJEU)が欧州委員会の決定を支持する最終判決を下した。EUの2014年独占禁止法損害賠償指令に基づき、この確定判決は欧州経済領域(EEA)の加盟国裁判所において違法行為の拘束力のある証拠となるため、PriceRunnerはGoogleの違法性を再立証する必要がなく、損害額の算定のみが争点となった。
Googleは判決に同意しておらず、2017年以降にショッピング広告の仕様を変更し効果を上げていると主張。控訴を含めた法的手段を検討している。原告のPriceRunner側も、控訴手続きによって最終的な支払いまでに数年かかる可能性があることを認めている。
■韓国「Project Hug」:実質的な独占を促すインセンティブ設計
スウェーデンでの判決と同日、韓国公正取引委員会(KFTC)は、Googleが2019年7月から2026年3月にかけて実施していたデベロッパー向け支援プログラム「Project Hug」(正式名:Games/Google Velocity Program)に関する審査報告書を公表した。このプログラムは、ゲーム開発者に対し、Google Cloud of利用やGoogle広告、YouTubeでのプロモーションなどの資金援助を提供するものだった。
KFTCの報告書によると、このプログラムは明示的な独占契約を結ばせることなく、実質的な独占状態を作り出すよう設計されていた。開発者が受け取る補助金はGoogle Playでの売上規模に連動していたが、補助金を受け取る条件として、競合するAndroidアプリストア(韓国のOneStoreなど)に対してGoogle Playと同等以上に有利な条件でゲームを配信することが求められた。これにより、開発者が競合ストアを優先する動機が実質的に奪われ、Google Playとの事実上の独占契約を強いられたと指摘されている。
KFTCは、この行為が影響を与えた売上高を約14兆1600億ウォン(約91億ドル、約1兆4651億円、1ドル=161円換算)と推計。韓国の競争法に基づき、最大で影響売上高の6%にあたる8496億ウォン(約5億4730万ドル、約881億円、1ドル=161円換算)の制裁金が科される可能性がある。Googleは8週間以内に反論書を提出する予定で、違法行為はなかったと主張している。
■激化するグローバルな訴訟の波とGoogleの法的リスク
今回の2つの出来事は、規制当局による制裁金だけではプラットフォーム企業の行動を根本的に変えられないという認識から、より実効性のある法的追及へと移行している世界的なトレンドを象徴している。欧州では、2024年9月のCJEU判決を根拠に、ドイツのIdealo(約4億6500万ユーロ)やProducto(約1億700万ユーロ)への賠償命令がすでに下されているほか、イタリアのMoltiply Groupが約29.7億ユーロの賠償を求めるなど、民事上の損害賠償請求が相次いでいる。欧州全体での賠償総額は50億〜80億ユーロ以上に達する可能性がある。
米国でも、2025年9月に検索市場での独占維持が違法と判断され、2026年初頭に双方が控訴。英国でも大規模な集団訴訟が控えている。Googleはすべての地域で違法性を否定しているが、同時多発する巨額の訴訟対応は、同社のグローバル事業にとって大きな構造的制約となりつつある。
■注目ポイントQ&A
●「Project Hug」とは何ですか?なぜ独占禁止法上問題になるのですか?
Googleが2019年7月から2026年3月まで実施していた、ゲーム開発者向けの支援プログラム(正式名:Games/Google Velocity Program)の社内コードネームです。開発者にクラウド利用や広告枠などの資金援助を提供する代わりに、Google Playで競合ストアと同等以上の有利な条件でゲームを配信することを求めました。明示的な独占契約を結ばなくても、Google Playでの売上が増えるほどインセンティブが拡大する仕組みだったため、開発者が競合ストアを優先する動機を実質的に奪い、市場競争を阻害したと指摘されています。
●なぜ2017年のEU決定から今になってスウェーデンで賠償命令が出たのですか?
2017年の欧州委員会による決定は行政処分(制裁金)であり、被害を受けた企業への直接的な補償ではありませんでした。被害企業が国内裁判所で損害賠償を請求するには、Googleの違法性が確定する必要がありました。Googleが長年争った末、2024年9月に欧州連合司法裁判所(CJEU)が欧州委員会の決定を支持する最終判決を下したことで、違法性が確定しました。これにより、被害企業は違法性を再立証することなく、被った損害額の証明だけで賠償を請求できるようになり、今回の判決につながりました。
●スウェーデンの判決により、Googleはすぐに15億ドルを支払うことになりますか?
すぐに支払われるとは限りません。Googleは判決に同意しておらず、控訴を含めた法的手段を検討する意向を示しています。原告のPriceRunnerを傘下に持つKlarnaも、控訴手続きによって最終的な支払いまでに数年かかる可能性があることを認めています。
●欧州の同じ法的枠組みで、他にどのような企業がGoogleに賠償を求めていますか?
ドイツでは、価格比較サイトのIdealoが約4億6500万ユーロ、Productoが約1億700万ユーロの賠償命令をすでに勝ち取っています。また、イタリアのMoltiply Group(Trovaprezzi.itを運営)が約29.7億ユーロの賠償を求めて提訴しているほか、英国でもKelkooやFoundemなどの価格比較企業による訴訟が進行中です。
元記事: Google Ordered to Pay $1.5B in Sweden as Korea Accuses It of Project Hug Exclusivity Scheme