同じ指数でもリターンが変わる──新NISAで広がる“信託報酬の静かな格差”
2026年6月15日 13:39
株式市場は最高値圏で推移している。新NISAで積み立ててきた資産に、含み益が出ている人も多いだろう。
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利益が出ているときほど、人はコストに目を向けにくい。だが投資信託の信託報酬は、相場が上がっても下がっても、毎年リターンを押し下げる。
相場もリターンも誰にも読めない。だが信託報酬は、自分で選べる数少ない変数だ。新NISAでインデックス投資をする個人にとって、見直す価値は大きい。
■同じ指数でも、料率は同じではない
信託報酬とは、投資信託を保有している間ずっと、預けた資産(純資産)に対して毎年かかる費用を指す。運用や管理の対価として、日々差し引かれる。
注意したいのは、同じ指数に連動する商品でも、料率が同じとは限らない点だ。たとえば全世界株式に連動するファンドは複数あり、中身はほぼ同じでも、信託報酬には差が出る。
近年は値下げ競争が進み、主要なインデックスファンドの料率は大きく下がった。
代表的な菱UFJアセットマネジメント「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」が年0.05775%、「同 米国株式(S&P500)」が年0.08140%(いずれも税込、2026年1月時点の交付目論見書)と、いまや0.1%を切る水準が当たり前だ。
一方、運用者が銘柄を選ぶアクティブファンドは年1~2%が一般的で、同じ投資信託でもコストは10倍以上違ってくる。
表示される料率のほかに、売買にかかる費用などを含めた「実質コスト」もある。運用報告書や投信の比較サイトで調べれば、保有する商品が割高かどうかを確かめられる。
■わずかな差が、長期で大きな差になる
わずかな料率差でも、長く保有すれば差は膨らむ。複利、つまり利益が利益を生む効果が、コストの差にもそのまま働くためだ。
仮に毎月3万円を、年5%で運用できたとする。信託報酬が年0.1%の場合と0.5%の場合で、受取額を比べてみる。差は20年後で約55万円、30年後では約173万円に広がる(注)。元本は同じでも、料率の差だけでこれだけ開く。
ここで押さえたいのは、リターンとコストの性質の違いだ。将来のリターンは予想できない。だがコストは、いま確実に減らせる。読めないものより、読めるものから手をつけるほうが、結果につながりやすい。
■同じ指数なら、低い料率を選ぶ
では、どうするか。まず、手元のファンドの信託報酬を見る。そのうえで、同じ指数に連動する商品なら、料率の低いものを選ぶ。
ただし、料率の低さだけで決めるのは避けたい。純資産総額の小さいファンドや運用期間の極端に短いファンドは、安くても運用が安定しにくいからだ。規模もあわせて見ておきたい。
また乗り換え時には、税金への配慮も欠かせない。課税口座(特定口座など)での売却は利益に約20%課税され、節約分が相殺されかねない。新NISAの口座内なら売却益は非課税だが、買い直しにはその年の投資枠を新たに使う。枠の残りを見ながら判断する。
中身が同じなら、低いほうを選ぶだけで手元に残る額は変わる。気が緩むいまこそ、保有ファンドの料率を一度確かめておきたい。
(注)試算は毎月3万円を年5%で積み立て、信託報酬を年率分だけリターンから差し引いた簡易計算。税やその他の費用は考慮していない。