シナネンホールディングス、27年3月期は大幅増収増益予想、事業再編で収益力強化、サービス会社への進化加速
2026年5月27日 07:56
シナネンホールディングス<8132>(東証プライム)は、事業ポートフォリオを変革し、リテールサービス戦略強化を軸にエネルギー会社からサービス会社への進化を目指している。26年4月1日付で主力事業会社の再編を実施した。26年3月期は気候要因による販売数量減少などで減収だが、前期の不採算事業撤退に伴うコスト削減、非エネルギー事業の好調などにより各利益は増益だった。27年3月期(セグメント区分変更)は大幅増収増益予想としている。エネルギー事業、メンテナンス事業、モビリティ事業とも好調に推移する見込みだ。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は急伸して高値を更新した。その後は上げ一服の形だが、利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。
■エネルギー会社からサービス会社への進化を目指す
同社は事業ポートフォリオを変革し、リテールサービス戦略強化を軸にエネルギー会社からサービス会社への進化を目指している。また27年4月に創業100周年を迎えるにあたり、ロゴを刷新・統一して26年7月より順次変更していく。
26年4月1日付で主力事業会社の再編を実施した。エネルギー卸・小売周辺事業(BtoC事業)を展開するミライフ西日本、ミライフ、ミライフ東日本(ミライフ北海道を含む)、およびエネルギーソリューション事業(BtoB事業)を展開するシナネンの4社を統合し、新シナネンが発足した。またシナネンはホームファシリティ事業をシナネンアクシアに吸収分割した。ミライフは電力事業、建設業工事、不動産仲介事業を除く全ての事業をシナネンに吸収分割した後、電力事業および建設事業等を行う会社として商号をシナネンエナジーテックに変更(26年度中にシナネンの子会社とする予定)した。また不動産仲介事業をシナネンアクシアへ移管した。
26年3月には廃棄物処理事業等を展開するシナネンエコワークの全株式を、KPPグループホールディングスの連結子会社である国際紙パルプ商事に譲渡した。26年4月には空調設備工事等を展開するシナネンファシリティーズの全株式を、ユアサ商事の連結子会社であるユアサクオビスに譲渡した。シナネンファシリティーズが行っている環境事業についてはシナネンに吸収分割した。
この事業ポートフォリオ変革に伴って27年3月期より、セグメント区分を従来のエネルギー関連のエネルギー卸・小売周辺事業(BtoC事業)、エネルギーソリューション事業(BtoB事業)、非エネルギー事業から、新たにエネルギー事業、メンテナンス事業、モビリティ事業、その他事業とした。
旧セグメント区分による26年3月期のセグメント別業績(外部顧客への売上高、全社費用等調整前営業利益)は、エネルギー卸・小売周辺事業(BtoC事業)の売上高が712億27百万円で営業利益が13億37百万円、エネルギーソリューション事業(BtoB事業)の売上高が2044億76百万円で営業利益が15億66百万円、非エネルギー事業の売上高が228億39百万円で営業利益が10億62百万円だった。なお収益特性として、LPガスや灯油の販売は冬場が需要期となるため、収益は下期(特に第4四半期)に偏重する季節特性がある。また売上高は原油価格変動と相関関係が強い。
■エネルギー事業
エネルギー事業(従来のBtoC事業およびBtoB事業の4社を統合した新シナネン、国内LPガス・電力小売事業者向け顧客管理システムなどITシステム事業のミノス)は、石油・ガス・電力の卸売・小売および住宅設備機器・ガス器具販売など周辺領域を展開し、エネルギーのベストミックスを提供する。重点戦略として顧客数の拡大のほか、住まいと暮らし事業における高付加価値サービスの拡充などにより高収益化を推進する。26年2月にはミノスが、CARRO JAPAN(ソフトバンクとTrusty Carsの合弁会社)と、LPガス事業者および関連企業に向けた「GX貢献サービス」の企画・展開に関する共同検討を開始した。
■メンテナンス事業
メンテナンス事業は、シナネンアクシアがビル・・商業施設・斎場・病院・集合住宅等の管理・清掃サービスなど総合建物メンテナンス事業を展開している。ワンストップサービスによる安定収益の確保と利益率の向上を推進している。
■モビリティ事業
モビリティ事業は、シナネンサイクルが自転車小売店舗「ダイシャリン」および自転車卸売の自転車販売事業、シナネンモビリティPLUSがシェアサイクル「ダイチャリ」事業を展開している。小売店舗「ダイシャリン」は26年3月期末時点で36店舗を展開している。シェアサイクル「ダイチャリ」はOpenStreetが提供するシェアサイクルプラットフォーム「HELLO CYCLING」を活用して、首都圏1都3県および観光地を中心に展開している。26年3月期末時点のステーション数は全国約3000カ所、設置自転車数は約1.6万台で、国内有数の規模となっている。
