ファインシンター 2026年3月期は過去最高売上高を達成、構造改革の断行で来期の黒字化を見込む

2026年6月11日 11:17

*11:17JST ファインシンター---2026年3月期は過去最高売上高を達成、構造改革の断行で来期の黒字化を見込む
ファインシンター<a href="https://web.fisco.jp/platform/companies/0599400?fm=mj" target="_blank" rel="noopener noreferrer"><5994></a>は5月14日、2026年3月期連結決算を発表した。売上高は前期比8.2%増の462.06億円と過去最高を記録し、営業利益は同75.0%増の11.95億円、経常利益は同59.6%増の7.54億円と大幅な増益を達成した。一方で、親会社株主に帰属する当期純損失は24.14億円となった。世界経済は原材料やエネルギー価格の高止まりが続いたものの、主力の自動車焼結事業において国内販売量の増加や不採算品の価格是正が進捗したほか、タイ第2拠点における増産効果やハイブリッド車(HEV)用インバーター部品の堅調な受注が大きく寄与した。特に注力製品であるHEV用インバーター内の「リアクトル」は売上が好調に推移しており、昨年末に新ラインを設置してさらなる拡大を図っている。また、2024年11月から本格生産を開始したタイの第2拠点も域外輸出を含めて好調であり、過去最高売上の牽引役となった。当期純損失の計上は、将来の稼ぐ力を高めるための構造改革として、米国子会社「アメリカンファインシンター(AFS)」の事業停止や国内拠点の再編に伴う固定資産減損損失21.91億円などを特別損失に計上したことによるものである。これはキャッシュの流出を伴わない一過性の費用であり、米国拠点の事業停止によって今後の損益は大幅に改善する計画である。なお、中国子会社における残存価額見直しに伴う会計上の見積りの変更についても、1回きりの処理であり翌期以降の業績への影響はない。

事業別の動向をみると、自動車焼結事業は売上高が前期比8.9%増の418.95億円、セグメント利益が同32.4%増の29.43億円となった。数年前から顧客側と進めてきた不採算品の価格適正化交渉がしっかりと成果を出し、利益率の改善を達成した。鉄道焼結事業は売上高が同0.4%減の23.81億円と微減ながらも、地道な原価改善を進めたことでセグメント利益は同24.7%増の6.46億円と大幅な増益となった。油圧機器製品事業は売上高が同2.9%増の19.20億円、セグメント利益が同8.1%増の4.53億円となった。トランプ関税の影響はあったものの、主力市場である北米向けのデンタルチェア用ポンプ輸出が好調であったほか、新規案件の獲得が収益を補填した。鉄道および油圧の各事業ともに、市場において非常に高いシェアを確保して堅調に推移している。

2027年3月期通期の連結業績予想については、売上高が前期比3.7%減の445.00億円、営業利益が同0.4%増の12.00億円、経常利益が同6.0%増の8.00億円、親会社株主に帰属する当期純利益は5.00億円と黒字化を見込んでいる。新しい中期経営計画「Vision2030」のもと 、今後5年間で営業利益をほぼ倍増の22.5億円に引き上げる方針である。自動車部品事業においては、グローバル生産拠点を11拠点から7拠点へ集約し、米国の人件費や工場稼働費を削減すると同時に、アジア圏の既存設備を有効活用して効率的なグローバル供給体制へ移行する。成長投資としては、HEV市場の拡大に伴うリアクトル単体の売上増に加え、量産化を進める付加価値の高いユニット製品(リアクトルAssy)の展開、さらには2029年頃を予定しているバッテリーEV(BEV)用新製品のリリースを通じて、5年後までに磁性材分野の売上を7割弱増加させる計画である。

株主還元については、当期の年間配当を前期から5.00円増配の1株当たり25.00円(中間10.00円、期末15.00円)として実施した。これは構造改革に伴う純損失を織り込む前の公表値に基づき、減損損失がキャッシュアウトを伴わないものであることから当初の約束通りに株主還元を継続したものである。2027年3月期の年間配当予想についても同額の1株当たり25.00円(配当性向21.4%)を据え置いており、進行期の確実な黒字化達成に向けた基盤を固めつつ、安定した利益還元を継続していく方針を掲げている。《KT》

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