オルカン純資産がS&P500を逆転 新NISAで問われる分散投資の意味
2026年6月2日 13:38
新NISA(少額投資非課税制度)の開始から2年目を迎えた2026年、日本の個人投資家の資金動向に変化が起きている。
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三菱UFJアセットマネジメントが運用する「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー、通称オルカン)」の純資産総額は約12.2兆円(2026年5月28日時点)に達し、約11.9兆円の「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」を上回った。
新NISA開始当初は、成長性の高い米国株へ集中投資するS&P500人気が圧倒的であった。しかし足元では、全世界に広く分散投資できるオルカンへの資金流入が加速している。AI・半導体関連株への期待が続くなかでも、特定国への過度な集中を警戒する投資家が増えているためだ。
■AI・半導体相場で続くS&P500人気
S&P500は、米国の主要企業500社で構成される代表的な株価指数である。生成AI市場の拡大を背景に、エヌビディア(NVIDIA)など半導体関連企業や巨大テック企業への期待が市場を牽引しており、米国ハイテク株の強さは健在だ。
AI関連のデータセンター投資は世界規模で拡大しており、米国の主要テック企業には依然として資金流入が続いている。SNSや動画プラットフォームでもS&P500を支持する情報は多く、新NISAを機に投資を始めた初心者の間でも「まずは米国株」という流れは根強い。
■オルカンへ資金流入が加速した背景
一方で、2026年に入りオルカンへの資金流入の勢いが増している背景には「米国集中リスク」を意識する投資家の増加がある。
オルカンは世界各国の株式に投資するファンドであり、米国株の比率が高いものの、欧州や日本、新興国などにも広く分散されている。米国市場が割高感や景気減速リスクに直面した際、国際分散による下支え効果が期待できる点が特徴だ。
また円安進行による為替変動リスクも、分散意識を高める要因となっている。特に50代の投資初心者では、老後資金の取り崩しまでの時間が限られる。そのため、高いリターンだけでなく「大きく減らさないこと」を重視し、オルカンのような分散投資を選ぶ動きもみられる。
■新NISA初心者は「分散か集中か」をどう考えるべきか
S&P500は米国企業の高い成長性に期待する投資であり、オルカンは世界全体へ分散投資する安心感がある。しかし、どちらを選んでも価格変動リスクがなくなるわけではない。
重要なのは「どちらが正解か」ではなく、自分がどの程度の値動きまで受け入れられるかという視点ではないか。
今後、米国景気の減速や円高への転換が進めば、分散投資を重視する流れがさらに強まるだろう。
新NISAを通じた長期の資産形成では、人気や短期的な相場だけに左右されず、自身のリスク許容度に合った投資先を選ぶ姿勢が重要になりそうだ。