■その他事業
その他事業としては、シナネンゼオミックが銀系無機抗菌剤ゼオライト製造・販売の抗菌事業を展開している。
■創業100周年の28年3月期にROE8%以上を目指す
第3次中期経営計画(24年3月期~28年3月期)では「脱炭素社会の実現に貢献する総合エネルギー・ライフクリエイト企業グループ」を目指し、財務目標として、創業100周年(1927年4月創業)となる最終年度28年3月期にROE8%以上、経常利益100億円を掲げている。株主還元は配当性向30%を目安に、1株当たり年間配当75円を下限とした安定配当を維持し、さらに中期的には配当性向40%への引き上げを目指す。
また非財務目標として、脱炭素社会に対応した事業構造への転換、社員の市場価値の向上を掲げている。脱炭素社会に対応した事業構造への転換では、炭素生産性指標を「売上総利益/GHG排出量」と定め、17年3月期実績2.44に対して28年3月期の目標を2.60としている。より少ないGHG排出量でより多くの利益を創出し、脱炭素社会に対応した事業構造への転換を目指す。具体的な取組として全事業における売上総利益率の改善、サプライチェーン全体でのGHG排出量の削減、バイオエタノール・SAF等の燃料の供給、高効率給湯器等の販売、再生可能エネルギー事業の拡大、再生可能エネルギー電源の調達・供給割合の増加を推進する。社員の市場価値の向上は、会社の企業価値の向上という好循環につなげるため、教育投資や職場環境整備によりエンゲージメント指数の向上(23年3月期実績3.3点、28年3月期目標4.0点以上)などを推進する。
ビジョンの実現に向けた基本戦略としては、成長戦略として事業ポートフォリオの変革、資本効率の改善、経営基盤強化戦略として風土改革・働き方改革のさらなる推進、人財育成の推進や人財適正配置の実現、業務効率化・標準化による生産性向上、グループ経営体制の強化を推進する。既存事業のオーガニック成長に加えて、M&Aも活用して脱炭素社会に寄与する新規事業(再生可能エネルギー、廃棄物資源化、環境負荷が低い新燃料製造・供給、住宅・建物の脱炭素化)で、さらなる成長・収益性向上を図る方針だ。
事業ポートフォリオの変革では、国内事業基盤再整備およびリテールサービス戦略強化を成長戦略の軸に据え、成長性や収益性の低い事業の撤退・売却を推進する。なお新規領域ではプレミアウォーター社と業務提携して宅配水事業に参入する。28年3月期までの事業ポートフォリオ変革投資額は500億円規模の計画(大型M&Aは別枠)としている。
国内事業基盤再整備では、グループ事業の連携・融合により高品質サービスを提供する体制の構築を目指す。具体的にはグループ事業(特に総合建物メンテナンス事業とLPガス事業)を融合させた顧客基盤の構築とメリハリの効いた地域戦略の実行、LPガス・石油(軽油・灯油)の物流網を活かした広域同業他社との協業推進、グループのメンテナンス事業網の全国展開と高品質サービスの提供、既存事業の選択と集中などを推進する。リテールサービス戦略強化では、エネルギー会社からサービス会社へと意識を変革し、エリアに適したサービスの提供により、それぞれのエリアにおける生涯顧客の獲得を目指す。また新規事業の創出では、脱炭素・再生可能エネルギー事業を中心に、季節に依存しない事業への取組を強化し、新たな収益源の創出を目指す。
■サステナビリティ経営
サステナビリティ経営関連では、持続可能な社会の実現に向けて20年10月より森の豊かさを守る「シナネンあかりの森プロジェクト」に取り組んでいるほか、22年5月にサステナビリティ基本方針を策定してサステナビリティ推進委員会を設置した。22年6月にはTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に対する賛同を表明し、TCFDコンソーシアムに参画した。25年10月にはミライフが東京都とグリーン水素等の国際サプライチェーン構築に向けた共同検討に関する協定書を締結した。
また風土改革と働き方改革の一環として、23年4月には副業制度、70歳までの再雇用制度、育児休業中の学習支援、自己都合退職者再雇用制度、治療と仕事の両立支援という5つの人事制度を新たに導入、24年4月には社内ベンチャー制度、ベビーシッター割引券配布制度、ウェルネス休暇制度、短時間勤務制度の拡充という4つの人事制度を新たに導入した。25年3月には同社およびグループ5社が、経済産業省と日本健康会議が選出する「健康経営優良法人2025(大規模法人部門)」に認定された。同社は3年連続、グループ5社は2年連続の認定となる。
■26年3月期は増益・増配、27年3月期は大幅増収増益予想
26年3月期の連結業績は売上高が前期比5.8%減の2987億52百万円、営業利益が9.8%増の44億03百万円、経常利益が20.1%増の53億82百万円、親会社株主帰属当期純利益が40.6%増の44億35百万円だった。配当は5月14日付で期末30円上方修正して、前期比30円増配の120(期末一括)とした。配当性向は29.4%となる。
