AI相場は「本物」か――新NISA世代が乗る“工事需給”の波
2026年6月26日 13:50
AI・半導体株が、日経平均株価を激しく揺さぶっている。ここ数週間、史上最高値の更新と、数日で数千円規模の急落・急反発が交互に起きている。値動きの荒さばかりが目立つ。だが新NISAで積み立てる人の多くも、こうした銘柄を間接的に保有している。
結論から言えば、日本株が握るのは、AIそのものではない。AIを「建てる」工事の層だ。その工事を発注するのは、米国のAIテックである。裾野は広いが、発注元はなお米国に偏る。
■「実需」は本物だ
今回の株高は、少なくとも2000年のITバブルと同じとは言い切れない。 当時は利益を伴わない期待だけで膨らみ、はじけた。今回は、少なくとも主要なAIインフラ関連では業績を伴う例が目立つ。
例えばメモリーのキオクシアは、2026年3月期のNon-GAAP営業利益が前期比93%増の8,762億円。時価総額も一時トヨタ自動車を上回る場面があった。
■「工事」の裾野は広い
日本の強みは、工事の裾野の広さにある。半導体の製造装置は東京エレクトロンやアドバンテスト、材料は信越化学工業。記憶用半導体のキオクシア、光ファイバーのフジクラや古河電気工業、電子部品の村田製作所まで層が厚い。
米国が少数の巨大ITに集中するのと違い、日本は広い製造業がAIを下支えする。だから相場の値動きの性格も異なる。
■だが、発注元は米国に偏る
ただし、裾野が広くても安心はできない。需要を生むのは、グーグルやアマゾン、マイクロソフトなど米IT大手のデータセンター投資だからだ。その規模は世界的に巨額化しており、米国ではデータセンターの電力需要が2027年に2025年比で倍増するとの見方もある。
日本企業は、その工事を請け負う側に位置する。フジクラは米国に最大2,600億円を投じる。だが発注が止まれば、広い裾野が同時に冷える。
■「工事はいつまで」への疑念
足元の急反落は、その不安の表れだ。AIの巨額投資が利益に見合うのか、持続性を疑う声が出始めた。個人の信用買いは過去最高に近い水準に膨らむ。
フジクラは強気の新中計が市場予想に届かず、株価が17%下げる場面もあった。
■新NISA世代は、どう構えるか
大切なのは、本物か偽物かの判定ではない。裾野の広さを「分散」と取り違えないことだ。
発注元が偏るなら、この相場の外にも資産を持ち、積み立てで時間も分けておきたい。波の一局面に賭けないことが、長く付き合うコツになる。