PBシステムズ Research Memo(6):半導体部材不足の影響による案件期ずれが主因で減収も、利益面は改善

2026年6月11日 11:06

*11:06JST PBシステムズ Research Memo(6):半導体部材不足の影響による案件期ずれが主因で減収も、利益面は改善
■ピー・ビーシステムズ<a href="https://web.fisco.jp/platform/companies/0444700?fm=mj" target="_blank" rel="noopener noreferrer"><4447></a>の業績動向

1. 2026年9月期中間期の業績動向
2026年9月期中間期の業績は、売上高が前年同期比5.4%減の1,107百万円、営業利益は同7.1%増の53百万円、経常利益は同20.7%増の60百万円、中間純利益は同28.8%増の40百万円と、減収増益で着地した。中間期計画比では、売上高が9.2%減、営業利益は36.6%減、経常利益は33.0%減、中間純利益は31.6%減となった。計画未達の主要因は、主力のセキュアクラウドシステム事業において、AIデータセンター需要に伴う半導体部材不足がハードウェアの納期遅延を引き起こしたことにある。従来は約2ヶ月であった納期が、中間期中には4~6ヶ月へと大幅に長期化し、それに付随するSE作業のスケジュールも順延を余儀なくされた。その結果、期内に予定していた案件のクロージングが次期以降へずれ込む事例が複数発生し、これが足元の業績を押し下げる直接的な要因となった。一方、今後の展望における好材料として、技術力を武器とした高付加価値なプラットフォーム実装売上が前年同期比35.9%増と大きく伸長した点が挙げられる。セキュアクラウドシステム事業全体に占める同売上高の割合も前年同期比8.8%上昇するなど、事業全体の利益率を押し上げる要因となっている。エモーショナルシステム事業においては、九州産業大学との産学連携プロジェクトで、2025年9月期のトレーニングシステム出展に続き、2026年3月に社会課題を“体験”として伝える新しい形の支援モデル「ドナルド・マクドナルド・ハウス支援VRプロジェクト」に出展した。2025年9月期に続き、2026年2月には沖縄県名護市主催のデジタル技術を通じて名護の未来を体験する「TSUNAGU CITY 2026 in NAGO」に出展した。さらに、重点開拓領域である防災分野においても、JFEスチール西日本製鉄所主催の防災展示会に出展するなど、収益化に向けた顧客基盤の拡充が進展した。

利益面では、減収の影響はあったものの、前述したセキュアクラウドシステム事業でのプラットフォーム実装案件の貢献に加え、エモーショナルシステム事業でセグメント損益が1百万円の損失(前年同期は11百万円の損失)と赤字幅を縮小しつつあることが、利益改善に大きく作用した。また、エンジニアの稼働率向上が全体の収益性を下支えした。人財基盤の強化についても、将来の成長を担保する先行投資の観点から、計画どおり進捗している。2026年4月には期初計画どおり10名の新卒者が入社したほか、2027年卒についても既に予定数である8名の内定を確保している。九州地域において国立大学から高等専門学校(高専)に至るまで、広範かつ強固な採用ルートを確立した成果が表れている。入社後2ヶ月間にわたる高密度な研修を経て、6月には実務現場への配属及びプロジェクト参画が予定されており、早期戦力化に向けた教育体制も機能している。さらに、即戦力となる中途採用も2名実現するなど、人財の拡充は着々と進んでいる。

2. 2026年9月期中間期の財務状況
2026年9月期中間期末の資産合計は前期末比78百万円減の1,740百万円、負債合計は同2百万円減の663百万円、純資産合計は同75百万円減の1,076百万円となった。資産では、現金及び預金が同112百万円、商品及び製品が同54百万円増加したものの、受取手形、売掛金及び契約資産が同254百万円減少した。負債においては、買掛金が同46百万円減少し、前受金が同40百万円増加した。純資産は、中間純利益の計上があったものの、2025年9月期1株当たりの配当を前期比2倍に引き上げた影響が大きく、利益剰余金が同75百万円減少した。これにより、自己資本比率は61.9%と前期末比1.5ポイント下降した。しかし、2025年3月期の東京証券取引所プライム市場における情報・通信業の平均値は31.4%(日本取引所グループ)であり、同社の自己資本比率は高い水準にある。