気候要因による販売数量減少などで減収だが、前期の不採算事業撤退に伴うコスト削減、非エネルギー事業の好調などにより各利益は増益だった。なお営業外では受取配当金が1億円増加、為替差損益が1億44百万円改善したほか、デリバティブ利益1億88百万円を計上した。特別利益では子会社株式売却益15億39百万円、補助金収入を2億70百万円計上した。特別損失では固定資産圧縮損2億70百万円、特別退職金8億01百万円、統合関連費用1億98百万円を計上したが、減損損失が2億04百万円減少、前期計上の子会社株式売却損5億90百万円が一巡した。
エネルギー卸・小売周辺事業(BtoC事業)は売上高(外部顧客への売上高)が5.5%減の712億27百万円、営業利益(全社費用等調整前)が31.2%増の13億37百万円だった。売上高は温暖な気候の影響で灯油・ガスの販売数量が減少したほか、プロパンCP価格が軟調に推移した影響で減収だが、営業利益は前期に実施した不採算事業撤退によるコスト削減効果で大幅増益だった。
エネルギーソリューション事業(BtoB事業)は売上高が7.2%減の2044億76百万円、営業利益が24.4%減の15億66百万円だった。売上高は軽油の販売が堅調だったものの、その他の油種の販売数量が温暖な気候の影響で減少したため減収だった。営業利益は電力販売の相対取引における利幅縮小の影響などにより減益だった。
非エネルギー事業は、主に総合建物メンテナンス事業とシェアサイクル事業の好調により、売上高が8.0%増の228億39百万円、営業利益が56.7%増の10億62百万円だった。シナネンアクシアの総合建物メンテナンス事業は、集合住宅の建物メンテナンス業務のエリア拡大が寄与したほか、斎場・病院などの施設運営業務が堅調に推移した。シナネンモビリティPLUSのシェアサイクル「ダイチャリ」事業は拠点開発推進などによって利用件数が堅調に推移し、価格改定効果も寄与した。
全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高が631億53百万円で営業利益が7億26百万円、第2四半期は572億68百万円で営業利益が31百万円の損失、第3四半期は売上高が832億77百万円で営業利益が13億08百万円、第4四半期は売上高が950億54百万円で営業利益が24億円だった。ガス販売量は夏季が不需要期、冬季が需要期という季節要因がある。
27年3月期の連結業績予想は売上高が前期比12.0%増の3345億円、営業利益が45.3%増の64億円、経常利益が22.6%増の66億円、親会社株主帰属当期純利益が17.2%増の52億円としている。配当予想は前期と同額の120円(期末一括)としている。予想配当性向は25.0%となる。
なお27年3月期よりセグメント区分を変更し、エネルギー事業(従来のBtoC事業とBtoB事業を統合、事業会社はシナネン、ミノス)、メンテナンス事業(総合建物メンテナンス事業、事業会社はシナネンアクシア)、モビリティ事業(自転車販売事業とシェアサイクル「ダイチャリ」事業、事業会社はシナネンサイクルとシナネンモビリティPLUS)、その他(シナネンゼオミックの抗菌事業)とする。
27年3月期は大幅増収増益予想としている。エネルギー事業はリテールサービス推進(顧客拡大)やコストコントロールにより9億円増益、メンテナンス事業は集合住宅のメンテナンス業務のエリア拡大や利益率の改善により5億円増益、モビリティ事業は運営品質の高度化と収益性の高いエリア展開加速により7億円増益を見込んでいる。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。
なお配当については27年3月期より基本方針を変更し、総還元性向40%以上を目安に累進配当を導入する。また中間配当を実施(6月25日開催予定の第92期定時株主総会において定款を一部変更)する。
■株価は上値試す
26年2月10日付で発表した自己株式取得(上限10万株または5億円、取得期間26年2月12日~26年7月31日)については、26年4月30日時点で累計取得株式数が4万700株となっている。なお取得した自己株式はすべて消却(予定日未定)する。
株価は急伸して高値を更新した。その後は上げ一服の形だが、利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。5月26日の終値は7470円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS480円02銭で算出)は約16倍、今期予想配当利回り(会社予想の120円で算出)は約1.6%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS5535円81銭で算出)は約1.3倍、そして時価総額は約825億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)