「最高値なのに含み損」の正体 急落が示した日経平均の偏り
2026年6月10日 09:26
「日経平均は最高値なのに、自分の持ち株は含み損」。そんな違和感を抱えてきた個人投資家は多い。その正体が、今回の急落ではっきり見えた。
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6月5日、日経平均は前日より882円安と大きく下げた。ところが東証プライムに上場する銘柄の約76%、1196社はむしろ値上がりしていた。指数は下がったのに、多くの株は上がっている。日経平均が、ごく一部の銘柄に左右されている証拠だ。
■下げの大半は半導体2銘柄
6月5日の下げは、その大半をたった2銘柄が生んだ。半導体関連の大型株、東京エレクトロンとアドバンテストだ。この2社だけで日経平均を約762円も押し下げた。
引き金は、AI半導体でエヌビディアと並ぶ米大手ブロードコムだ。同社が売上見通しを上方修正せず、期待外れと受け取られて米国で半導体株が売られ、その流れが東京に波及した。
さらにその後の米国市場では、ナスダック総合指数が約4%安と1年ぶりの下落率を記録しており、週明けの続落へと繋がった。
■上げの主役も、わずか数銘柄だった
偏っているのは下げのときだけではない。上げ相場でも、主役はほんの数銘柄だった。
代表がソフトバンクグループだ。AIへの期待で株価が急騰し、6月1日には会社の価値を示す時価総額が一時49兆円を超え、トヨタ自動車を抜いて約22年ぶりに国内トップが入れ替わった。
4月に日経平均へ採用されたばかりのキオクシア(半導体メモリ大手)も、AIデータセンター向けの需要を追い風に買われ、株価は3月末の約2万円から6月3日には一時8万円台の上場来高値をつけた。約2か月で4倍近い急騰だ。
半面、日経平均が上がった日でも値下がりした銘柄の方が多いことがあり、例えば236円で過去最高値を更新していた4月22日の場合、225銘柄中、値上がり41に対し値下がりが182だった。
■NT倍率は過去最高の17倍
この偏りは、ある数字にもはっきり出ている。「NT倍率」だ。日経平均を、市場全体の動きを映すTOPIX(東証株価指数)で割った値で、株価の高い一部の銘柄が買われるほど大きくなる。
6月1日には過去最高を更新し、取引時間中に初めて17倍台へ乗せた。これまでの最高は2021年の15倍台で、17倍は明らかに異例の高さだ。日経平均だけが一部の銘柄に押し上げられてきたことがわかる。
■見るべきは指数ではなく、中身
数銘柄に頼った相場は、上げも下げも値動きが大きくなりやすい。「最高値」に乗り遅れまいと、すでに大きく上がった半導体株へ高い値段で飛びついた人ほど、急落のダメージは大きい。
大切なのは、自分が持つ投資信託やETFの上位の組み入れ銘柄を確認することだ。分散したつもりでも、中身がAIや半導体に偏っていれば、日経平均と同じリスクを抱えていることになる。指数の数字だけに一喜一憂せず、中身を冷静に見ておきたい。