トヨタはなぜ売られ続けるのか 売上50兆円でも株価が弱い理由
2026年6月28日 16:02
■日経平均6万円台までは買われていたトヨタ
トヨタの株価は、3月2日に2番天井となる3,957円をつけ、そこまでは日経平均とともに上昇していた。日経平均は6万円台の史上最高値を更新し、3月末にかけて1万円ほど調整(下落)している。トヨタも日経平均とともに下落し、3,100円台まで下落した。
そして、ここから始まったのがAIデータセンター相場である。AIデータセンター需要で爆益が見込まれる半導体・光ファイバーなど一握りの銘柄が暴騰相場を形成し、日経平均は7万円台に突入していく。
日経平均6万円台までは買われていたトヨタであるが、4月以降はお役御免となり、株価は低迷していくことになる。
世界的な生成AIブームは、AIデータセンターの建設ラッシュを引き起こし、さらにはAI銘柄による巨額の資金調達ラッシュ(IPOや公募増資)も始まった。
株式市場の大口投資家である機関投資家や大口投機筋はこの流れに乗り、売上50兆円のトヨタもAI銘柄の資金調達のために売られたというのが実情だ。
■大口投機筋がトヨタを売り続ける理由
機関投資家などの大口投資家がAI銘柄購入のために売却したのは、無論トヨタだけではない。4月以降下落しているものは、大半がそうだと思われる。
株式だけではなく、金、ビットコインも例外ではないだろう。イラン紛争が混迷する中でも下落する原油相場もそうなのではと、疑いたくもなる。
トヨタにしても、決して業績が悪いというわけではない。しかしながら、時価総額が大きく格好のターゲットとなった可能性はある。
さらにトヨタが保守的な来期の業績予想を出したことにより、PBR(株価純資産倍率)が1倍割れとなり、リーマンショック時と同じ0.79倍まで落ち込んだのが大きい。
PBR1倍割れとは、極端に言えば事業を継続するよりも、すぐに会社を解散し資産を株主で分け合ったほうが、株主にとって利益が大きいということだ。大口投資家とすれば、より利益率の高い銘柄に乗り換えたという、合理的な判断をしたに過ぎないだろう。
■株価下落に終止符が打たれるタイミングはいつ
では、このまま世界最大の自動車メーカーで売上50兆円のトヨタは、下落し続けるのだろうか?今後も噂されるオープンAIやアンソロビックのIPO、キオクシアなどの資金調達は控えており、AI相場が続く限りは時価総額の大きいトヨタが売られる可能性は残る。
しかしながら、そもそもの来期業績予想が、イラン紛争、米国関税政策、インフレによる個人消費の落ち込みなど、致し方ない部分はあるものの、非常に保守的な数字である。トヨタによる来期業績予想が4兆2,300億円(税引き前利益ベース)であるのに対し、アナリスト予想平均値は5兆3,482億円となっており、1兆円ものギャップがあるのだ。
7月末から8月初旬に予定されているトヨタの第1四半期では、どんな数字が発表されるのか?トヨタの保守的な見方が正しかったのか、あるいはアナリスト予想に近いものなのかが判明しそうだ。株価の転機は意外と近いのかもしれない。