米利上げ再燃、円安160円と物価高の連鎖が強まる構図

2026年6月12日 09:53

 ウォーシュ新体制の下で始まる6月17日の米連邦公開市場委員会(FOMC)。政策金利の据え置きはほぼ確定的と見られている。市場が注目するのは、ウォーシュ議長が記者会見で秋以降の利上げへの方向性を示すかどうかだ。その一言が円相場を動かし、日本の物価の行方を決める。

【こちらも】植田総裁入院で史上初の欠席 日銀会合“代行体制”がもたらす市場の不確実性

 FRBが利上げへの回帰を示唆する背景には、米消費者物価指数(CPI)の再加速がある。6月10日発表の5月CPIは前年同月比4.2%上昇と、2023年4月以来の高水準を記録した。イラン情勢に端を発するエネルギー高がサービス価格へ波及し、FRBが目標とする2%への回帰を阻んでいる。

 CMEフェドウォッチでは12月の利上げ確率が54%と、据え置きを初めて上回った。5月の雇用者数が市場予想を上回り、ウォーシュ議長がタカ派姿勢を明確にすれば、その確率はさらに高まる。

 一方、日本銀行は今月の金融政策決定会合で政策金利を1.0%へ引き上げるとみられる。しかしFRBが秋以降に利上げに踏み切れば、日米金利差は再び3%前後に広がる。

 ドル買い・円安が加速し、1ドル160円台が再び定着する。日銀が追いかけても、FRBが逃げる構造は変わらない。現在160円前後で推移するドル円は、ウォーシュ発言次第でさらに円安に振れる可能性がある。

 円安は輸入コスト上昇へ直結する。日本はエネルギーや食料品の多くを海外に依存しているため、通貨安はそのまま物価上昇圧力となる。

 日銀の調査では、輸入物価指数が前年比7.9%上昇と高止まりしており、小麦・食用油・燃料費を中心に企業のコスト転嫁は今夏以降も続く。日本の物価上昇率はすでに2%超が2年以上続いている。

 帝国データバンクの調査によると、2026年6月の飲食料品値上げはすでに1,078品目。年間値上げ品目数は5年連続で1万品目を超える見通しだ。円安を一因とする「値上げの夏」が再び来る。

 日銀内でも追加利上げを求める声が強まっているが、急激な利上げは住宅ローン金利の上昇や企業投資の手控えを招き、国内景気を冷え込ませる。

 賃金上昇が物価上昇に追いつかない中、家計の実質購買力は低下が続いている。日銀はインフレを抑えたくても景気への打撃を恐れて動けない。FRBの動きを見ながら動くしかないのが実情だ。

 FRBが利上げに動くたびに日銀は後手に回る。その構造が続く限り、円安と物価高の連鎖は断ち切れない。

 FRBが秋に利上げに踏み切れば、日米金利差は再び3%前後に拡大する。円安が160円台に定着すれば、食品・エネルギーの値上げは来年以降も続く。家計の負担は一段と重くなる。

 ウォーシュ議長が利上げへの方向性を示せば、円安が加速し日本の物価は止まらない。6月17日の記者会見が、日本の食卓の値段を決める。

関連記事

最新記事