主力のセキュアクラウドシステム事業では首都圏開拓が進展。エモーショナルシステム事業では総合プロデュース案件を創出

3. 2026年9月期中間期のセグメント別業績動向
2026年9月期中間期のセグメント別業績は、セキュアクラウドシステム事業の売上高が前年同期比7.7%減の1,044百万円、セグメント利益が同10.1%減の55百万円、エモーショナルシステム事業の売上高が同63.4%増の63百万円、セグメント損益が1百万円の損失(前年同期は11百万円の損失)となった(各セグメント数値は、全社費用を各セグメントの人員割合で配賦した決算説明資料ベース)。

セキュアクラウドシステム事業では、プラットフォーム実装案件の伸長に加え、首都圏での新規顧客開拓が進んだ。2026年9月期に入り、新たに6社との取引を開始した。現段階では関係構築及び深耕を図るフェーズにあるが、新規開拓先には大手企業も含まれているようであり、取引の継続から将来的な案件規模の拡大を目指す方針である。新規開拓戦略のカギを握るセールスエンジニアについては、2026年6月より福岡本社のエンジニアを東京営業部へ配置転換する予定である。技術的知見を直接訴求する効果的な営業手法を実践することで、新規顧客開拓を加速させ、技術力に裏打ちされた提案体制の強化により、顧客基盤のさらなる拡充を図る。収益に大きく貢献する高付加価値な製商品販売の中間期実績は、約160百万円となった。大型案件が発生した前年同期(約280百万円)と比較すれば減少しているものの、通期ではおおむね前年度並みの水準まで回復する計画である。中間期のハードウェア販売については、2025年10月のWindows 10サポート終了に伴うPC販売がプラスに寄与した。しかし、既述のハードウェア納期遅延の影響が相殺する形となり、全体としては前年同期比横ばいの推移にとどまった。一方、2024年に始まった仮想化基盤における「脱VMware」の潮流(ライセンス体系変更に伴う価格上昇を受けた代替製品への移行)は、現在も営業活動における主要なテーマの一つとなっているようだ。実際、同社が2026年5月12日に福岡で開催した「Hyper-V/Azure Local セミナー」は盛況を博しており、高い関心が寄せられていることがわかる。

エモーショナルシステム事業の実績は着実に伸長している。「MetaWalkers」は、2025年9月期実績の8件に対し、2026年9月期中間期で既に4件の出展を進めている。また、「MetaAnywhere」においては、2025年9月期に受注した総額100百万円規模の大型アミューズメントパーク向け案件が、2026年6月の最終現地作業後の引き渡しに向け、順調に進捗している。特筆すべきは、同案件において企画から機器選定、コンテンツ制作に至る一貫した総合プロデュースを展開した点である。提案型のアプローチにより各種付加価値サービスを統合することで、同社技術を最大限に活用した高品質な空間設計を実現した。これにより、高い顧客満足を獲得すると同時に、事業の収益性向上にも大きく寄与している。今後も両シリーズのポテンシャルを活かしたプロデュース型提案を積極化する方針だ。企業・自治体向けメタバース領域においても、活発な訴求活動を展開している。2026年2月には、デジタル変革を推進するソリューションを展示する「DIS ICT EXPO 2026 in 熊本」において、安全教育分野に特化したメタバースサービスを出展した。こうした展示会を通じて、同社技術の有用性とメタバースの社会実装の可能性を広く提示し、潜在顧客の開拓を加速させている。

同社は受注残高の目標を常時10億円以上に設定しているが、2026年9月期中間期末時点の実績は、セキュアクラウドシステム事業において前年同期比40.1%増の927百万円、エモーショナルシステム事業において61百万円(前年同期は1百万円)と、いずれも大幅に伸長した。これらを合わせた合計受注残高は、同49.1%増の989百万円となった。セキュアクラウドシステム事業における納期遅延に伴う期ずれ案件の影響を含んでいるものの、直近の2026年4月末時点では目標水準である10億円を確保した。これにより、受注状況は極めて安定した水準へ回復しつつあると評価できる。

(執筆:フィスコアナリスト 村瀬 智一)《HN》

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